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ゆとり教育

ゆとりきょういく

1980年代〜2000年代の日本に導入された教育政策。知識偏重の従来の教育から、意欲と自主性を重視した教育への転換を狙ったものであった。
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概要

第二次中曽根康弘内閣以降の日本国において、それまでの「知識偏重の詰め込み教育」や「偏差値学歴の過剰な重視」の反省から導入された教育法。それまでよりも授業の内容や授業時数を削減し、児童生徒に対し自主性を尊重する目的があった。ただしこの方式には問題があったとされ、多くの批判がある。
一方で誤解・誤認に基づいたゆとり批判も多いのが現状で、「ゆとり教育」という名前が一人歩きした結果誤った言説やデマが流れたという側面もある。
狭義には2002年の学習指導要領の大幅改訂から2010年頃の方針転換までの学校教育といわれるが、様々な制度が段階的に変更されているので始めも終わりもハッキリとは定義されない。

問題点

この教育のひとつの目標であった「生徒の自主性を尊重した教育」はそれまでそのような指導方法の経験がなかった一般の教師の力量では困難であった。
土台となる基礎的知識に乏しい児童生徒に対し「自由に創造しなさい」と指導しても、ごく一握りの上位層を除く普通の子供たちにはやるべき事が見いだせないし、教師も「受験戦争を勝ち抜いて、良い大学を出て、教師になる」という自由創造とは違うルートを歩んできているため、「不況時代に受験戦争や就活で他人を蹴落とすための自由な発想」が求められ、結果的には成績上位層と下位層の格差が広がったとされる。
地域によっては私立中への進学率が半数を超えるなどの「公立教育への不信」が広がったとされ、一部ではエリート選抜のための選民思想システムとまで呼ばれた。

単純に分量で比較して教科書が薄くなったことや、2002年に公立学校が完全週休二日制になったことなどから「ゆとり教育=とにかく甘やかす教育方針」という誤ったイメージが先行して定着してしまった。そのイメージは次第にエスカレートし、本来の教育の趣旨から離れた誤解も多く生まれた。
ちなみに「週休二日制」は公務員の働き方改革などの流れで導入されたもので、ゆとり教育の一環として導入されたわけではない。

「ゆとり教育が導入された途端に国際学力テストの日本の順位が下がった」というニュースからゆとり批判が一気に噴出し、2000年代に一種のブームになる。
しかし教育というものは結果が出るまで時間差があるのが普通であり、教育方針を変えた途端に如実にテストに結果が表れるということはありえない。また「国際学力テストの日本の順位」ばかりが報道され、具体的な点数の内訳や、日本以外の参加国が変化している(世界的に高度経済成長が起きていた)ことは無視されがちであった。
ゆとり教育導入前後で学力は実際にはほとんど変化していない、あるいは向上しているという分析もある。ゆとり教育の成果を評価するにはいささか性急すぎた、という指摘もある。

デマが流れたり、ゆとり教育とは関係のないことまでゆとり批判に絡められるという問題も起きた。「近頃の若者は」という批判はいつの時代でもあるものだが、「ゆとり教育」というネーミングがつくことで若者の悪いところはゆとり教育のせいというロジックになってしまったのだ。

この教育におけるプロパガンダ

この教育の実施中、「台形の面積」にまつわるものであったり、「円周率の桁数」にまつわるものなどいろいろ問題点が指摘されている。
しかし「学校で台形の面積の求め方を教えていない」というのは半ばデマであり(参考)、「円周率は『3』と教えている」というのもデマである。ゆとり批判はヒステリックな社会現象にまで発展しており、後にWikipediaにも「円周率は3」という項目が立てられているほど。
もともと丸暗記中心の「詰め込み教育」ではかえって内容が身につかないという「剥落学力」や、授業についていけない落ちこぼれ不良化するといった問題が指摘されており、「ゆとり教育」はそれに対する方向転換であった。
その中で時間や教科書のページ数といった単純なばかりフォーカスされたことで早くから学力低下が不安視されており、そこに便乗して入塾者を増やしたい学習塾業界が保護者らの不安を過剰に煽ったという側面も指摘されている。

他に「運動会でも順位をつけなくなった」といったことも「ゆとり」の象徴として噂されたのだが、実際にはごく少数の学校のみであり、ゆとり教育の時期とは関係なくそれ以前も以後も存在している。
また本来の「ゆとり教育」の趣旨とも合っていない。おそらく、成績のつけかたが相対評価制から絶対評価制に移行したということが曲解されてこうした噂が広まったと思われる。

教育関係者や小中学生の子供がいる親御さんならデマだと気付きそうにも思えるが、噂が巡り巡ると「うちの学校はたまたま違うけど、世間の主流はそうなのか」と思ってしまうものである。
「円周率は3」について教育関係者でさえ「世間ではそう教えるのが主流」と誤解していたというエピソードがある。問題はむしろ大人世代の方だった。

もちろん実際「ゆとり教育」にも様々な問題があった。が、「では何が問題だったのか」は漠然としがちである。
少なくともゆとり教育がこれほど荒れた根底には、「ゆとり教育」というネーミングの失敗、国民への説明不足、教育現場の準備不足があったことは確かだろう。

ゆとり世代

この目的に沿った教育を受けた世代を「ゆとり世代」と呼び、おおむね1980年代から2000年代にかけて教育を受けたおおむね昭和の終わりごろから平成一桁生まれのものが該当するものの、この制度は段階的に導入されたものであるためこの教育を受けた年代を一意的に定義はできない。

制度の終了

第1次安倍晋三内閣以降の公教育は、この教育への反省から脱ゆとり教育を打ち出し、「生きる力をはぐくむ」教育に進んでいる。ただしこの教育も「授業についていけない子供」や「生徒等や教員の過労」など発生するなど問題があるとされる。
実際に大きく変わるのは2020年のCOVID-19騒ぎで教育デジタル化の遅れが指摘されたことだった。

ヘイト用語として

こうした背景からネット上ではこれを皮肉り、考えの足りない、あるいは迷惑な若者を罵倒する台詞として「ゆとり」が使われるようになっている。
ゆとり批判ブームを見て育った、ゆとり世代よりも若い世代にも一種のネットスラングのように使われており、ゆとり世代が上からも下からも叩かれる状況になっている。

ゆとりの成功例

この教育法に関しては何かにつけてやり玉に挙げられるものの、一部の教育評論家やスポーツ関係者は「この政策のおかげで上昇した能力も存在する」、「ゆとりがスポーツの世界で天才を生んだ」とも評しており、スポーツで例を挙げると野球選手大谷翔平フィギュアスケーター羽生結弦水泳選手の萩野公介などは皆同世代の天才である。

参照

wikipedia:同項目
ニコニコ大百科:同項目

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