概要
計奈恵の少年漫画作品。科学と魔法が融合する世界で主人公シャクマの冒険を描いたファンタジー漫画。
『月刊少年ガンガン』に1991年9月号から1994年3月号まで連載され、単行本が全4巻で発刊された。
あらすじ
異世界である世界樹エバーグリーンを舞台に、剛魔神一族の長老の孫シャクマが、謎を秘めた獣人の少女アネスと共に、エバーグリーンに秘められた謎を追って旅をする。
登場人物
シャクマ
剛魔神の王子で、一族の長老の孫。強くなることしか興味を持たない暴れん坊。アネスを追ってきたラブレスたちによって剛魔神一族が石にされてしまったため、仲間を助けることとアネスの謎を明かすために、アネスと旅に出る。
獣人の少女。突然剛魔神の村に転送されてきて、シャクマと出会った。記憶喪失のため、シャクマに「アネス」と名付けられる。ちなみに名前の由来はシャクマが昔飼っていた大トカゲの名前である。その後、転送されたアネスを追ってきたラブレスたちによって、村が襲撃されて、剛魔神たちが石化されたため、シャクマはアネスの記憶を取り戻すために旅に出ることになった。
イルベス
人間族の少年。弓の名人。シャクマたちが旅の途中で出会った水浴びしているアネスに一目惚れして旅についてきたが、後に同じく水浴びしているホーリーにも心惹かれて、次第にホーリーに恋するようになる。ホーリーの正体がスピアであると知り驚愕するが、シャクマの説得で「ホーリーが誰だろうと俺の気持ちは変わらねェ」と割り切って、シャクマと共にホーリーを助けるためにシャーマンの都イシュタルへ潜入した。
ホーリー
人間族の少女で「絶対平和主義」を唱えるショーリン教の巫女。見かけは清楚で可憐だが、拳法が得意な格闘家。正体はスピアの変身した姿。
ミーくん
シャクマたちの元に迷い込んできた火吹き竜の子ども。普段は小動物程度の大きさだが、ダメージを受けると本来の巨大な姿に変わる。アネスのまずい料理が好物のため、アネスに懐く。
ラセツ
剛魔神族の男性。先の戦争でシャーマン王に敗れて、角を折られたが、シャーマン王によって生命珠の魔法により魔力を吹き込まれて命を長らえていた。生命珠は現在ラブレスの手中にあるため、シャーマン王を倒す目的のために、屈辱に耐えてラブレスに仕えて人間たちを苦しめていた。ラブレスがラセツを見捨てて生命珠に力を注がなかったために消滅しかけるが、アネスが力を注いだために(アネスが生命珠を手にしてラセツを思ったことが、生命珠に力を注いだ)復活した。その後は生命珠を取り戻し、残された命を節約するために身軽な少年の姿で行動していた。ようやく再会したシャーマン王が自分が倒したいと切望していた相手ではなくなっていた(力をなくしていた)ことを知り絶望するが、シャクマに「鬼光剣」を託し、ランドールの箱舟の攻撃からイシュタルをかばって消滅した。
シャーマン王イシュタル
シャーマン族の王でラブレスの父親。先の戦争でシャーマン族に勝利をもたらし、シャクマの力を封印した伝説の戦士。剛魔神との戦いや老化によって力を失いつつあり、そのことをランドールに気づかれて、ランドールに唆されたラブレスによって世界樹の内部に封印されていた。アネスがラブレスと融合して元に戻ったことで解放される。戦いが終わった後、ラブレスを獣人の姿で追放するという罰を与えて、その間(その後も)ラブレスのことをシャクマに託した(イルベス曰く「嫁にもらってほしい」とのこと)。
シャーマンの王女。冷淡でプライドが高い。傲慢な性格だが、それを裏付ける実力の持ち主。
剛魔神の村を襲ったり、ラセツを弄んだり、プリズナーを解き放ち人間たちに被害をもたらすなど、悪逆非道の限りを尽くす。実は現在の冷酷なラブレスはランドールによって善の心が分離されて悪の心しかない状態であり、アネスの正体はラブレスの善の心が実体化したものである。心の中でアネスと対峙し、思い出の歌を聞いたことで無力化し、アネスと融合して元に戻った。ちなみにアネスが料理下手だったことから、ラブレスも料理下手だと思われる。
スピア
シャーマンの少女。ラブレスの侍女で幼なじみ。ラブレスとは親友同士だったが、最近のラブレスの冷酷な行動に疑問を持ち、単身行動を始める。やがて自分たちシャーマンの非道ぶりを思い知り、ラブレスと対話すべく、イシュタルに帰還するが、ラブレスに拘束されてしまう。イルベスによって救い出され、戦いが終わった後、ホーリーとして生きていくことを決意して、イルベスのもとに帰った。
ランス
シャーマンの少年。シャーマン第一衛士。ラブレスとスピアとは幼なじみで、幼い頃はよく3人一緒に遊んでいた。
スピアほどではないにせよ、ラブレスの言動には迷いを感じていて、スピアが拘束されたときは助け出そうとしていた。無力な人間でありながら、スピアを助けるために侵入したイルベスに牢の鍵を渡してスピア救出を託した。戦いが終わった後、シャーマン王を支えるためにイシュタルに残った。
ランドール
イシュタル軍の司令官の一人でラブレスの従弟。ラブレスの婚約者であり、ラブレスをそそのかしてシャーマン王を世界樹の内部に封印させるが、土壇場でラブレスに反抗されたことに激昂して、ラブレスから善の心を分離させた。世界樹が滅んだ後に、自らに都合の良い世界を作り出すために、「箱舟」と呼ばれる巨大宇宙船となる蟲型生命体を建造させていた。世界樹を復活させようとしていたアネス(ラブレス)を殺害するが、真に覚醒したシャクマの力に巻き込まれて消滅した。
ランドール親衛隊
ランドールが率いる精鋭部隊。かつてシャーマン王と共にプリズナーを討伐したこともあった。
マシェット
イシュタル騎士団を率いる将軍。シャーマン王への忠誠心厚い性格。ラブレスの冷酷な言動に困惑している。
プリズナー
魔力の弱いシャーマンが精獣やシャーマンを取り込み強化した怪物。全部で5体いる。力こそすべてであるという信念のもと、大勢のシャーマンをも殺していたため、シャーマン王によって封印されていたが、シャクマを倒そうとするラブレスによって次々と解き放たれる。
ギガ=ヘルム
プリズナーの一人。強力な電撃とテレポート能力を使う。
バック=ブレード
プリズナーの一人。プリズナー一のスピードを誇り、岩山を一瞬で切り裂く能力を持つ。サンドラに化けてシャクマたちを待ち構えていた。
3体目のプリズナー
第13話で登場。プリズナーの一人。名前は不明。相手の精神に入り込み、精神を喰う能力を持つ。シャクマをかばったアネスの精神に入り込み、シャクマを倒そうとしたが、アネスの抵抗によってシャクマに返り討ちにされた。
ルシフェル
クリスタル・プリズンに囚われていたシャーマンの少年。ルシファの双子の弟。
ルシファ
クリスタル・プリズンに囚われていたシャーマンの少年。ルシフェルの双子の兄。
ディモス
最強のプリズナー。ルシファとルシフェルが合体した姿。ランドール親衛隊を一蹴し、シャーマンの都を崩壊させる力を持つ。
アグラ・モーゼ
遥か昔、シャーマンと剛魔人のそれぞれに世界を良き方向に導くための力を与えたと言われる大賢者。正体はガネーシャの山を甲羅に持つ巨大な双頭の亀。モーゼは2人のアグラのうちの兄賢者。争いそのものを嫌う厳格な性格。アネスの正体を一目で見抜き、アネスが持つ「王者の笛シーク」の使い方をアネスに教えた。
アグラ・モーグ
大賢者の一人で、アグラ・モーゼの弟。穏やかな兄と違い、刺激を好み、誰かが死ぬことさえなければ争い競うことも容認する。そのため出会って当初はアネスとホーリーをけしかけてケンカさせた。
シェーラ
砂の都バラージに住む少女。千年前にバラージの人間たちがシャーマン王に不老不死の願いをしたために、バラージの人間たちは百年に一日だけ現れる蜃気楼のような存在になった。シャーマン王に不老不死の魔法を解かせると言ったシャクマの言葉を聞いて消滅した。エンディングでは魔法が解けたようで、旅の途中のシャクマたちと再会した様子が描かれていた。
ウラヌス
砂の都バラージの神官。シェーラの祖父。
サンドラ
占い師の老婆。イシュタルへの道となる世界樹の場所をシャクマたちに教えた。