概要
フィニー王国国王ギュスターヴ12世とノール侯女ソフィーの嫡男。王太子として多大な期待を寄せられていたが、ファイアブランドの儀式において術不能者と判明。
この世界では、術(いわゆる魔法)の力は使えて当たり前のもの。素質は先天的に決まるものなので、生まれつき術を使えない程度の魔力(=アニマ)しか持っていなければ、その後も術を使えるようにはならない。そして、その術の力は社会の隅々にまで浸透している。例えば石で作った包丁に「斬る」力を帯びた術をかけて物を切るという、基本的な道具の使い方にまで及んでいる。
そんな術を一切使えない「術不能者」は、どうなるか。もはや想像に難くない。王家として失格であるだけでなく、普通の生活すらままならないレベルなのである。当然父親に追放されることになった。
しかし、術の力以外で生活している文化をわずかに残す地域もまだ残っていたのである。その力とは「金属」。他の地域では失われた鍛冶技術により、術に頼らずとも生活手段を確保できるのである。この地域に亡命した彼は、この金属に着目。
金属が使われていなかった理由は、術のほうが便利であるということもあるのだが、術の力を妨げてしまう欠点があったからである。しかし、術を使えない彼にとって、それは一切の欠点にならなかった。むしろ、戦いにおいては敵兵の術を遮断するという強力な防御手段になり得たのだ。むろん金属で加工した武器は、他の武器を圧倒する破壊力をもって、敵兵の脅威となりえた。このことに気づいた彼は、鋼鉄で武装するという、当時誰も考えすらしなかった方法で覇権を握り、後に「鋼の13世」と呼ばれる。
なお彼は、通常の術不能者とは違い、アニマを全く持たない、本来ありえないはずの性質を持った極めて稀有な人物である。