もしかして…ヤドリギ
概要
ひとしずくPのメジャーアルバムのシリーズ。
ミスルトウ〜約束の宿り木〜のタイトルで小説化された。
あらすじ
今からおよそ一千年前。
世界は、神の力を持つ鳥たちによって治められていた。
神鳥たちが住まうのは、大空の楽園、ミスルトウ。
それは、大地からそびえ立つ巨大な一本の宿り木であった。
神鳥は、地上に住む人々の願いや祈りをその身に宿して生まれる。
人々の最初の願いは、幸福だった。そして幸福を宿した神、青い鳥が生まれた。
こうして、人々は神の存在を信じ、祈りを捧げる。
すると、ミスルトウの宿り木へ、どこからともなく生まれた鳥たちが集まっていった。
神鳥たちは、自らを生んでくれた地上のか弱き生命たちに、その願いの恩恵を、形あるものとして与える。
神によって願いを形取られたそれを、人々は「エレメント」と呼んだ。
ミスルトウの木は、大地に広がる「人々の神への信仰心」を栄養として育つ。
宿り木はその根から吸い上げた清らかな祈りを、遙か上空、葉上の神鳥たちに届ける。神にとって信仰心は、存在をあらしめる糧となった。
ミスルトウの木は、人と神、双方を繋ぐ唯一の存在であり、楽園の循環は、美しい形で続いていく。
やがて時が経ち、地上には人間が増え、彼らは繁栄の時代を迎える。
神からの様々な恵みを享受し、さらなる「願い」を渇望し続ける彼らは、いつしか、天空に住まう神への畏敬を忘れ、浅ましくもその羨望を嫉妬に変えて、神々の力そのものを欲するようになった。
楽園の美しい循環の輪が、崩れ始める。
人々は信仰を止め、武器を手に取り、大空にまで手を伸ばし始めた。
『神狩り』と呼ばれたそれは、規模を拡大し、神々と人間との戦争へと発展する。
神の偉大な力の前に、人間は為す術などない……そう信じていたのも束の間。
ある時、楽園でもっとも力のある二羽の神が、仲違いをしてしまった。
人間たちに対する考え方の違いから生じた些細な行き違いは、神と人が織り成す世界の在り方そのものに対する意見の相違を生む。
楽園の最初の鳥、幸福を司る青い鳥は、神と人間の共存を貫き、和解の道を願った。
だがそれに対して、破壊と再生の輪廻を司る、朱き不死鳥が異を唱える。
不死鳥は、神を侮るようになった人間など、一度すべて破壊し尽くし、かつての清らかさを持った新しい生命として再生させればいい、と言った。
両者はその信ずる道を譲らぬまま、互いを疑い、責め、憎み始める。
その間にも、少しずつ人間たちは力をつけ、弱き神々から順に堕としてく。
人々の信仰の枯渇によりミスルトウの木は枯れ、宿り木を糧として生きる神鳥たちの力は、どんどん弱まっていった。
戦は長きに渡ったが、宿り木を失った神鳥は、数で勝る人間に敗北を喫した。
こうして神鳥たちは、楽園とともに、穢れた大地に堕ちることとなる。
彼らはそのエレメントのほとんどを大地へと還元し、失った。
神鳥の魂は人の器へと収まり、堕ちたその先の地で、新たな道を歩んでいく。
人となった神たちを、土地の権力者たちはこぞって求め、仲間に引き入れようと躍起になった。
人間の王族たちとの交配によって血を繋ぎながら、人間の世界に神を祖とした王国がいくつも生まれる。
そして、二羽の神鳥の確執……青い鳥と不死鳥の大いなる遺恨は、地に堕ちてなおも残り、
彼らを祖とした二つの王国、青き鳥の国ブルーオークと、朱き不死鳥の国ギーヴェルミリオンは、その後も千年もの間、争い続けたのだ。
古の神鳥伝記~神託の守護者・メントレの記録より
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