曖昧さ回避
日本のアニメ版は→小公子セディ
概要
フランシス・ホジソン・バーネット(1849~1924)の代表作として著名な児童文学作品。
原題は『Little Lord Fauntleroy』(小さなフォントルロイ卿)で、『小公子』の訳題は明治期の1890年から最初の訳者となった若松賤子によるもの。
1885年から当時のアメリカで大人気の児童雑誌『St. Nicholas』(セント・ニコラス)にて連載され、1886年にニューヨークとロンドンで単行本が出版されるや否や絶賛を博し、挿絵に描かれた主人公の服装は『フォントルロイ・スーツ』と呼ばれ良家の子女に大流行した。
かくして『Little Lord Fauntleroy』は50万部を売り上げるベストセラーとなり、バーネットを一躍流行作家へと押し上げる。
主人公のモデルとなったのはバーネットの次男ヴィヴィアン。
彼の金髪巻き毛をもとに描かれた主人公の髪型も流行したが、フォントルロイ・スーツと同じく子供たちにとっては親からのお仕着せであった模様。
あらすじ
1880年代のアメリカ・ニューヨークの下町に生まれ育つセドリック・エロルは、貧しいながらも母と二人で幸せに暮らしていたが、突如イギリス貴族の跡取りとなるべく渡英することになる。
引き合わされた祖父のドリンコート伯爵は、米国人の女性と結婚した息子を勘当するほど大のアメリカ嫌い。
伯爵は当初セドリックを母親から引き離し、手元で跡取りにふさわしい養育をしようと試みる。
しかし天真爛漫なセドリックは偏屈な祖父をも一途に慕い、次第に伯爵もセドリックの純真さに頑なな心が解きほぐされていく。
そんな中、正統な後継者だと名乗る母子が現れ、セドリックのフォントルロイ卿としての立場は揺らいでしまうのだった。
登場人物
- セドリック・エロル(Cedric Errol):本作の主人公。両親譲りの美しい顔立ちと、心根の優しさを持つ7歳の男の子。
- エロル夫人:セドリックの母。元孤児のアメリカ庶民で、気立てが良く美貌の持ち主。
- ホッブズ:セドリックの友人で、食料品屋の店主。
- ディック:セドリックの友人で、靴磨きの少年。
- ドリンコート伯爵(Earl of Dorincourt):セドリックの父方の祖父。気難しい老人。
- ハヴィシャム卿:ドリンコート伯爵家の顧問弁護士。イギリスからセドリックを迎えに来る。