マグダレーナ(クロノクルセイド)
まぐだれーな
概要
CV:川上とも子
18~20歳 身長/164cm 体重/49kg
人物像
50年前にクロノとアイオーンが対立する原因となった女性。物事の全てを見通す「事象視」の能力を持つ「先見の聖女」。
エルダーが少女時代のマグダレーナをマグダラ修道会に連れて来たのを機に、修道会内で厳重に保護されていた。
ある時、アイオーンが広大なグランドキャニオンで、魔界(パンデモニウム)の首を探す「探知器」役を必要としていたため、元・アイオーンの仲間だったクロノが修道院から連れ出した。
彼女には自分が将来クロノに命を奪われる未来が見えていたが、それでもクロノに憧れていく。
最初は罪人たちと打ち解けていたが、パンデモニウムの首が覚醒した際に意識を汚染され、「世界の真理」の情報が漏洩するのを阻止するために、アイオーンはマグダレーナに殺意を抱くようになる。
マグダレーナの命を守りたいクロノは、マグダレーナと命を懸けた契約(ホーンもメカも使わず、悪魔の爪を体に串刺しにするというもの)をし、一緒に逃亡生活を続けていたが、マグダレーナは次第に衰弱していく。
やがて、クロノと一緒にいたことが仇になってアイオーンに追いつかれ、アイオーンにクロノと一緒に体を串刺しにされて死亡する(クロノは悪魔で再生能力があったため、生き延びたが、ホーンをアイオーンに折られた直後だったため、再生能力をすべて使い果たして少年の姿になってしまった)。
戦闘能力は持たないが、日常シーンでクロノと一緒に裁縫や洗濯を手伝う姿などが描かれている。
アニメ版
アニメ版では、アイオーンの計画を阻止するために天が使わせた偽物の聖女で、クロノを愛していたが、アイオーンに目的阻止のために殺害されてしまう。
原作では、シェーダとリゼールよりも胸の大きさが控え目(美乳)で、露出度も控え目だが、DVDBOXのパッケージでは胸の谷間が見える巨乳になっていた。
最もアニメ版は、ロゼットとフィオレの胸が揺れる世界なのだが。
20年代のマグダラ修道会での扱い
レミントン牧師が眺めていたマグダラ修道会の修道院内の油彩画、シスターケイトの精神世界に登場したマグダレーナは、実際のマグダレーナとは細部が異なっていた。
クロノはクロノを宥めるロゼットにマグダレーナの面影を追い、シスターケイトは成長しようとするアズマリアにマグダレーナの面影を追い、エルダーはシスターケイトに「口先だけの司教よりも聖女の精神を受け継いでいる」と発言し、マグダレーナに似てると言われたアズマリアと幼い頃のサテラはそっくりであり、ロゼットの男性版・草食系版のようなヨシュアとフロレットは(アイオーンの皮肉とは言え)「似た者同士」と言われ、レミントン牧師は星になったマグダレーナを子どもたちを見守る絶対神のような見方をしていて、「聖女マグダレーナ」がマグダラ修道会の人々の共通意識になっているのは確かである。
マグダラ修道会のすべての人物がマグダレーナを敬愛しており、マグダレーナが誕生する以前にも、マグダレーナの前世とおぼしき聖女たちがいたのであろう。
マグダレーナに似ている人物(特に女性)はおそらくロゼットやアズマリア以外にもおり、通称「魔女」でありながらロゼットと生き方が対照的だったハーベンハイト家の女性たち、女悪魔だが人に愛された双子の母親であったリリス、モブのシスターたちやマグダラ修道会に助けられた街中の女性たちも似ていて、人によって解釈が違うのであろう。
本作での役割
本作の副題の「Mary Magdalene」の由来。
作者には「マグ」という愛称で呼ばれていて、おまけコーナーで、天使の輪と羽を付けられたり、紺色の博士服(アカデミックドレス)を着せられたりしている。
マグダレーナのロゼット、クロノ、アイオーンとの男女の関係以上に重要なのは、彼女が死の間際にクロノに言い放った言葉であり、その台詞とは、クロノを愛する自己犠牲の聖女ともクロノを呪う利己的な魔女とも取れる叙述トリック風の台詞であり、敢えて本編では(その台詞を聞いたクロノの心情も含めて)答えが出されていない。
実は、このマグダレーナのキャラ付けは、マグダレーナ以外の登場人物たちの性格の解釈及び本作の解釈ともシンクロしており、よく言えば王道で、悪く言えばありがち(読者によっては一本調子や雰囲気漫画に見えてしまう)なストーリー然り、読者によって感想が違うであろうメリーバッドエンド然り、本作をどういうニュアンスで解釈するかは読者の自由となっている。
マグダレーナは「本当の私はどこかにこぼれちゃいました=心はあるが、本当の自分を理解してくれる相手がいない」という印象的な台詞を言い放っており、彼女の心と共鳴した魔界(パンデモニウム)の頭・リリスのある重要な設定(本作の裏テーマにして最大のオチ)とシンクロしていて、後述する。
<以下は、嫌な解釈のほんの一例。超誤解!クロノクルセイド。>
- ロゼットとクロノはストックホルム症候群で両想いになった。
- 味方のロゼットとクロノだけが信念を持ったいい奴で悪役のアイオーンは信念を持たない嫌な奴で、読者的には主役男女が目先の幸せしか救えなかろうと精神世界内で主役男女がくっつけばそれで良し。
- クリストファ姉弟とハーベンハイト姉妹はクロ×ロゼやヨシュ×フィよりも優れた公式カップリングで、同性愛よりも異性愛のほうが、男が受けの関係よりも男が攻めの関係のほうが優れているに違いない。
- ヨシュアは長年連れ添った彼女のフィオレを捨てて地上代行者仲間のアズマリアに性的に手を出した嫌な奴で、アズマリアの要領がいいちゃっかりした性格と現代でサテラが出会ったアズマリアの孫息子はその伏線(ラストで地上代行者2人が慰め合っているシーンが多いため)。
- レミントン牧師は保護者を装ったペドフィリアのストーカーで、ラストのロゼットが再会した人間形態の大人クロノは彼が右手と左目を欠損させてまで青年クロノに化けた姿(体力が戻り過ぎ)。
- サテラは有能な姉のフロレットに嫉妬心を抱いていて、フロレットが魔界で彼氏持ちのリア充になるのを阻止する目的で、父の遺産を悪用して(表向きは)家族の仇を探す賞金稼ぎを名乗るようになり、フロレットと相打ちになる形でヨシュアとフロレットの仲を破局させた。
- ロゼットが始末書のお仕置き以外でシスターケイトと仲が悪い理由は、最初から最後までレミントン牧師を挟んで三角関係になっているからであり、ロゼットは最後の最後でクロノに浮気した(実際にはロゼットとシスターケイトの確執の理由になっているのはクロノであり、シスターケイトはレミントン牧師よりも男女混合の部下とのほうが仲が良く、アニメ版でシスターケイトがレミントン牧師に見せた情けもシスターとしての慈愛に過ぎず、出番が多いレミントン牧師ではなくアイオーンがすべての元凶だった)。
- サテラとフロレットの母親は毒親で、自ら動くフロレットとは違い使用人に任せっきりであまり動かない我儘お嬢様風のサテラの性格(晶喚獣たちがなかなかサテラに懐かなかった最大の理由だと思われる)を愛の鞭で叱っていたのではなく、サテラとフロレットを比較して苛めるのが趣味だった。
- ロゼットがカメラ目線でヨシュアに言い放った「現実で戦ってきた私はボーッと夢見てたアンタには絶対に越えられない」発言は、駄目な読者に向けたメタ説教を兼ねている。
- クレア、アンナ、メアリの三人娘はロゼットからクロノを寝取ろうとしているビッチシスターである。
- ロゼットの「あんただって笑ってるじゃん(サテラ宛て)」発言や「惑わせるってどういう意味よ(フィオレ宛て)」発言や「シスターケイト、左遷されたんじゃ!?(シスターケイト宛て)」発言といったドラマCDやアニメの声優の声(愛嬌・気遣いあり、邪念無し、不器用)を聞かないと誤解される言動は、すべてロゼットがリゼールに言い放った台詞とまったく同じニュアンスで話されている。
- クロノがヴィドとの戦いでロゼットの魂を削りまくったのは、日頃(混乱して)自分にパンチを食らわせたりしたロゼットへのささやかな復讐である。
etc.
※これ以上「世界の真理」を増やさないでください
上記のようなあからさまに公式設定ではなく、二次創作でも歓迎されない(アニメ版以上に酷い)個人の感想は存在しており、意識が汚染されたマグダレーナ以上の汚い心で本編を読むのは止めようというメッセージをマグダラ修道会のアイドル・マグたんは我々読者にも訴えているのであろう。
マグダレーナと共鳴し合った悪魔の母・リリスは「(物理的に)中身が空虚だった」オチであり、聖女の心、在り方の解釈が哲学の領域であることを表していた。
「てっぽうでうたれて」「はいってこないで、いたいいたい」「くろくて、おおきくて、こわい」の発言が複数の意味合いに聞こえるのは割と公式も狙っていると思われ、二次元を二次元として見られるようになった大人になってから読むと笑えてしまう発言である。ロゼットの初期設定のコウモリ嫌いを参考にしているのかもしれない。