公式あらすじ
辺境の領主の家に生まれたクラウドは、前世の記憶を持つ異世界転生者だった。
前世ではなぜかやたらと動物に好かれまくり、苦労の毎日を過ごしていたクラウドだったが、
今世は優しい両親、可愛い弟と妹に囲まれ穏やかな生活を送っていた。
そんなある日、町に伝説の魔獣・ケルベロスが襲来する危機が訪れる――。
登場人物紹介(漫画版準拠 ネタバレ注意)
- クラウド・ベルン
本作の主人公。初登場時点では四歳。青髪・碧眼で一人称は“僕”。
前世では誰にも期待されない人生を送っていたが、何故か動物達には異様に懐かれていた。憧れの設計会社に入社し初出社の日に、散歩中にリードから逃げてきたと思われる大きな犬に抱き着かれ、それによって道路に倒れてトラックに牽かれて死亡した。(この犬の飼い主の女性の、その後の世間体が心配だが・・・)
その後異世界の辺境スロリ町を収める永久貴族の、ベルン家の長男として生まれ変わる。だが生まれ変わった先でも、動物からの好かれ体質は変わらず。彼に惹かれて町にケルベロスが現れる。襲撃と思い込んだクラウドは一貫の終わりかと思ったが、突発的に思いついた「おすわり」という言葉で、ケルベロスは大人しくなり、以後ロスと名付けて共同生活を送る。
五歳になり、異能力を授ける才能啓示式に参加し、そこで“ちょうきょうし”という才能を授かる。この能力が何なのか、誰にも判らず困惑したが。前世の記憶を持つクラウドのみが、これが動物を育てる“調教師”という意味ではないかと推察。その直後に動物と会話する能力を持っていることに気づく。
対話可能になったロスの他に、多くの魔物がクラウドに追従し、それによってスロリ町に多くの利益を与えるが、仲間の魔物任せな利益の上げ方に、次第に自信を失っていった。
その後の辺境伯カルサ・フォン・バルバロッサに、その才能の価値に気づかれ、調教師の能力の意味を教えられる。そして娘=ティナとの結婚を申し出られるが、お互いに信頼しあえるまでは無理と、返事を保留する。
その後狩りで大物を仕留めた時に、自分が何の役にも立っていないと、共に狩りをしたエルドに口にすると。エルドから大型魔物に立ち向かった勇気と、多くのものに愛される器を称えられ、皆のために堂々とするよう促される。
その後調教師の能力を大きく活用し、スロリ町への搾取を行おうとした悪徳商人への制裁を行い、その実力を発揮していった。
転生者ゆえに五歳とは思えない知性を見せつけて、周りの大人たちを驚かせ、子供だけで狩りに行くという無茶な要望にも断られなくなる。商売取引に関しても、前世での知識からか、大人顔向けの能力を発揮して、スロリ町を発展させていった。
原作の設定だと、クラウドの前世の名前は“工藤 優人”。また原作のクラウドは、完全無敵のチート主人公であり。漫画版と違い、苦戦・葛藤する展開はほぼ無かった。
- ロス
クラウドが最初に仲間にした魔物。ライオンを上回る体格の巨大犬だが、その外見は愛玩用の犬のような可愛らしい白い大型犬の外見。
災害球魔物という物騒さとはかけ離れた姿に、クラウドを困惑させた。だがその力は本物で、勢いよく走るだけで、周囲の建物を破壊するなどの余波を生み出す。
クラウドに惹かれてスロリ町に現れて、食糧目当ての襲撃と勘違いされて、大騒ぎを起こしてしまう。クラウドに従属すると、普段はぬいぐるみの様な姿の小型形態になって、共にスロリ町に住むことになる。
ケルベロスという種族だが、頭は普通の犬と同じで一つだけである。本作の設定だと、多彩な能力を持つことから、頭が三つあると過去に誤解されたとのこと。
- エルド
平民の少年で才能啓示式でレア能力の“剣聖”の力を授かる。一人称は“僕”。銀髪碧眼で茶色い肌の、中性的な容姿の少年。和装姿で日本刀を武器としている。クラウドのことを“クラウド様”と敬称で呼ぶ。
才能を授かった直後に、ロスに弟子入りを志願し、その後約束通りにスロリ町に移住。ロスから苛烈な特訓を受け続ける。
クラウドとロスと共に狩りに参加し、その剣椀で多くの獲物を狩り大活躍する。その活躍にクラウドから、全てはエルドとロスの功績で自分は役に立っていないという自己評価を打ち明けられるが、エルドはその言葉に反論。クラウドの勇気と、多くの者に愛される素質を賛美した。
その後クラウドと共に、戦闘の第一線で活躍するが、クラウドの弟=アレンが、自分を上回る能力を持っていることに気づき、自分の居場所がなくなると不安に駆られ、ますます苛烈な特訓をするようになる。
本作では最初から男児であると公表されているも関わらず、ニコニコ漫画では性別を疑うコメントが多く投稿される。また作中でも女児と勘違いされる展開があった。
その他、風呂場シーンが妙に生々しく描かれたり、コミック裏表紙で女装させられたりと、漫画作者の性癖を疑う部分がある。
なお原作では、クラウドとの友情は一切描かれておらず。当のクラウドからパシリ呼ばわりされて見下されている。
- ティナ・フォン・バルバロッサ
才能啓示式で“聖女”の力を授かった少女。一人称は“私”。辺境伯バルバロッサの娘。赤髪紫目の少女。
聖女の力による治癒能力を持つ。ただその力はまだ不安定で、力を集中するために、癒しの力を宿した拳や足で、患者の身体を強く叩いて治癒魔法を発動させる。一見暴力を振るっているようにしか見えないが、脊髄損傷すら一瞬で治す治癒力がある。
クラウドの能力を知った父から、クラウドとの結婚相手に勧められる。本人も乗り気なのか、クラウドと積極的に交友を深める。
クラウドと共に狩りに出かけた際に、「あっちに私の求めるモフモフがいる」と口にして暴走。そして出会った白い子狼に対話を試み、自分の腕が噛まれて出血しても、構わず仲間になるよう狂気の説得を試みる。
その後、聖女の力を影響を受けた子狼が、レアモンスターのホーリーウルフに進化し、自身の相棒とする。
- オーロラ
ティナが仲間にした狼の魔物で、初登場時では未進化のウルフ。
生まれた直後に母親を亡くし、その後どれだけ頑張ってもファイアウルフに進化できなかったため、群れの中で仲間外れにされていた。
クラウド達一行が群れに遭遇した時、囮にされて置き去りにされる。最初はクラウド一行に敵意を抱いたが、ティナの必死な説得で警戒を解く。
その後、ティナが魔物に誘拐された時、彼女を救おうと立ち向かい、彼の勇敢さとティナの聖女の力が呼応し、ホーリーウルフに進化し、救出に成功。
ティナからオーロラと名付けられて、彼女と共にいくことになる。
- アレン·ベルン
ベルン家の次男で、クラウドの弟。青髪蒼眼の少年。一人称は“僕”。年相応の無邪気な性格だが、瞬間移動のような不可解な能力を持つ。
全く悪気のない表情で、一瞬で人の背後に現れる姿は、ある意味ホラー的。
その能力は人の意識の外の、僅かな隙間の時間を動く力と、作中で推察される。
剣の腕も凄まじく、剣聖の才能を得たエルドと、互角に近い戦いができる。百戦中五勝九十五敗と、多くは負けているが。
この時アレンはまだ四歳で、まだ才能を授かっておらず、その上でエルドに接戦できることから、その隠された力の大きさが受け取れる。
カミラによると、アレンの能力の正体は、魔族に対抗する決戦兵器的な才能の“勇者”であると予測した。
- サリー·ベルン
ベルン家の長女でクラウドの妹。金髪桃眼の少女。一人称を“私”。クラウドのことを慕っており、クラウドと関わる女性のティナに強い対抗心を見せる。
知能が非常に高く、饒舌で、三歳半で商人との値切り交渉に成功するなど。転生者であるクラウドすら、恐怖を覚える知性を見せた。
- カミラ
悪徳商会のワルナイ商会のギリに雇われた傭兵。銀髪赤眼でギザ歯が生えた二十代と思われる女性。一人称は“私”。カラス型の魔物のマッドクロウを操れる魔獣使い。
幼い頃に、友人としていたマッドクロウを、能力の暴走で死なせてしまい、そのトラウマから、魔獣をただの道具として扱うようになる。
元は王室の近衛だった。才能持ちの子供が次々と失踪する事件が起き、その容疑者と見られる枢機卿を捜査した所、不当な妨害を受けたことに腹を立てて、枢機卿を殴って近衛を解雇された。
ギリがスロリ町に不当な取り引きを強制しようとし、クラウドがそれを断ると、ギリからスロリ町への破壊行為を命じられる。
本来は操れる筈のない災害級の魔物·ロック鳥を、配下のマッドクロウを人質にする形で操り、スロリ町を攻撃する。
だがロック鳥を操るカラクリを、すぐにクラウドに見破られ、居場所を特定される。ロスに乗るクラウドに追い詰められるが、クラウドが調教師であることに気づき、興味を抱いて逃走をやめ、情報提供と引き換えに、クラウドに決闘を申し込む。
最初は優位に思えたが、クラウドの能力で、マッドクロウの命令の強制を無効化されて一気に不利に陥る。隙を見て逃げようと目論むが、戦いの余波でアレンが高台から転落しかける事故が起きる。子供の危機を見過ごせず、救出したところ隙を失って逃走に失敗。
その後、解放されたロック鳥から、報復で殺されそうになるが、クラウドがロック鳥を説得して助かる。
それを見たカミラは、魔獣を友達として扱うクラウドに感服し、全面協力を申し出る。
その後悪事が暴かれそうになったギリが、クラウド達を襲撃するが。子供を殺そうとする元雇い主に、完全に見切りをつけて、自らギリを撃退する。
その後は監査対象としてスロリ町の牢獄に入っていたが。クラウド達からの要望があって、クラウド、エルド、アレンの稽古を務める。クラウドからは当人からの要望もあって“師匠”と呼ばれるようになる。
クラウド(五歳)に対して「結婚しよう」と、本気か冗談かも判らない発言をし。またクラウドから信頼の言葉を告げられると、乙女のように顔を赤らめたりと、ショタコンを疑われる描写がある。
今や物語の中核にいる主要人物だが、実は原作にはいない、漫画版オリジナルキャラ。彼女が登場した辺りから、原作と漫画のストーリーの差異が、大幅に拡大した。
作中設定
- 才能
この世界の人間が五歳になった時に、教会で受ける才能啓示式で与えられる異能力。式を受けるには多額の寄付金が必要。
ただし全ての子供が力を得られるわけではなく、その確率は二割。残りの八割は、何の対価も得られずに、寄付金による莫大な出費だけを残して帰っていく。
この事実を知っているも関わらず、子供と家の将来に一途の望みを託し、家財を売り払ってまで才能啓示式を受けて、絶望する親が多い。
- スロリ町
主人公の生まれ育った辺境の小さな町。村とすら呼べないほどの極小集落。すぐそばに“魔の森”という魔物巣窟となる森林があり、人々は常に魔物の襲撃に怯えて暮らしている。
実はかつて世界を巨大な竜の脅威に晒されたときに、竜と和解し世界を救った英雄・イクシオンが建てた街。街の入り口にはその竜の角で作られた門が、今も残っている。ベルン家はイクシオンの子孫であり、過去の功績からどれだけ貧しくとも、“永久貴族”という特異な爵位を与えられ、身分を保証され続けている。
物語の最初は、この街を発展させることが、主人公達の目的として、話が動いていく。
- 調教師
かつて巨大竜の脅威から世界を救った英雄のイクシオン・ベルンが持っていた才能(資料ではイクシオンは魔獣使いとされている)。あらゆる動物と対話し友達になるという、一見地味な能力だが。災害級の魔物すらたやすく手懐け、仲間にしてしまうために、実質史上最強の才能である。
ただ動物と交友できるだけでなく、“魔獣使いに強制的に操られている魔物に命令に逆らわせる”“誰にも扱えない意思を持った魔道具と対話し、装備可能にする”という応用技もある。
イクシオンの子孫であるクラウドも、その才能を授かり、その力を知る一部の者から注目されることになる。
- ペイン商会
アングルスという町にある商会。アライグマ型の獣人のブリオンと、その娘ルリによって営業されている。妻の存在は作中では確認されない。
かつてはスロリ町の主な取り引き先だった。だが街道が謎の爆発によって破壊され、以後交流が途絶えていた。そのせいかは不明だが、現在は経営が悪化し、クラウドが来た時は閑古鳥状態だった。
ワルナイ商会と手を切ったクラウドが、魔獣の力を借りて街道を乗り越えてアングルスに辿り着き、再び取り引きを始める。
実はかつてイクシオンと共に行商路を開拓した歴史ある商会で、クラウド達ベルン家とも繋がりが深い。
原作では店主父娘の人種に関しては特に言及されておらず、獣人というのは漫画版オリジナル設定と考えられる。