百子の誕生日のパーティーが始まろうとした時、
ゲンの通信機から怪獣出現の報が!
怪獣ガロン・リットル兄弟対レオの対決!その中を逃げ惑う大村
レオ危うし!その時、彼方から現れた赤い炎の球、それは…
さぁ、みんなで見よう「ウルトラマンレオ」!!
放送日
1974年9月6日
登場怪獣
STORY
ある日、百子はカオルに事情を知らされずにゲンの部屋へと連れられて来た。そしてドアを開けると、中にはゲン、トオル、猛の3人が拍手で出迎え、ケーキやフルーツなどのご馳走が並び、何本もの花が花瓶に詰められていた。
そう、今日は百子の誕生日。ゲン達は百子のためにサプライズ・パーティーを計画してくれたのだった。
ゲンを普段は「おおとりさん」と呼ぶカオルは珍しく彼を「ゲン兄ちゃん」と呼び、パーティーをやろうと考えたのは彼だと百子に教える。百子に感謝されて照れるゲンをトオルがからかい、ゲンは「みんなの気持ちを代表して…」と弁明するがトオルは更に「照れない照れない」と追い討ち。ゲンも「こいつぅ」とやり返して部屋は笑いに包まれる。
そしてゲンが蝋燭に火を灯そうとすると、それを猛が止める。まだ大村がいないのだ。どこへ行ったのかと皆が考え込んでいると、1人知っていると言うカオルが手を回すジェスチャーをする。ゲンはそれが自転車のことだと気付き、「肝心な時にいつもいないんだから」とこぼす。トオルが「まぁいいじゃない、お姉ちゃんは今日はいいんだもんね」と宥め、百子も少々恥ずかしがる中ゲンがマッチをすり、蝋燭を一つ点火したときだった。
マックシーバーが鳴り、応答すれば東京102地区に怪獣が出現したとのことだった。仕事が入ってしまったため席を外すゲンに、百子は頬を膨らませるのであった。
百子「んもーっ!おおとりさんだってそうじゃない、フン」
(場面転換)
口から猛烈な火花を吹き、街を荒らし回る怪獣。逃げ惑う人々の中には、自転車に乗った大村もいた。折角のトレーニングを邪魔されたとお冠の大村だが、怪獣は知った事かと言わんばかりに猛威を振るう。口から放たれた火炎弾にマッキー3号が被弾し、搭乗者は慌てて脱出。ダンの乗ったマックロディーの近くで応戦するゲンは、これで4機目の戦闘機が落とされたことからこのままいくと全滅だと焦る。直後に別のマッキー3号がやられ、ダンもゲンに後を託す。ゲンは怪獣に立ち向かうべく、近くまで駆けていく。
その頃、逃げて来ていた大村は何かに気づいたように塀の近くで自転車を停め、反対方向から来たゲンと出会う。
ゲン「大村さん!こんな所で何をしてるんですか!?」
大村「この中から、悲鳴が聞こえたような気がするんだよ!」
ゲン「この中から?」
大村「おう!」
ゲン「分かりました、僕が調べてみます!さぁ、早く逃げて!」
大村「おお…!おい、あの怪獣名前はなんて言うんだ!?」
ゲン「ガロンです!さぁ早く!」
大村「ガロン!?」
ゲン「さぁ、早く…!」
ガロンは火花を吐き出しながらゲンに迫る。大村を避難させて1人戦うゲンだったが、その耳元に子供の声が聞こえた。
お兄ちゃーん、助けて!礼央兄ちゃん!
明日香!がんばれ!
ゲンがその声の方へ向かってみると、瓦礫の中血塗れの少年が兄へ助けを求めていた。しかし子供の力では大きなコンクリートの塊を退かすことはできず、その間にも刻一刻と火が迫る。ゲンも煙が立ち込める中2人を探し、すぐに共に助けにかかる。その間にもガロンは暴れ続け、一向にレオが現れない事にダンは疑念を抱く。
やっとの思いで子供1人程のスペースだけ瓦礫を持ち上げることに成功し、兄の少年が弟を助け出す。
しかしガロンもダンの眼前に迫りつつあり、ダンはバイザーの通信機で本部の白川隊員を呼ぶ。
ダン「本部!本部!モロボシだ!」
白川「MACの被害は、これまでも最大のものです!死者3名、負傷者16名、マッキー2号機2機破壊、両マッキー3号機4機破壊」
ダン「怪獣ガロンは我々に勝って自信を高めている!何としてでも倒さねばならん!全員出動体制に入れ!!」
白川「了解!緊急指令、緊急指令!全員出動!目標、東京102地区、東京102地区!」
基地の隊員達が次々とヘルメットを手に手に急ぎ、ガロン迎撃に赴く。
一方のゲンは病院へ少年を担ぎ込み、担架に乗せられた明日香少年に兄の礼央少年が必死に呼びかけていた。
明日香少年は手術室に連れられ、残された礼央にゲンは話しかける。
ゲン「僕はMACのおおとりって言うんだけど、君は確か…礼央君だったよね?」
礼央「岡村礼央です、あれが…弟の明日香です」
ゲン「明日香君か…でも君達はどうしてあんな所にいたんだ!?」
礼央「お父さんの会社です、今日は明日香の誕生日で、どっかで一緒に食事しようって、そしたら、そしたら怪獣が…!」
ゲン「そうだったのか…じゃ、お父さんとお母さんは…!」
ゲンの言葉に無言で頷き、今にも泣きそうになりつつ頷く礼央。そのまま近くの椅子に座り込み、力無く項垂れる。そんな様子の礼央に、ゲンは元気付けようと寄り添い、手を握る。
礼央「もし、明日香が死んだら、僕は、僕は…!」
ゲン「大丈夫!明日香君はきっと助かるさ…元気を出せよ!僕は君の気持ちは、誰よりもよくわかるつもりだよ?僕にも弟がいたんだ…でも怪獣のために、炎の海の中で、行方不明になってしまったんだ…両親も一緒にね」
礼央「えっ、おおとりさんも?」
ゲン「君にはまだ、明日香君がいる!君の力で助けたんじゃないか…!頑張れよ!明日香君の為にも、な?僕もできるだけのことはしよう…!必ずあの怪獣を倒してあげる、君や明日香君の為にも、もうこんなことはさせない!」
偶然にも自身の本名と同じ名前の少年に、嘗ての自分を重ねるように、勇気を誓うゲン。その間にも破壊活動を重ねるガロンを倒すべく駆け出すゲンの前に、病院を訪れたダンの姿が。
ゲン「隊長!」
ダン「ゲン、何故変身しなかった?」
ゲン「あの子達を助ける為に…!」
ダン「どうして知らせなかったんだ…!子供達は我々に任せるべきだ、お前の今の使命は、レオに変身する事ではなかったのか?お前以外にヤツを倒すことのできる者はいない…それはお前自身が一番よく知っている筈だ…!」
ゲンの言い分も理解しつつ、彼の肩に杖をかけるダン。ゲンも自身の行動を素直に反省する。その様子にダンは杖を下ろす。
ゲン「すみませんでした…」
ダン「勿論子供の命も大切だ…しかしその為に、より大きな犠牲が生まれている…!ゲン、どんな理由があろうとも、戦うべき時は戦わねばならん!私もMACの隊長としては、レオなどに頼りたくはない…だか同じ宇宙人としては、お前だけを信頼しているんだ…!」
ゲン「隊長…!」
レオに頼りたくはないという言葉に一瞬振り返るものの、改めて信頼関係を確認しあうゲンとダン。すると、ダンのマックシーバーに白川隊員から報告が。
ダン「モロボシだ」
白川「怪獣が移動しました!103地区です、急行願います!」
ダン「よしわかった!ゲン、頼むぞ…お前なら必ず倒せる!」
ゲン「はい…!」
ダンからの熱い信頼に応えるべく、出口へ突っ走るゲン。しかし、ダンはゲンを再び呼び止めた。
ダン「ゲン!あの子のことは俺に任せていろ、死なせはせん!」
ゲン「はいっ!」
ダンは礼央・明日香兄弟を守ることを約束。ゲンは怪獣の下へ向かう。
(場面転換)
103地区はまたもや大村の姿が。逃げる所についてくる様だと焦る大村だったが、服がちょっと派手だったのかもしれないと反省。やがて現場にマックカーで辿り着いたゲンは、ダンの言葉を思い出す。
ダン(ゲン、頼むぞ!お前なら一発で倒せる相手だ…!)
ゲン「行くぞ…レオーッ!!」
ゲンはレオへと変身し、ガロンに立ち向かう。前回のノースサタン戦の特訓及び勝利を経て、レオは既に十分な力を得ていた。ガロンに組み合って押し飛ばされるものの、攻撃を受け止めてパンチ2発で吹っ飛ばし、投げ飛ばす。
大村もレオへの声援を飛ばし、レオはガロンを蹴倒して尻尾を逆エビの如く抑え、殴りつける。ガロンの抵抗にあって弾かれるが、すぐ立ち上がって飛び込み、キックや巴投げで攻撃。堪らずガロンは逃亡を図るが、ダンもマックロディーで応援に駆けつけていた。そして通信機で本部へ呼びかける。
ダン「全MACに継ぐ!ウルトラマンレオを援護し、怪獣の逃げ道を塞ぐんだ!」
隊員「了解!」
(Aパート終了)
余談
記念すべきアストラ初登場回。
本話の影の主役でもある大村はこの回以降登場しない。が、第40話以後もゲンがスポーツセンターへの勤務を続けていられるのは彼が生存している立派な証拠であるとも言える。
ダンは「MACは今や全滅寸前だ」と言っていたが、それが第40話で事実になってしまうとは誰が予想しただろうか…
何気に本作で地球怪獣が登場した3話目にして最後の回でもある(あとは第8話と第12話が該当)。
レオが2体以上の怪獣と戦ったのは、この回と第1話、2話に登場したマグマ星人とギラス兄弟のみである。