概要
仏教において、身心を乱し智慧(洞察力)を妨げる心の働きであり、人間の苦しみの原因とされる要素である。
分かりやすい例えを上げると、あれが欲しい→何かしらの原因で買えない→諦められない・悔しい、いわゆる物欲がこれに当たる。
多くの宗派では、修行によって悟りを開き、この煩悩を把握・克服して、輪廻からの解脱(涅槃)を目指すのが、仏教の最終目的である。
日本においては「正しい教えはいずれ滅びる」という末法思想の影響により「教法が形骸化した末法に生まれるような人間はそもそものレベルが低いので煩悩をなくすための修行が不可能であり、仏のスーパーパワーで救ってもらうしか無い」という考え方が生まれ、浄土宗、浄土真宗、日蓮系各派の無戒思想の軸となっている。
煩悩の数
108個あるとされるが、最大で84000個・最少では三毒のみと振れ幅が大きい。
3つか5つに絞ったものとして以下があるとされる。
- 貪欲・瞋恚・愚癡(痴)の「三毒」
- 貪欲・瞋恚・惛眠・掉挙・疑の「五蓋」
- 貪欲・瞋恚・有身見・戒禁取見・疑による「五下分結・三結」
- 色貪・無色貪・掉挙・慢・無明による「五上分結」