ウルトラマンゼアスとはウルトラマンシリーズの作品であり、劇中に登場するヒーローである。
概要
出光興産のCMキャラクターとして生まれたウルトラマンである。
2作にわたる劇場版作品のみで構成されるシリーズであり、テレビシリーズは制作されていない。劇場版のみで進行したウルトラマンシリーズは、ほとんどゼアスが唯一といってよい。
出光興産に加えて、1作目の制作にはフジテレビが深くかかわっており、とんねるずの2人を防衛隊の幹部に起用したり、さらには主人公に、とんねるずの当時のマネージャー、つまり全くの素人である関口正晴を起用するなど、お祭り・コメディ的様相が強かった。
しかし、物語が進むにつれて、半人前で臆病な若者であったゼアスが一人前の戦士へと近づいていく、正統派の成長物語となった。
ゼアスはこのほか、出光のCMや、キャラクターショーには出演しているものの、制作経緯の都合上、権利が複雑に絡み合っているため、フィギュアなどの制作回数は低い。
現在の出光のイメージキャラクターの役割は、ウルトラ出光人こと、ウルトラマンHotto・Motto・Kittoの3人が受け継いでいる(一部の出光のスタンドでは今でもゼアスの垂れ幕や旗を使っている所もまだある。)
あらすじ
ウルトラマンゼアス
地球上からあらゆる紛争が消え、人類の敵が、自ら引き起こした環境汚染と、地球外からの侵略者のみとなった時代。
Z95星雲ピカリの国からやってきた若者・ウルトラマンゼアスは、朝日勝人という青年となって、超宇宙防衛機構Mydoの見習いになった。
しかし、気が弱くてどんくさく、さらに重度の潔癖症である彼は、ゼアスに変身する前も後もいまいち活躍できないままであった。
そこへある日、地球を木端微塵に破壊しようと企むベンゼン星人が襲来する。
ゼアスは、心優しい同僚・透や、自分に憧れる少年たちのために、潔癖症を克服してベンゼン星人を倒そうと奮闘する。
ウルトラマンゼアス2 超人大戦・光と影
一人前に成長したかに見えたゼアスだったが、謎の敵・ウルトラマンシャドーの襲撃を受け、惨敗。その圧倒的な強さがトラウマになって戦えなくなり、心の弱さを露呈してしまう。
シャドーは、レディベンゼン星人の手先だった。人々の希望であったゼアスの心を負ったレディベンゼン星人は、人類を絶望させ、地球侵略を進めていく。
ゼアスは、「心を鍛えよ」という父の助言を受け、しゃにむに空手の道場の門を叩き、師範代の指導の下、一人前の戦士の心を手に入れるための特訓を開始する。
登場人物
超宇宙防衛機構Mydo
“Mysterious Yonder Defense Organization”。その名前の由来は、出光のMydoカード。
高度な科学技術と強力な武装を持った防衛隊だが、人類同士の紛争がなくなった社会においては露骨に基地を構えられないため、出光のガソリンスタンドに偽装している。というか普段は隊員皆、ガソリンスタンドの店員として働いている(はっきり言ってメカの発進の際に目立ちすぎて基地の存在はバレバレであるが)
技術力は他のウルトラシリーズの防衛隊と比べてもかなり高いが、劇中では一度も勝っていない。
また、基地や隊員のユニフォームは赤を基調としたシンプルなデザインだが、戦闘機スカイフィッシュなどのデザインがかなり悪趣味。
朝日勝人/ウルトラマンゼアス
本作品の主人公でウルトラマンゼアスの人間形態。心優しいが気が弱く、潔癖症の青年。
1作目ではMydoの見習い隊員で、隊長や先輩に呆れられつつもしごかれていたが、ベンゼン星人との戦いの中で潔癖症を克服する。
2作目では、冒頭でウルトラマンシャドーに完敗を喫したショックで一時はMydoからも逃げ出してしまうが、必死の特訓の末に、本当の自信と強い心を手に入れる。
大河内神平
とんねるず石橋貴明が演じる、1作目時点でのMydoの隊長。エキセントリックで粗暴な振る舞いをするが、人望はある。その後昇格し隊を離れ、2作目ではカメオ出演にとどまった。
小中井仏吉
とんねるず木梨憲武が演じる、1作目時点でのMydoの副隊長。大河内とは対照的に神経質で臆病。彼と共に昇格した。
星見透
Mydoの紅一点。優秀な隊員で、フルートが得意な心優しい女性でもあり、勝人のことを誰よりも心配している。彼の正体にはおぼろげながら気付いており、いつも彼の強さを信じている。
武村岩太
デーブ大久保演じる巨漢の隊員。射撃の名手にして発明の達人と、アラシ隊員とイデ隊員を合わせたような男。
ミドリ
Mydoの作戦参謀とそのための高度演算処理を担当する、超高性能AI。名前のとおり女性型の、明るい人格の持ち主だが、ローポリの不気味な顔をしている。あと、よく間違える。
薩摩萬
昇格した大河内隊長の代わりに来た、2作目での新隊長。かつてのMAC隊長モロボシダンを想起させる、というよりそのままモロボシダンな男。聡明で厳格だが、まともすぎて影が薄い。カプセル怪獣を懐かしんでいる。また作品終盤、ゼアスの正体に完全に気付く。
数学
昇格した小中井副隊長のの代わりに来た、2作目での新副隊長。理数系・オタクのステレオタイプが具現化したような奇妙な男で、何の抵抗もなくミドリにハッキングしたりする。
その他の人々
ガードマン
ハヤタ・シンにそっくりな、日本銀行の老警備員。1作目では、初代ウルトラマンの黄金像が溶ける様子を目撃してしまう。
2作目では私服で登場し、スプーンをまるでベータカプセルのように掲げるも、やはり心の奥底では絶望してしまっていたらしく、シャドーに連れ去られる。
釣り人
ムラマツキャップそっくりな老人。1作目でコッテンポッペの黄金吸収のとばっちりを受け、湖で釣りを楽しんでいたところで巨大な渦巻きに遭遇する。
2作目時点で故人であるかのような描き方がされた。
写真家
イデ隊員そっくりな男。1作目で、金閣寺の金が溶け去る様子を目撃する。
2作目で、釣り人の息子であるらしいことが判明する。
レポーター
アラシ隊員、あるいはフルハシ隊員に似た顔の、異常に口の悪い男。Mydoのセンスを毛嫌いしている。
主婦
フジ隊員そっくりな女性。Mydoのオーバーテクノロジーを頻繁に目撃するが、その証拠を押さえられずにいつも悩んでいる。
正道会館師範
2作目に登場する、どこからどう見ても角田信彦な空手家。
勝人の訪問を突然受けるが、彼の中に眠る優れた素質・実力と、その発揮を阻害している弱い心を見抜き、彼の心を鍛えるための特訓法を伝授する。
師範代
2作目に登場する、どこからどう見てもアンディ・フグな空手家。
勝人の前で必殺のかかと落としを見せた。これが、ゼアスが後に新必殺技を編み出す手助けとなった。
星見勇気
透の弟で、ゼアスに憧れる少年。正道会館で空手を習っている。
ゼアスに強い憧れと期待を抱く分、2作目冒頭で彼が負けたまま姿を消してからは、ゼアスに強い怒りをぶつける。
彼のその姿勢が、勝人が必死の特訓を乗り越えシャドーへのリベンジへと挑むための強力な燃料となった。
ニュースキャスター
2作目にて、ゼアスの敗北やその復活をテレビで報じていたキャスター。郷秀樹によく似ており、ウルトラマンが帰ってきたことを執拗にアピールする。
ウルトラマンゼアス
Z95星雲から来た若い戦士で、地球の平和と環境の保全を使命としている。
容姿はシルバー族顔だが、ウルトラマンと違って全体的に赤が基調になっている。
電動歯ブラシ「ピカリフラッシャー」を使って口内環境を綺麗にすることで変身する。
父もまた偉大な戦士で、彼譲りの優れた才能と素質を秘めているが、潔癖症である上に心が弱い。1作目では、自主練中に手が汚れたのを、滝で必死に洗うほど。
しかし、地球や人類のために、苦手だったヘドロの海へと踏み込んだり、泥だらけになっても一日中無茶な特訓を重ねたりと、いざというときにはたくましい根性を発揮する。
当初は自他ともに認める半人前だったが、1作目で潔癖症を乗り越え、2作目で自分の力を信じることを知ったことで、ようやく一人前の戦士へと成長した。
2作目で特訓を行って以降は、空手を基調とした鋭い格闘を展開するようになる。
また、口が開いた初めてのウルトラマン。
データ
- 出身地:Z95星雲ピカリの国(M78星雲光の国と交流があるらしい)
- 身長:60メートル
- 体重:5万4540トン
主な必殺技
スペシュッシュラ光線
何かを大切に抱えるような独特の動作の後に、スペシウム光線とは逆に手を組んで発射する光線。逆に組んでいるのは、ウルトラマンに憧れて、鏡を見ながら練習したため。
1作目では赤い光線で敵を捕捉し、それをたどって青い強力な光線を打ち込むという技だったが、2作目では青い光線を直接打ち込むようになった。
これは、当初はターゲッティングすらまともにできなかったのを、練習を重ねてだんだん克服していったため。1作目序盤では、自主練で発射してみるもあり得ない方向に飛んでしまっていた。
ゼアスの自信によって威力が大きく変動してしまう。本来はウルトラマンシャドーのシャドリウム光線と同威力なのだが、2作目序盤では押し負けた。
ゼアススーパーキック
アチチュードのような片足立ちの姿勢で超高速回転し、そのまま相手にぶつかって蹴りつけるという技。
あまりにも回転が速すぎるため敵の光線攻撃をすべて跳ね返してしまうばかりか、蹴られた相手が大気圏を突破して宇宙まで飛ばされてしまうほど。
ウルトラかかと落とし
正道会館の師範代のかかと落としをヒントに、2作目で編み出した新技。
空中で縦に猛回転しながら相手に突進し、強烈なかかと落としを相手に何発も見舞う。シャドーの強固なボディを破損させるほどの威力を持つ。
クロススペシュッシュラ光線
2作目の最終決戦の最中に編み出した技。
スペシュッシュラ光線を発射したまま、「十」字型から「X」字型に腕を傾けて、両腕全体からの巨大なX字型光線の発射へと移行する。その際、口を開いて気合の一声を上げる。
スペシュッシュラ光線の十倍の威力を持つが、気合の産物であるため、自由に撃てるかどうかはわからないらしい。
エイプリルフールでのゼアス
円音ウルに萌えている。
登場怪獣
慢性ガス過多症宇宙人 ベンゼン星人
1作目の敵。地球上では「悪神亜久馬」という男性に変身している。
“破壊”に異常な美学と執着を持っており、座右の銘は「破壊こそ芸術の極致」。ゼアスと地球を木端微塵に破壊することに心血を注ぐ。
妖艶宇宙女王レディベンゼン星人
2作目の敵で、ベンゼン星人の妻。地球上では「影美」という女性に変身している。
ゼアスの敗北を人類に見せつけ、彼らを極限まで絶望させて支配するという陰湿な侵略を行う。
絶望した人間をマインドコントロールし拉致する技術を持っており、影美道場なる施設で彼らを私兵へと育成している。
吸金爆獣 コッテンポッペ
ベンゼン星人が、持病のガス過多症の特効薬となる金を集めるために地球に連れてきた宇宙怪獣。
「コッテンポッペ」の名称はビードロの音に似た咆哮からMydoで名付けられたもので、星人からは「ゴルドルボムルス」と呼ばれていた。
爆獣の名の通り、体全体が強力な爆弾で、もし爆発すると地球すらももろとも消し飛ばしてしまうほどの威力。
宇宙戦闘ロボット ウルトラマンシャドー
ウルトラマンゼアスの前に現れた黒いウルトラマン。その正体はレディベンゼン星人が作り上げた対ゼアス用ロボット。
基本的な容姿はゼアスに似ているが、黒を基調とした体に黄色のラインが走っているという毒々しいデザイン。また、目や頭部の形状も刺々しい。
ゼアスが平手にしている部分(飛行時や、光線発射時)では拳を握っており、攻撃的な印象を見る者に与える。
必殺技は、赤い光が特徴的なシャドリウム光線と、拳のメリケンを相手に向かって飛ばすシャドーメリケンパンチ。
特に後者は、ゼアスの右目にクリーンヒットし、彼のトラウマとなってしまった。
シャドリウム光線は、影美がシャドーに送信しているエネルギーの量を増大することで、スペシュッシュラ光線を上回る威力にまでパワーアップできる。
2作目冒頭で圧倒的な戦闘力でゼアスを打ち倒す。その後、希望を失った人々を洗脳光線とテレポート能力で拉致した。
終盤では、特訓を経たゼアスに追い詰められる。
Zカプセル光獣 ミラクロン
戦意喪失していたゼアスに、彼の父がくれたカプセル怪獣。ミクラスそっくりの呑気な顔をしている。
念力で相手を投げ飛ばす力を持っている。
Sカプセル影獣 ダークラー
レディベンゼン星人のカプセル怪獣。ゼアスのミラクロンに対抗してシャドーが出した。
もともとは、ベンゼン星の衛星に住んでいる怪獣で、ベンゼン星人たちのペット怪獣らしい。