地球に芽生えた美しい宇宙の花。
不思議な植物の正体は何か?
花を武器とする怪獣ケンドロスの陰謀に、
愛する心を守る為、我らがヒーロー・ウルトラマンレオが立ち上がった!
さぁ、みんなで見よう!
放送日
1974年5月24日
登場怪獣
地獄花剣輪草
植物怪獣ケンドロス
STORY
ナレーション「地球侵略を狙う怪獣ケンドロスが、その日も遥か宇宙の彼方から様子を窺っていた。そして何かを地球に向かって発射した。地球の人々の常識では測り得ぬ危険が、今飛んでいくのだ」
ケンドロスが吐き出した黄色い光は、城南スポーツセンターの中庭に落ち、やがて一輪の花となって芽吹いた。
時を同じくして、スポーツセンターの中から出てくるゲンと百子。蛇口で顔を洗い、水を飲む2人。スッキリしたという百子にゲンはお腹もスッキリ空いちまったと言い、ロマンチックじゃないのねと百子に笑われる。
ふとゲンが目を向けた先には、あの花を摘むカオルの姿が。笑顔で話しかけるゲンだが、花を見た途端顔を強張らせる…
ナレーション「ゲンは宇宙人としての超能力で、この花が地球の植物ではないことを知った」
花を捨てるよう指示するゲンだが、当然拒否するカオル。百子も「お父さんとお母さんの写真の前に花を刺したい」と言うカオルを庇い、彼女を帰らせてしまう。百子に訳を聞かれてもゲンはまさか宇宙植物だとは言えず、毒かも知れないと聞かせるが、百子はあんなに綺麗で匂いもいい花が毒な訳がないと信じない。カオルを追おうとするゲンだったが止められてしまう。
百子「おおとりさんってほんとにロマンチックじゃないのね…その上女の子の気持ちが全然わからないんだわ」
ゲン「しかし俺は…」
百子「女の子は誰でも花が好きよ、だから毒なんかないって直感でわかるわ…道端の花にも目を留めるような優しさがなければ、いくら強くてもだめだと思うなぁ」
ゲン「僕はただ…」
百子「私言い過ぎたかしら、ごめんなさい」
百子にとっては何気ない言葉だったが、ゲンはその場に立ち尽くす…
(場面転換)
MAC本部に戻ったゲンは、ダンに叱責される。
ダン「バカモノ!!何故無理矢理にでもその花を取り上げ、処理しなかったんだ」
ゲン「…宇宙からのものであるということはわかります、しかしそれが、必ずしも害のあるものかどうかは…はっきりしません」
ダン「ケンドロス星にある、剣輪草に似ている」
ゲン「剣輪草?」
ダン「成長しきると金属のように固くなる花だ。毒はないが、その花を武器に使う怪獣がいると聞いたことがある…とにかく処理するんだ」
ゲン「カオルちゃんが、両親の写真に備えた花をですか?」
ダン「地球のためだ」
ゲン「地球は守ります、しかし…花の美しさや、鳥の囀りを楽しめる人間にもなりたいんです」
ダン「命令だ」
ゲン「もし万一怪獣が来ても、花を使う前にやっつけてしまえば…」
ダン「"命令"だ!」
直後、白川・桃井隊員が花束を持ってきて、ダンに綺麗でしょうと見せる。しかしダンは花束を見ただけで返事も返さず、ゲンを連れて行ってしまう。並々ならぬ事情を察知し、去っていく2人を見つめる両隊員。
ダン「毒があるのは我々の方かも知れん。地球の子供が、単純に美しいと見る草花も、我々が見ればその正体が見えてしまう…多少嫌がられたり憎まれたりしても、怪しいものをどんどん処理していくのが、我々の仕事だ」
ゲン「しかしその為に…女の子の優しい心を、踏み躙るような事があってもですか」
ダン「そうだ、それぐらいのことで女の子の優しさがなくなってしまいやせん…何も起こらんかもしれん、しかしもし何かが起きたら、取り返しのつかないことになる」
その日の夕方、百子宅を目指して河原を突っ走るゲン。しかしカオルの部屋で、父の写真の前に飾られた剣輪草は、突如光り輝いて変質。花弁を高速回転させて飛行し、ガラスを割って部屋を抜け出し、丁度帰って来る所だった百子、トオル、カオルを襲撃。その後、何処かを目指して飛び去って行く剣輪草を発見したゲンは、レオに変身して後を追う。
剣輪草が向かった先はBX-203地区。そこには案の定ケンドロスの姿も。指先からのジェット噴射で地上に降り立ったケンドロスは、身体をボール型にして辺りを転がった後、飛んできた剣輪草に口から青い光線を発射。剣輪草はプロペラ状に変化し、ケンドロスの頭部に合体。怪獣の姿を確認したレオはケンドロスに立ち向かうが、ケンドロスは剣輪草をレオに向けて回転させ、突風を巻き起こす。前に進めず吹っ飛ぶレオに、ケンドロスは早くも必殺技を抜いた。なんと頭部の剣輪草の花弁が分離、ブーメランの様にレオに襲い掛かった!
更に指先からロケット弾を放ってレオを奇襲するケンドロス。その間に続々迫るブーメラン。発電所が破壊され、空中バク転でケンドロスを飛び越えるレオ。ブーメランを叩き落とそうと試みるが、矢継ぎ早に発射されるブーメランを全て捌ききれず苦戦。その頃、マッキー3号からの報告で怪獣出現を知ったダンは、本部のモニターで様子を見守っていたが、苦しむレオの姿に基地を立った。
やがてダンの乗ったマッキー3号が到着。幾ら発射してもすぐケンドロスの頭頂部に戻り、再度繰り出されるブーメラン攻撃と、剣輪草を引っ込めて放つ転がり突進を前に、相も変わらずに劣勢のレオ。
ダン「レオ、立て!立つんだ…!」
マッキー3号の援護射撃が、球状化したケンドロスに唸る。これを受けたケンドロスは、剣輪草をヘリコプターの様に回転させ、空を飛んで撤退。ひとまず危機は去ったが、怪獣に歯が立たなかった無念を胸に、レオは飛び去った。
その日の夜9時半近く、スポーツセンターで待つ百子、トオル、カオルの前に、傷だらけになったゲンが現れ、玄関先で倒れてしまう。慌ててゲンを助け起こす3人。一方ダンも、基地にてレオとケンドロスの戦いの様子を写した写真を手に、対策を練っていた…
(Aパート終了)
翌朝、百子とカオルに看病され、部屋で目覚めるゲン。彼が剣輪草と戦って負傷したことを勘付いていた2人は、ゲンの言うことを信じなかったことを謝るが、ゲンは微笑んで百子もカオルも花も悪くない、悪いのは花を操る怪獣だと語る。そして起き上がってMACの隊服に着替えようとするが、苦悶を顔に滲ませる。
百子「まだ寝てなくちゃ駄目よ!」
カオル「お医者様が言ってたわ、一週間は大人しくしてる様にって…!」
ゲン「大丈夫大丈夫、こんなのかすり傷だから」
百子「でも…!」
ゲン「花を操る怪獣が、いつまた出るかも知れないんだから…じゃ、行ってきます!」
百子「おおとりさん…」
カオル「お兄ちゃん…!」
ゲン「カオルちゃん、今度の休みには花を摘みに行こうか、珍しい花をいっぱい」
カオル「うん…!」
部屋を出て行くゲンを、百子はずっと見つめていた…
その後、傷ついた身体を奮い立たせ、先を急ぐゲンをマックカーに乗ったダンが呼び止める。
車に乗り込んだゲンは、移動中ケンドロスによる被害状況を聞かされる。
ダン「私の恐れた通りになった…レオが倒れた後怪獣は東北に向かった。仙台地方に被害が続出している」
ゲン「申し訳ありません…」
ダン「総出動したMAC機も全部叩き落とされた」
ゲン「それは…」
ダン「謝らんでもいい、言い訳もいらん」
ゲン「仙台に飛びます!」
ダン「怪獣が花と合体する前なら、MACでもやっつける事ができた…しかし今は無理だ、今仙台に飛んでヤツに勝てるのか?飛んでくる花弁をどう防ぐ、自身はあるのか?」
ダンの問いに言葉もないゲン。そのままマックカーは訓練場に到着した。
ダンがトランクから取り出したのは大量のブーメラン。ダンはゲンから距離を置くと、ゲンに向かってブーメランをぶん投げ始めた!
次々投げつけられるブーメランを弾くゲンだが、全て捌くことはできず倒れ込む。しかし容赦なくブーメランは飛んでくる。地面を転がりながら避け、立ち上がってブーメランを素手で撃ち落とそうと努力するゲン。顔から血を流し、怯んで立てないゲンに何度もブーメランを打ち込むダン。
ゲン「隊長…!」
ダン「男は外へ出て戦わねばならん、何の為だ!その後ろで、女の子が優しく花を摘んでいられるようにしてやるためじゃないのか!?男まで、女の子と一緒になって家の中で飯事ばかりしていたら、一体どうなる!!立てい!!!」
防御姿勢をとるゲン。しかしそれだけで怪獣のブーメラン殺法は破れない。
ダン「いきり立て!!!」
防御姿勢を解いたゲン。何発も放たれるブーメランに耐え続け、閉じていた目を開き、眼前に飛んできたブーメランを二発受け止めることに成功する。一瞬投げ返そうとするゲンだが、構えをとったまま動かない。すると、ダンのマックシーバーに応答が。ゲンはゆっくりと腕を下ろす。
ダン「モロボシだ、何!?よしわかった、すぐ戻る!」
ゲン「隊長!?」
ダン「ケンドロスだ!東京に向かってる、2時間後には東京は襲われる!」
ケンドロスを迎え撃つべくマックカーで去っていくダン。残されたゲンは、ブーメランを手に佇むと…
(場面転換)
道着に着替えたゲンは、猛と百子の協力のもと、ケンドロス対策特訓を続行。瞬時にブーメランを見極めて叩き落としつつも、ブーメランの直撃を受けて倒れ込むゲンを見て百子は中止を進言。しかしゲンはもっと投げる言い、その後も厳しい練習は続いた。顔面にブーメランを受けて再び怯み、猛に心配されつつも、もっと強く投げる様指示。その甲斐あってゲンは、一度に六発ものブーメランを叩き落とし、空中殺法でブーメランに完全に対処する術を手に入れた。
技の完成に、猛や百子と喜びを噛み締めるゲン。が、次の瞬間ケンドロスが飛来。工業地帯を荒らし、ロケット弾を発射してビルを打ち砕くケンドロス。
マッキー2号と3号が一斉掃射をかけるが、ブーメラン攻撃で撃墜されてしまう。
ゲンはレオに変身し、ケンドロスとの再戦に挑む!
ケンドロスの腕を力ずくでもぎ取り、剣輪草を引き抜こうとするレオ。しかしケンドロスはレオを回転で弾き、ブーメラン攻撃を開始。しかしレオは軽やかな身のこなしでブーメランを全て弾き返してしまう。ケンドロスに残ったブーメランが最後の一つになってしまったのを見て、レオは新技・ボディブーメランを繰り出した!空中で身体を曲げ、高速回転する事で自ら巨大なブーメランとなったレオはケンドロス目掛けて飛びかかり、頭の剣輪草を切断!頭頂部から火花を吹き出して苦しむケンドロスに、レオは激しい打撃を打ち込んで攻撃。
ケンドロスは最後の手段とばかりに転がり突進するが、レオに躱されてビルに突っ込み、爆死してしまった。レオの勝利を本部で喜ぶダン。
後日、花畑に百子やカオルと遊びにきたゲン。ゲンがベンチで休む中、綺麗な花にはしゃぐカオルと百子。
百子「こらっ花どろぼう!」
カオル「花どろぼうって?」
百子「花どろぼうってね、こうやって綺麗に花が咲いてるでしょう?それをね…」
するとカオルと百子の悲鳴が。ゲンが駆け寄ってみれば
、そこには蜂が。ゲンは格闘術で、蜂を追い払う。一生懸命に蜂と戦うゲンの姿に、百子もカオルも笑顔を浮かべるのだった。
余談
コンビナートの破壊シーンは前作『ウルトラマンタロウ』最終回の流用。石油タンク破壊シーンは第45話、市街地が破壊されるシーンは第51話からの流用。
レオのスーツアクターを演じた二家本辰己氏は、自身のYouTubeチャンネルにて1番印象に残ってる戦いはケンドロスの戦いを挙げている。
現場ではダンの他にスタッフ達も一緒にブーメランを投げ込んでおり、真夏竜氏は一発くらい投げ返そうかと思ったらしい。
猛を演じた伊藤幸雄氏はこの後にブーメランで戦うミドレンジャー/明日香健二を演じている。
この回から番組タイトルにSEが追加された。