不許葷酒入山門
くんしゅさんもんにはいるをゆるさず
多くの禅宗の寺の門前に立てられた結戒の一つ。
概要
日本の禅宗の寺院の横に設置された「戒壇石」という石柱に漢文で書かれている結戒の一つで、書き下すと「葷酒山門に入るを許さず」となる文言。
曰く、「五葷(長葱、辣韭、大蒜、玉葱、韮等匂いの強い野菜)と酒は修行の邪魔となるので山門への持ち込みは禁止する」という意味となる。特に曹洞宗の寺院に多いとされるが、詳細は不明。
しかしこの文言に読点を加えて「不許葷、酒入山門」とすればたちまち意味が変わり、「葷は許さないが、酒は山門に入れ」と読めてしまう。実際にこの句をそう解釈して、酒を「般若湯」と言い換えて酒盛りを楽しんでいた破戒僧(はかいそう)も存在したとされる。
また酒類が禁止されるのはともかく、五葷までも禁止されるのは、「それらを食べると若い修行僧が精力旺盛になり、煩悩が盛んになり修行の妨げになる」との理由だとされる。