凶暴に暴れ回る怪獣ベキラに対し、
MACは総力を結集したが、効き目は無かった。
果たして、十貫とは何者なのか?急げゲン、急げレオ!
さぁ、みんなで見よう!
放送日
1974年5月31日
登場怪獣
暴れん坊怪獣ベキラ
STORY
ナレーション「東京近郊に怪獣出現の報に、MACは直ちに出動した」
厳重な警戒網を突破した怪獣を警戒する青島。特殊レーザーガンですぐ仕留めると息巻くゲンに対し、現場指揮を採る青島は張り切るのはいいが勝手な行動はするなと釘を刺した。
尻尾を振り回し、ビルを砕く怪獣。マッキー2号と3号の猛攻をものともせず、荒れ狂い続ける。
青島「ベキラの奴…!」
ゲン「エェイ!くそ…ミサイルもナパームも効かないなら、奥の手だ!」
レーザーを発射するゲン。しかし、それすらもベキラには通用せず。青島の指示で3号共々目を集中攻撃するが、怯む様子すら見せない。
やがてベキラは口から大量の火花を吹き、3号を撃ち落とす。攻撃を続けるよう命じる青島だが、ゲンはふと手を止める。なんと燃える街を1人の人影が走っていた!
避難命令が出たにもかかわらず、残っていた1人の不注意な者の為に多くの犠牲が出るのを見てる訳にはいかないと言う青島。だが、ゲンは脱出して救助に行こうとする。勝手な真似は許さんと青島に制止されるが、腕を振り払い脱出スイッチを押して地上に降りるゲン。青島は多いに苛立つ。
パラシュートを収めたゲンは、頭からゴミ箱を被って逃げる男性に声をかける。すると中から現れたのは、なんと大村だった。
逃げ遅れた理由はパチンコに夢中になり過ぎて気がついたら怪獣が来て人っ子一人いなくなっていたというなんともマヌケなもの。しかも首尾のパチンコ玉を拾おうとして粘る始末の大村に、ゲンは呆れつつも捨てて早く逃げるよう言う。大村もやっと諦めてくれたが、ベキラはすぐそこまで迫っていた。
焦りからゲンの報告を待たずして攻撃をかける青島。しかしベキラの攻撃でマッキー2号は撃墜され、青島も脱出。怒ったゲンはマックガンのレーザーでベキラの背中を狙い撃つ(ついでに大村も隣で石を投げる)。すると、あれだけ威勢のよかったベキラは急に黄色い煙を挙げて逃げ去ってしまった。敵の弱点を見抜くゲンだったが…
(場面転換)
本部で青島に命令違反を責められるゲン。黒田や赤石までも、人命を蔑ろにしようとした青島ではなく、近頃スタンドプレーが目立つ、チームワークを見出す奴とは戦えないとゲンの方を叱り、白川は上目遣いでゲンを睨み、桃井までもゲンを凝視する始末。勝手なことをしなければ2号機が落とされずに済んだと言い張る青島に対し、ゲンは弱点を見つけることができたと反論。すると今度は黒田がしゃしゃり出て来て、弱点を見つけたのは怪我の巧妙だと皮肉を言い、それに一度見られた弱点を怪獣がそう簡単には晒さないだろうと筋違いの批判を浴びせる。
当然だが納得のいかないゲン。自分が悪いとは思わんのかとゲンを立たせようとする青島だが、そこにダンの声が響き渡る。ダンは青島を諌めつつも、ゲンに一週間の謹慎を言い渡す。自分の行動を反省するよう語るダンだが、やはり納得のいかないゲンは反発する。まだ文句を言う青島に、遂にゲンも怒り心頭。大村を見殺しにすればよかったのかと青島に言い返すが、当の青島は「命令違反の事を言ってるんだ」と話を逸らす。再度ダンに止められ、対策を急げと残して行ってしまうダン。ダンを追おうとするゲンを青島が掴むが、ゲンはその腕を強く弾き飛ばしてさっさとダンの下へ急ぐ。
ゲン「隊長!待って下さい、怪獣の弱点を知ってるのは僕だけです…僕がいない間に、もし怪獣が出たらどうするんですか!?隊長!」
ダン「ゲン、自分がいなければMACは何もできんという、お前のその考えが他の隊員の神経に触っているのがわからんのか」
ゲン「しかし実際の問題として、あの怪獣を倒せるのは僕だけです!」
ダン「友情やチームワークのことも考えろ」
ゲン「馴れ合いの友情やチームワークに何の価値があるん…」
ダン「バカヤロー!!思い上がるのもいい加減にしろ!!」
ゲン「隊長、友情やチームワークの為に戦ってるんじゃありません…戦っている間に、自然に湧いてくるものが友情やチームワークでしょう!?」
今回ばかりはダンに怒鳴られても引き下がらないゲン。その言葉に一瞬ダンは黙り込む。かつてダン自身も、ゲンの言う通り共に死地をくぐり抜ける内に仲間達との絆を育んでいったのだから。
ダン「…しかしお前は怪獣とは戦えん」
ゲン「何故です?」
ダン「俺と一緒に来い!」
ダンに連れられてゲンは体育館にやって来た。ダンは背中が弱点と気づいたというゲンに対し、どうやって背中を攻撃するのか、自分にやってみろと指示する。
言われた通り背中への攻撃を試み、ダンの背中へジャンプするゲンだが、着地した瞬間ダンの杖捌きを食らう。再び立ってジャンプを繰り出すゲンだったが、今度は空中で叩き落とされてしまう。
倒れ伏し、悔しがるゲンの横を通り過ぎようとするダン。ゲンは必死に杖に縋り付く。
ゲン「隊長!」
ダン「秩父の山奥に、我心山という山がある。その山の中に白雲庵という寺があって、十貫という坊さんがいる」
ゲン「"十貫"?隊長…!」
ダン「一週間の謹慎、確かに言い渡したぞ!」
手を払って去りゆくダン。残されるゲン…
(場面転換)
バイクに跨り、我心山を登るゲン。白雲庵に辿り着いたゲンは、中に呼びかけるが返事はなし。すると、そこに1人の老人の姿が。早速挨拶をするゲンだが…
ゲン「こんにちは!」
老人「こんにちは」
ゲン「あの、MACのモロボシ隊長に聞いて来たんですが、こちらに十貫という坊さんはいらっしゃいますでしょうか」
老人「…ダンの奴また厄介事を持ち込んできたな」
ゲン「はぁ…?」
老人「なーに、独り言」
ゲン「あなたが十貫さんですか!」
老人「違いますよ?十貫は留守」
ゲン「はぁ…」
老人「ハイ、ごめんなさいよ」
ゲン「あ、ちょっと!?」
小走りに走り行く老人を追いかけるゲン。すると道先に居た少年・松鷹が、老人を「十貫坊」と呼ぶ。
笑って少年に駆け寄る老人。やはり彼こそが十貫であった。
しかしそのことをゲンに追求されても、「本人が違うと言っているのにこんな確かなことはない筈じゃ」と屁理屈を言う十貫。ゲンはそんな十貫に土下座し、怪獣を倒す方法を請う。しかし十貫は怪訝な顔をして、怪獣なんて知らないとゲンをあしらう。もう一度頼み込むが、くどいと言った十貫は土下座するゲンを踏みつけて先を急いで行く。
ゲンのことなど気にせず、松鷹少年と楽しげに雑談しながら山道を歩く十貫の姿に、ゲンは次第に怒りを募らせる…
(Aパート終了)
集めた枝を焼いて炭を作っていた十貫達。だが頭に血が昇っていたゲンは、近くの枝を拾って十貫を後ろから殴打。
怒った松鷹がゲンに枝で殴りかかるが、十貫は頭がおかしいんだから放っとけと言う。
枝を放り捨てたゲンは仕方なく道着を見に纏い、一人で特訓を開始。
木々をくぐり、手刀や蹴りで次々木を折り倒すが、その様を真似して茶化す松鷹と一緒に笑うだけ笑って、その場を去る十貫。益々フラストレーションを溜め込むゲン…
やはり十貫を追うことにしたゲン。彼は松鷹を抱え、川辺に突き出した岩場を易々と飛び越えてゆく。
その技に目を見張るゲン。なぜか十貫が立ち止まって見詰める中、ゲンも辿々しくもなんとか川の向こう岸に渡り切る。
今度は岩場も突き出していない川辺に差し掛かると、ここで十貫は信じられない技を見せた。
松鷹を抱え重い荷物を背負ったままで、助走をつけて岩肌に跳躍、三角跳びで空中回転しながら向こう岸へ渡ってしまった!
ゲン「これだ、これができれば…!」
ベキラを倒す術を知るゲン。またも十貫が見詰める中、ゲンは三角跳びを試すが、見様見真似で簡単にはできず、川に落下。立ち上がるゲンに、十貫は目を細める。
ゲン「十貫さん…!」
十貫「うむ、"放てば手に満ち"じゃ。何事も雑念を捨てて、肩から力を抜いてやってみなされ」
ゲン「…はいっ!」
十貫がゲンに冷たく当たっていたのは、彼を焚き付けるためであった。ダンの様に特訓を見守ることなく、白雲庵に帰る十貫と松鷹。悔しい思いを胸に激らせ、ゲンは三角跳びの練習を続行。世を通してその辛い努力は続いた。頭から川に何回も落下するゲン。
ゲン「だめだーッちくしょォーー!!!」
それでも諦めずに飛び続けるゲン。いつしか夜は明け、陽が登る。そしてゲンはとうとう、向こう岸へ飛び移ることに成功する。
ゲン「できた!ようし…!!」
再び三角跳びを実践するゲン。やはり見事に向こう岸へ着地し、技を完全なものとする。そこには、様子を見にきていた十貫の姿も。
十貫「出来たのう…!」
ゲン「はい!ありがとうございました…!!」
十貫「東京にな、何やら現れたそうな…早く行きなされ」
ゲン「怪獣がですか!?」
頷く十貫。その頃、山岳地帯から姿を現したベキラは、街を目指して進撃していた。口からの火花光線で工業地帯を破壊。
すぐさまバイクで山を駆け降りるゲン。マッキー2号と3号が攻撃をかけるがビクともせず。
ダン、青島、黒田の乗ったマックロディーが現場に到着。青島は弱点の背中を狙うべく、ダン達がマックロディーで攻撃して気を取られている間に単身ベキラに突っ込み、股を括って背後に回る作戦を立案するが、あまりに危険な策故にダンに止められる。
だが、ダンを振り切り青島はベキラに突撃。ダンの指揮の下、マックロディーの援護が火を吹く。
アトミックレーザー5を携えて立ち向かう青島。しかし、ベキラまであと少しという所で吹っ飛ばされてしまう。
直後、バイクに乗ったゲンが駆けつける。ダンに十貫坊に会ったかと聞かれ答えるが、ピンチに陥る青島を救うべくゲンもまたバイクで突っ走り、青島を助け起こす。
ゲン「青島隊員!大丈夫ですか!?」
青島「おおとり、俺も命令違反しちまったよ」
ゲン「早く!」
青島「あぁ、すまん…!」
自身が乗ってきたバイクに青島を乗せるゲン。
ゲン「走れますか?」
青島「大丈夫だ、お前は!?」
ゲン「ヤツの後ろに回ります」
青島「おおとり…!」
ゲン「早く!」
青島「すまん、頼むぞ!」
青島にマックガンを託され、1人ベキラと対峙するゲン。
戻ってきた青島を黒田に病院へ運ばせるダン。青島は平気だと訴えるが、ダンに一喝される。
ベキラに押し潰されそうになりながらも、ゲンはレオへと変身し、ベキラを蹴り飛ばす。
ダンが見守る中、遂に直接対決が始まった。倒れて怯むベキラに駆け寄るレオだが、ベキラの尻尾がレオの足に命中。だがレオはそのままベキラにマウントを取り、両者揉み合いながら起き上がり、激しい打撃の応酬へ。
ならばと火炎攻撃を使うベキラだったが、レオはジャンプでこれを避け、後ろに回って尻尾を捕まえて苦しめる。
そのままジャンプで空中に跳んだレオはベキラの頭を蹴って倒し、エネルギー光球を発射。
爆発して狼狽するベキラに尚も挑みかかり、容赦のない攻撃でベキラをグロッキーに追い込む。
ここでレオはベキラの突進を躱すと、近くの山肌に跳び、あの三角跳びを加え、必殺技を繰り出す…
そう、レオキックを!
見事にレオキックは背中に命中。黄色い煙を挙げてベキラは爆死した。
ダンも喜びを顔に浮かべる…
その後、2人して命令違反したことを本部でダンに注意される青島とゲン。しかし…
ダン「二人共命令違反だ、青島は5日間勤務に就く事を禁ずる」
青島「すいません」
ゲン「隊長…!」
ダン「謹慎の期間はまだ5日間残ってるな」
ゲン「…はい」
ダン「スポーツセンターの方から矢の催促だ、早く返してくれってな…どうやら大村さん、忙しくてパチンコに行く暇もなくて悲鳴を上げてるらしい」
笑いをあげるダンとゲン。青島も温泉に行くといいとダンに告げられる。肩を取り合って去っていく二人には、確かな友情があった。ダンもそれを笑顔で見つめるのだった…
余談
記念すべき初のレオキックによる決着が描かれた回。
この回、ウルトラマンの変身者が一般人をいきなり殴るというあるまじきシーンがあるが、ゲンはまだ未熟故に仕方のない所もあるため、特に話題にならない。そもそも悪いのはゲンを煽るだけ煽った十貫の方だと主張する者もいる。
マックガンの光線発射が使用された珍しい回でもある。
この回以降、黒田隊員は登場しておらず、代わりに平山隊員が登場している。ちなみにダンは黒田を青島と間違えて呼ぶシーンがある。