クロノクルセイド
くろのくるせいど
森山大輔による漫画作品。
『月刊コミックドラゴン→月刊ドラゴンエイジ』(富士見書房)に1999年から2004年まで連載された。『コミックドラゴン』後期から『ドラゴンエイジ』初期を看板として支えた作品である。
アニメ化前にマリン・エンタテインメントからドラマCDが発売されており、アニメ版のドラマCDも発売されており、雑誌の懸賞、DVDの付録のドラマCDもある。
またアニメと同時期に富士見ファンタジア文庫より番外編となるライトノベル『翼よ、あれが魂の灯だ』(執筆:富永浩史)が出されている。
『正統派ファンタジー』以外のジャンルのカテゴライズが難しいが、
- ダブル主人公もの(男と女、人外と人間)
- 萌え漫画(女性キャラの魅力を見せつける描写、物理魔法の多用、ストーリーだけではなく世界観の美しさを見せる描写が目立つ)
- 10代群像劇(チュートリアル担当のケイト・ユアン・エルダーの身長・体重が設定されており、“ギャグで”ロリコンやショタコンを茶化す描写があるが、年齢不詳の悪魔を除く20代以上が恋愛に参加しておらず、モブキャラの描写にも配慮が見られる)
- 叙述トリック(敢えてメリーバッドエンドが正か負かの答えが出されておらず、読者の判断に委ねられている)
- 逆異世界転生(原作の最終回。ハーベンハイト姉妹は生身で現代に来たが、他のキャラは現代人に転生したのだろうか?アズマリア以外の子孫はいるのだろうか?クロノとロゼットは未だに霊的存在のままなのだろうか?実は現代はアイオーンの理想が叶った世界なのだろうか?)
- ハーベンハイト姉妹が生身で転移した現代世界は、我々読者が住む地球と同一ではなく、『リングアース』というパラレルワールドらしい。『夢から覚めたと思ったら、現実だと思った世界もまた夢だった』というSF、ファンタジーで王道の設定である。
で説明できると思われる。
クトゥルフ神話の用語は登場しないが、世界観が似せられている(主に原作)。
第一次世界大戦終結後の1920年代。それはまだ現代よりも夜の闇が濃かった時代。アメリカ合衆国は大戦による軍需景気に湧き、同国に生きる人間たちはその繁栄を謳歌しながら、自らの持つ「心の闇」に捕らわれていた。
好景気と投資によるにわか成金。マフィア・カジノ・禁酒法……。その光と闇に狭間に乗じて、ヒトの心の弱さを突き、暗躍する者たちがいた。悪魔と呼ばれる人外たちである。
宗教改革の時代において魔女狩りに端を発し、当時の宗派を超えて集った有志の人々によって設立された「マグダラ修道会」は「学問として魔女・魔法の本質を知る」ことと「その知識を利用し、悪しき者の災禍より人々を守り救う」事を目的とする、国家からの信頼も篤い悪魔退治(エクソシスト・悪魔祓い)を専門に行うプロテスタント系キリスト教教団である。
マグダラ修道会ニューヨーク支部に在籍する、悪魔祓い専門のシスターロゼット・クリストファは、相棒であるクロノと共に激動と繁栄と闇に満ちた米国を駆け巡る。それは、かつて悪魔アイオーンによって連れ去られた弟ヨシュア・クリストファを取り戻す為。この事は2人にとって忘れえぬ大きな影でもあった。
1914年に起こった海難事故により両親を失いセブンスベル孤児院に引き取られたクリストファ姉弟は、1920年に近くの森の地下遺跡(霊廟)で自らを悪魔と名乗る少年クロノと出会う。だが姉弟はそんな事を気にする風もなく彼を遊び仲間に交えた。
クロノも当初は当惑していたものの、姉弟との交流に心を開き安らぎを感じるようになる。だがクロノはかつて自らが犯した過ちとソレによって起こされた悲しみを原因として、自ら力を封じた悪魔だった。
彼が解放された事でその存在はかつての仲間であるアイオーンに知られる事となり、そのために地上代行者という「力(天上の「魂の大河」アストラル・ラインを制御する力。主には治癒能力の形で発現する)を持つ存在」であるヨシュアが目をつけられることとなる。
そしてアイオーンの企みによってセブンスベル孤児院は時を止められ、ヨシュアは連れ去られる。ロゼットはクロノによって辛くも被害を免れたが、ただ一人の生き残りとなってしまった。
自分たちの身に降りかかったこの災禍に対抗する術を問うロゼットにクロノは自らの持つ「悪魔の力」の解放を語る。
しかし、それはロゼットがクロノの「契約者」となり、自らの「魂の時間」を彼に与えることで力を引き出すという事。
すなわちクロノが本来の力を使えば使うほどロゼットの寿命が縮まっていく、という事を意味していた。ロゼットは迷わなかった。
弟を助け出す術を得るため、彼女はクロノの契約者となる。そして自分を保護したユアン・レミントン牧師の属するマグダラ修道会に入り、悪魔祓いとして修行を積む事で自身の戦う術を身につけようとする。
一方でクロノ自身もまたマグダラの管理下に置かれ、普段はロゼットの助手として悪魔祓いを手伝うことになる。
悪魔祓いの任務を続ける中、ロゼットとクロノは後見人であるレミントン牧師や上司であるシスター・ケイト、武器開発の「長老(エルダー)」であるエドワード・ハミルトンに見守られ、ヨシュアと同じ地上代行者で後に後輩ともなるアズマリアや宝石使い(宝石に精霊を封じ使役する能力者)サテラなどの仲間と出会い、彼らと共に世の人々に害を成す悪魔たちやアイオーン一派と戦っていく事になる。
主要キャラクター
- ロゼット・クリストファ(CV:川上とも子)
- クロノ(CV:石田彰)
- アズマリア・ヘンドリック(CV:千葉紗子)
- サテラ・ハーベンハイト(CV:根谷美智子)
- ケイト・ヴァレンタイン(CV:榊原良子)
- ユアン・レミントン(CV:速水奨)
- エドワード・ハミルトン(CV:西村知道)
- アンナ(CV:増田ゆき)
- メアリ(CV:小暮英麻)
- クレア(CV:力丸乃りこ)
- ジャック・ギリアム(CV:松本大)
- シスターグレイス
- エリザベス・グランバーグ
罪人サイド
- アイオーン(CV:井上和彦)
- ヨシュア・クリストファ(CV:皆川純子)
- フロレット・ハーベンハイト(フィオレ)(CV:桑谷夏子)
- リゼール(CV:沢海陽子)
- ジェナイ(CV:遠近孝一)
- シェーダ(CV:笹本優子)
- ヴィド(CV:木村雅史)
その他の登場人物
2003年11月から2004年6月まで全24話が放送された。
終了が原作とほぼ同着であったため、中盤までは明るいシーンも多いものの、終盤の展開がアニメオリジナルとなり、当時の流行に沿って宗教要素の強い独自設定が盛り込まれた(地上代行者や悪魔や神の設定や各キャラの目的も原作とは基礎から大きくかけ離れている)上でキャラクターたちが避けられぬ運命に翻弄されていくという原作に比べ暗く救われない作風になっており賛否両論である。とはいえ、一つの作品としては決して悪い作品ではなく、特に海外では高く評価されており、泣けるアニメ(あるいは鬱アニメ)の代表作の一つとしてしばしば挙げられている程である。
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クロノクルセイドの原作、8巻以降のお話をイメージしております。つまりED後未来予想ストーリー。そういったものが苦手、嫌いな方はご注意ください。 今作中に出てくる女の子は大体10~12歳をイメージしていますが、実年齢や身長などは読者様のご想像にお任せします。 この話はストックしてたものですが、書いていた当時、クロクルのED思い出してうるっときました。EDはいまだに泣きます。 彼らには幸せになっていただきたいですね。2,418文字pixiv小説作品- 大召喚戦記
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