T-Veronica
てぃーべろにか
女王アリの復活
初登場はシリーズの4作目『バイオハザード CODE:Veronica』(以下『CV』)。
アンブレラの私設刑務所に囚われた主人公クレアは牢から脱走し、逃避行の末『アンブレラ・南極基地』へたどり着いた。
彼女は囚人の少年スティーブと協力して脱出口を探し、刑務所から執拗に追ってきた司令官アルフレッドを撃破。無事脱出を果たした……かに見えた。
ところが、地下の研究所から死亡したはずのアレクシアが現れ、クレアとスティーブを再び捕らえてしまう。
その後アレクシアは、妹クレアを救出するべくやってきたクリスや、T-Veronicaを手に入れるべく現れたウェスカーと激しい戦いを繰り広げることとなる……
性質
その正体は、アレクシアが己の野望を実現するために開発した『人類進化ウイルス』で、生物の遺伝子を書き換える『始祖ウイルス』に女王アリと植物の遺伝子を組み込み、改良を重ねて産み出された。
感染した人間は、アンブレラ社が開発したT-ウイルス製のB.O.W.(生物兵器)をも超える強靭な肉体を獲得する。
反面、脳が侵食されて自我を失い、他の生物を無差別に襲うほど凶暴化してしまうが、“ある手順”を踏むことで自我を保つことが可能。
さらに、同じT-Veronicaに感染した生物を意のままに操るという、まさに女王アリのごとき支配力を身につける。
このウイルスを自らの身体に定着させ、全人類をウイルスに感染させて支配する……これこそがアレクシアの最終目的であった。
開発の経緯
きっかけは、アンブレラ社創設メンバーのひとり、エドワード・アシュフォードが早逝したこと。
その後家督は息子のアレクサンダーが継いだものの、急速に没落してゆき、社内での発言力も失ってしまう。
しかし己の非才を自覚していたアレクサンダーは、遺伝子操作によって人間の知能を高め、天才として知られる初代当主ベロニカのクローンを生み出す『ベロニカ計画』を極秘裏に遂行。そうして生まれたのが双子の兄妹アルフレッドとアレクシアである。
アルフレッドは一般的な知能だったが、アレクシアは天才的頭脳を発揮して、わずか10歳で有名大学を主席卒業し、南極研究所の主任研究員に就任。その活躍ぶりにアレクサンダーは大いに満足して、彼女にアシュフォード家の再興を託そうとしたのだが……ひとつの大きな誤算があった。
遺伝子操作で知能を高める行為は、アレクシアから肝心の人間性をそっくり奪い去っていたのである。
そのためアレクシアの人格は冷酷かつ残虐に歪み、家ではなく自身の繁栄に目覚めて暴走。アレクサンダーを実験台にしてT-Veronicaウイルスを完成させ、自らの身体に定着させるため15年の冷凍睡眠に入ったのである……
感染者、生物
アレクシアにT-Veronicaの実験台とされ、怪物「ノスフェラトゥ」に変貌。南極研究所の地下に幽閉されていたが、水も食事も取らぬまま15年間生き続けた。体内の血液は専用の血清でないと治療できない毒性を帯びており、これを傷口や背中の触手の先端からまき散らす。
兵隊アリ
アレクシアがウイルス研究のため飼育していたアリ。全長20cm近くにまで大型化し、人間にも怯まず噛みつく。アレクシアが冷凍睡眠についていた15年の間も活動し続け、南極基地の地下に高さ数十メートルにおよぶ巨大なアリ塚を築き上げた。
触手
アレクシア復活後の南極基地の各部から飛び出した、丸太のように太い触手。アレクシアの身体の外に発達した器官で、彼女の意のままに動き、近くを通りかかった侵入者を襲う。最大で数キロにも伸び、雪上車を横転させるほどのパワーを持つ。
私設刑務所からクレアに同行していた少年。アレクシアに捕まり、T-Veronicaを投与されて異形の怪物と化してしまった。15年の間にウイルス自体もより強力に変異したため、ノスフェラトゥよりも強靭かつ巨体となっている。仲間同士の凄惨な殺し合いを楽しもうというアレクシアの思惑で、クレアと共に牢に閉じ込められたのだが……
15年間の冷凍睡眠でT-Veronicaウイルスを徐々に身体に馴染ませた結果、人間とは別種の生命体に『進化』した存在。体内の血液は空気に触れると発火する性質を持ち、これを振り撒いて敵対者を焼き付くす。しかしウイルスとの共生はまだ始まったばかりで不安定なため、進化するごとにヒト型からかけ離れた姿になってゆく。
ジャバウォックS3
ガンシューティングゲーム「ダークサイドクロニクルズ」(以下『DC』)に登場する生物兵器。上記の怪物化したスティーブに似ており、大鎌のような爪の付いた5本の腕で襲いかかってくる。
『DC』の登場人物。難病の治療のため父からT-Veronicaを投与された。結果、治療には成功したが、変異の苦痛に苛まれるようになり、その度に同年代の女性の健康な臓器を移植して生きながらえていた。アレクシアに次ぐ2人目の適合者。
『DC』の登場人物。マヌエラの実父で、南米の犯罪組織『聖なる蛇』のボス。妻子を救うためウイルス研究に没頭するあまり精神が歪み、T-Veronicaを投与して栽培していた植物と融合し、巨大な怪物「V・コンプレックス」に変貌してしまう。当初は力を制御できたものの、結局は暴走し、最後は自ら死を懇願した。
その後のT-Veronica
ウイルスの力を我が物としたアレクシアだったが、レッドフィールド兄妹に倒されて世界征服計画は頓挫した。だが開発したウイルスはウェスカーに回収されてしまい、後の世に新たな災害をもたらすことになる……
バイオハザード5に登場。ウェスカーが開発した人類進化ウイルスで、優れた遺伝子を持つ人間を『新人類』に進化させる効果を持つ(らしい)。しかし適合率は極めて低いどころか、当のウェスカーただ一人のみ。
C-ウイルス
バイオハザード6に登場。ネオアンブレラの総統カーラ・ラダメスが『T-Veronica』と『始祖ウイルス』『G-ウイルス』の3つを用いて開発した。感染した人間は変異の過程で蛹(Chrysalid)となる点に昆虫の遺伝子の名残がみられる。
余談
- 頭文字に「T」と付いているため、T-ウイルスの改良型と思われがちだが、基となっているのは始祖ウイルスである。
- 作中では「T-Veronica」の他に「ベロニカ・ウィルス」、「T-アレクシア」とも呼ばれている。前者は広く使われる通称であるが、後者はウェスカーが『CV』の劇中終盤に一度そう呼んだだけで、以降使われることはない。