概要
『るろうに剣心』の主人公緋村剣心が振るう剣術の流派で、戦国時代に端を発する古流剣術。
原作で登場した使い手は剣心とその師匠である十三代目比古清十郎の二人のみだが、アニメでは十二代目の元弟子だった仁志田兵衛と、兵衛の甥で彼の教え子である天草翔伍が登場する。
飛天御剣流は一対多数の斬り合いを得意とする実戦本位の剣術で、その使い手は常人離れした素早さや跳躍力を体得している。「剣の速さ」「身のこなしの速さ」「相手の動きを先読みする速さ」を最大限に発揮することで複数の相手を一度に仕留めることを極意とし、逆刃刀のような殺傷能力の低い得物でなければ確実に人を斬殺する神速の殺人剣である。その動きは龍を模したものが多く、剣技の名には必ず「龍」の文字が入っている。
ただ、その超人じみた剣技は使用者の体に大きな負担を掛けるため、比古のような恵まれた体躯と鍛え抜かれた筋肉があって初めて使いこなせるとされており、剣心のようにどちらも持ち合わせていない者は技を使うごとに体に損傷が蓄積されていき、やがて飛天御剣流の剣を振るうことが出来なくなってしまう。
しかし、その割には剣心も比古も年齢の割に若々しい外見を維持しており、明神弥彦や巻町操からは不老の秘術の存在を疑われている。
なお、原作より以前に掲載された読み切り版では「飛天三剣流」となっており、「一振りで三人斬る」ことに由来している。
理(ことわり)
飛天御剣流は「時代時代の苦難から弱き人々を守る」ことを理としているが、飛天御剣流の使い手は「陸(おか)の黒船」と呼ばれるほどの絶大な力を有するため、その力を悪用させないよう、どの派閥や勢力にも加担しない自由の剣である事が望ましいとされている。
だが、幕末の動乱時、14歳だった剣心は使命感にはやるあまり流派の理を受け入れられず、師匠の比古と大喧嘩した末に師のもとを去り、倒幕勢力の一つである長州藩に加担し、暗殺者「人斬り抜刀斎」となった。
技
龍槌閃(りゅうついせん)
相手の頭上高く跳び上がり、自由落下の勢いを利用して威力の高い一撃を喰らわせる。剣心の十八番と言われている。
龍槌閃・惨(ざん)
派生技。回想シーンでのみ使用。落下の際に刀の切っ先を下に向け、相手を頭上から刺し貫く。殺傷力が極めて高い。
龍翔閃(りゅうしょうせん)
下から跳び上がりつつ、相手を斬り上げる技。「不殺」を誓って以降の剣心は、斬り上げる代わりに相手のアゴや腹を突き上げる形で使用している。
龍槌翔閃(りゅうついしょうせん)
龍槌閃と龍翔閃の複合技。
双龍閃(そうりゅうせん)
刀の鞘を帯から外した状態で放つ抜刀術。一撃目の刀を躱されても、抜刀の勢いを利用して鞘による二撃目に繋げることが出来る二段構えの抜刀術。
剣心が最も得意とする技の一つ。
双龍閃・雷(いかずち)
派生技。刀ではなく鞘で一撃目を行い、相手の防御を崩したところへ刀による二撃目を喰らわせる。作中では剣心ではなく比古が使用した。
土龍閃(どりゅうせん)
刀で地面を叩いて巻き上げた土砂で相手を攻撃する。直接斬撃を当てないので、殺傷能力は低め。原作では一度しか使用されていないが、アニメでは多用された。
龍巻閃(りゅうかんせん)
体を回転させて相手の攻撃を躱しながら背後に回り込み、遠心力を加えた一撃を背中や後頭部に食らわせる。
斎藤一曰く「返し技として使って最も威力を発揮する」とのことで、先手を取って使うにはあまり向いていない。
派生技が多く、それらを繋げて連続攻撃することが可能。
龍巻閃・旋(つむじ)
派生技。きりもみ状に回転しながら相手を攻撃する。
龍巻閃・凩(こがらし)
派生技。志々雄真実との戦いで使用。
龍巻閃・嵐(あらし)
派生技。前方宙返りしながら相手を斬りつける。
龍巣閃(りゅうそうせん)
相手の全身を高速で連続攻撃する乱撃術。
龍巣閃・咬(がらみ)
派生技。斬撃を一か所に集中させる。
飛龍閃(ひりゅうせん)
刀を鞘から飛ばす飛刀術と呼ばれる技(初披露時は抜刀術になっていた)。体を大きく捻り、鞘に納めた刀の鍔を親指で弾いて鞘から撃ち出し、相手にぶつける技。
原作で石動雷十太を倒した技だが、アニメでは土龍閃に変更されている。
龍鳴閃(りゅうめいせん)
神速の抜刀術の逆回し、いうなれば神速の納刀術。
納刀の際に発する超高周波の鍔鳴りを相手の耳に叩き込むことで、相手の聴覚を一時的に狂わせる技。
聴覚が優れた者だと離れた場所に居ても影響を受け、狂経脈を発動した状態の雪代縁は聴覚どころか平衡感覚を司る三半規管まで狂わされてしまった。
九頭龍閃(くずりゅうせん)
飛天御剣流の神速を最大限に発動させ、剣術の基本である九種類の斬撃を同時に繰り出す大技。
同じ乱撃術でも龍巣閃と違って斬撃の一つ一つが一撃必殺の威力を持っており、同時に突進技でもあるため、使用者よりも速いか力量で上回らない限り、回避・防御ともに不可能とされている。
他の技と違って実戦で生まれた技ではなく、奥義伝授の試験のために作られた技で、奥義の伝授は代々この九頭龍閃の伝授から始まる。
十三代目・比古清十郎が最も得意とする技。
天翔龍閃(あまかけるりゅうのひらめき)
飛天御剣流奥義。
神速を超えた超神速の抜刀術であり、抜刀の際に右足を前に出すという抜刀術の常識を覆し、抜刀する絶妙のタイミングで左足を前に踏み込むことで、神速の抜刀術を超神速の抜刀術へ昇華させる。
一撃目を回避または防御されたとしても、超神速の抜刀によって前方の空気が弾かれることで生じる真空の空間が周囲の物体ごと元に戻ろうとすることで相手の動きを封じながら引き寄せ、回転による遠心力と更なる踏み込みによる強力無比な二撃目を撃ちこむ事が出来る。
奥義の伝授は代々「師の放つ九頭龍閃を弟子が天翔龍閃で破る」というもので、師匠は奥義を会得した弟子に斬り殺される運命にあるが、剣心と比古の時は剣心の得物が逆刃刀であった事をはじめ幾つかの幸運が重なったことで、比古は生存している。
なお、この天翔龍閃を含めた飛天御剣流の抜刀術は、全て抜刀後に隙を生じさせない二段構えとなっている。
原作には登場しない技
飛天無限斬(ひてむげんざん)
読み切り版「戦国の三日月」にて、比古清十郎が放った「飛天三剣流奥義」。
一度に100人斬るとも言われ、食らった相手が粉々になるほどの威力を誇る。
雷龍閃(らいりゅうせん)
アニメオリジナル。
天草翔伍が独自に編み出した技で、雷や月の光と共に剣気を放ち、相手の視力を奪う。
この技を受けても、使用者の剣気を上回れば視力を取り戻すことが出来る。