概要
1963年にアーマライト社で開発。アーサー・ミラー、ユージン・ストーナーら設計。
アーノルド・シュワルツェネッガー主演の映画ターミネーターでシュワちゃん演じるT-800が警察署を強襲した際に使っていた銃として有名である。
高度な設備を持たない工場でも生産可能なAK(AK47)をコンセプトに1956年に設計されたアーマーライトAR-16をベースに、アルミ合金のレシーバーを採用したM16からスチールプレスを多用した製造法に変更されている。
ボルトの閉鎖にM16と同じマイクロロッキングラグを備えた回転ボルトを用いているが、リュングマン式ではなくM1カービンやSKSカービンと同系のショートストロークピストン方式となっている。
ストックはサイドスイング式の収納を可能にし空挺部隊や車輌部隊にも配慮されていた。が、これが蝶番部分とロック部が脆弱なため、すぐにガタが来る点で不評を買った。
ボルトキャリアのハンドル部はM1ガーランドやM14と同じくボルトと連動しているため、不完全閉鎖などのトラブルが発生した際には掌などで強制的に前進させて閉鎖する事が可能でありこの点ではボルトを直接動かすことのできないより優れている。
基本データ
全長 | 733/970mm |
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銃身長 | 463mm |
重量 | 3170g |
口径 | 5.56mm |
装弾数 | 20/30/40発 |
本銃を参考とした銃
本銃は安価なアサルトライフルであり、“西側寄り発展途上国の為の AKシリーズ”、つまり西側版AKシリーズをコンセプトにしたが、M16が大量生産されて一挺あたりの単価も安くなりこれが輸出されることでAR-18をわざわざライセンス生産する意義が失われ、軍の主要装備として採用する国は現れなかった。が、M16 のリュングマン式と、そのデザインに由来する作動不良を忌避した多くの諸国では、AR-18を参考としたショートストロークピストン方式とマイクロロッキングラグを備え、形状もAR-18に類似したデザインのアサルトライフルを開発した。
AR-18及び180のライセンス生産
日本の豊和工業、イギリスのスターリング・エンジニアリング社、中華民国国軍で行われたが、後にシンガポールのCIS社に製造権が売却・譲渡され、改良型のSAR-80やSR-88が製造されている。
AR-18を参考としたアサルトライフル
ベレッタ AR70/90やH&K G36、SIG550など多数に上り、その影響はM16よりも大きなものとなった。かつてライセンス生産していたメーカーも独自の銃を開発している。スターリング・エンジニアリング社はスターリングSAR-87、豊和工業は89式小銃である。中華民国国軍は65式歩槍、91式歩槍である。
日本とAR-18
豊和工業ではAR-18のセミオートマチック専用型であるAR-180をライセンス生産し、タイ警察軍やブラジル警察軍などやアメリカの民間向けに海外輸出されていたのだが、アメリカに輸出されたものがIRA(アイルランド共和軍)のシンパにより北アイルランドに送られてテロ活動に使用されていた事が発覚し、日本の国会でも問題となったため、豊和工業での製造は打ち切られた。
後に小口径アサルトライフルの試作が豊和工業で開始された際には、AR-18のデザインとプレス加工による製造法が参考にされており、完成した89式小銃はAR-18に似た構造となったため、中国やロシアなどは89式小銃をAR-18の亜種と認識している。内部構造的には89式小銃のガスシステムにはロングストロークのガスピストンが採用され、トリガーメカや、ボルトキャリアとリコイルスプリングの配置などAR-18と異なる点も多い。
IRAとAR-18
北アイルランドで発見されたAR-180は、製造メーカ名や番号などの刻印が削られて、フルオート射撃が可能なように改造された(セミ・オート専用型をフル・オートに逆改造することは内部部品の一部を削る程度で容易に行えた)ものだったが、英国警察の X線撮影による鑑定作業で刻印が復元され原産国が特定された。
当時のIRAは多数の改造AR-180を入手した事で、英軍に対する軍事的劣勢を一挙に挽回する機会を得て「アーマライトと投票箱戦術」(en)と呼ばれたテロと議会の両分野での活発な活動を始め、リトル・アーマライト(en)という歌まで作られた。
英国側はAR-180による攻撃で大きな被害を受けたため、Widow Maker(ウィドウ・メイカー、直訳で「未亡人製造機」。「殺人兵器」の意味だが、致命事故の多発する軍用機など、自陣営が製作したにも関わらず味方を殺傷するものに対するスラング)と呼んだ。