概要
児童・生徒が、本来ならば自分の家に持って帰らなければならない教科書やノートなどの勉強道具を(持ち帰らずに)学校の教室の机やロッカーの中に置いておくこと。置き勉の主な目的は、以下の2つである。
また、一般的に置き勉の対象となるのは、授業回数が少ない教科(実技教科など)に使う教材や宿題(家庭学習)に使わない教材などである。
ランドセル症候群
置き勉の背景として、小学生が登下校時に背負うランドセルが重くなっていることがあげられる。特に近年、脱ゆとり教育等の影響で教科書の大判化やページ数の増加が進んでいることや、学校でのタブレット端末の活用が普及していること等の影響で、ランドセルの重量は年々増加傾向にあるとされる。大人でも大変な重さになっているという指摘もあり、それを体力や筋力の弱い小学生が毎日背負うことによる弊害は大きい。
ランドセルを製造販売する会社・フットマークが2022年11月1日に発表した調査結果によると「ランドセルが重い」と感じている小学生は9割以上(93.2%)にものぼり、保護者の9割近く(89.5%)もランドセルが重すぎるのではないかとかと感じているという。ランドセルが重いと感じている小学生のうち、3人に1人は通学を嫌がった経験があり、3.5人に1人が身体の痛みを訴えたことがあることがわかった。また、ランドセルの平均の重さは、前年(2021年)の3.97kgから4.28kgに増加していた。
アメリカでの調査によると、小学生が背負える重量の適正量は体重の約1割程度といわれており、たとえば体重が25kgの子供なら2.5kg前後がちょうど良いとされるが、近年のランドセルはこれを上回る重量となっている。重すぎるランドセルを背負うことにより、肩こりや背中・腰の痛み、頭痛などの症状が出る可能性がある。このようにランドセルが重すぎることによって子供が心身の不調を訴える現象は「ランドセル症候群」と呼ばれる。
文科省による認可
上記のように、置き勉は重すぎる通学カバンによる弊害を解消するなどのメリットが大きいことから、文部科学省は2018年9月6日に全国の教育委員会などに「児童生徒の携行品に係る配慮について」という事務連絡を出し、正式に「置き勉」を認める意向を示した。
ところが、それにもかかわらず置き勉を校則などで禁止している学校はいまだに少なくなく、その理由としては置き勉に以下のようなデメリットがあるからであるとされる。
- 家庭学習(テスト勉強など)の妨げになる
- 普段学校に置いておくものが自宅で必要になった時に持ち帰り忘れる
- 忘れ物をなくす習慣がつきにくくなる
- 紛失してしまうリスクがある
- 朝の準備をする習慣がつきにくくなる