本記事はネタバレを含みます
概要
新たな世界の見滝原にいる子供達。
暁美ほむらと関係があるようだが……?
その正体
「色から生まれ空にはあらず、此岸の淵こそ我らが舞台」
真名はClaradolls。その性質は泣き屋。
葬列を盛り上げるために涙の芝居をする着せ替え少女人形。
なお「偽街の子供達」は映画のエンドロール及びパンフレットに記載された正式名称である。
パンフレットには「偽物街」というイラストもあり、それと関連する呼び名と推測される。
魔女図鑑では他の使い魔は「くるみ割りの魔女の手下」となっているが、この使い魔はその記述は無く、「偽街の子供達」と書かれており、他の使い魔とは違う扱いとなっている。
基本人数は14人+1人。
名前はそれぞれ「イバリ」「ネクラ」「ウソツキ」「レイケツ」「ワガママ」「ワルクチ」「ノロマ」「ヤキモチ」「ナマケ」「ミエ」「オクビョウ」「マヌケ」「ヒガミ」「ガンコ」とほむらの自己評価そのものと思われるネガティブなものが多い。
そして最後の15人目として「アイ」が居るが、まだ来ない。
特に4人で使い魔の先陣を切っていたりするのはそれぞれ鹿目まどか、美樹さやか、佐倉杏子、巴マミを意識しているのではないかという説もある。
また15人目の「アイ」の服装は喪服ほむら(ゴスほむ)と同じものであり、漫画版でのイメージやイヌカレー空間のイメージなど、そしてほむら本人の「希望と絶望を超える感情」の宣言からも主人である暁美ほむら=アイではないかという説もあるが確証はない。 (愛だけではなく、「I」や哀など多重ミーニングの可能性も高い)
メガほむを模したブリキの兵士Lotte、凶報の鳥・Liese(リーゼは偽街の子供達に餌付けされている)、胡桃を飛ばす歯・Liliaなどバリエーション深いHomulillyの使い魔だが、この偽街の子供達は特に実力が高い使い魔である描写がある。
ほむらが愛する鹿目まどかを支配しようとしたインキュベーターを待ち針、もしくは編み棒を象った槍を使って刺し、ねじ切っている。
そのちからは魔法少女にも劣らなく、完全に魔女化した後の円環勢力のほむら自殺阻止戦の際でも、兵士が手を焼いていたAnthonyの群れ(美樹さやかが借りてきた使い魔)を少数で蹴散らし、魔法少女とも互角に斬り合う描写がある。
結界内に犠牲者を引き込む際や結界構築のイメージではこの使い魔達が活動しているシーンがあり、魔女としてのほむらの右腕的な存在なのかもしれない・・・が、そこはやはりまどか☆マギカシリーズの使い魔たちで、本当の意味で主人の魔女が欲しいものを持ってきてはくれないという点では、彼らも例外ではない。
主人のHomulillyは、地面を引っ掻くリボンが示すように本心では自殺を望んでいないが、この使い魔たちは主人を断頭台に連れて行く役割を担っている。
そしてその役割に関しても、結局は円環勢力に阻まれ、果たせずに終わっている(円環勢力の一部の使い魔を蹴散らしただけで、指揮を執るさやかとなぎさには有効なダメージを与えることができていない)。
ストーリー的な演出としても印象的な場面が多い。
女神まどかの石像に柘榴を投げつけて侮辱したり、女神まどかの奪われた記憶の象徴であるピンクの毛糸を蹴ったりする描写がある。(ネクラ)
悪魔ほむらが世界を改変した後は、佐倉杏子からリンゴを受け取ろうとしてほむらに邪魔をされ、その後にほむらにトマトをぶつけるといったシーンがある。
このことから、魔女ではなくなったほむらと彼女等との関係が変わった可能性を推測できる。
それを示すかのように、結界内では所謂イヌカレー作画、真相判明前や改変後はセル画調で描かれている。
容姿
他の使い魔と違い、個体ごとに外見が異なっている。
背丈は人間の子供と同程度だがばらつきがあり、髪型も服装も様々。
ただし役割からか全員が喪服である。
共通項としては全員が青白い肌に青い目をしており、常に薄笑いを浮かべている。
攻撃時には目が赤くなり歯をむき出しにする。
15人目の「アイ」は劇中及び魔女図鑑ではブリスターパッケージ風にかかれたものが登場しているが、そこには魔女文字で「一人ぼっちにお似合い」と書かれている。
彼女は頭髪が無く、手回しドリルを持っている。
また魔女図鑑には一切の記述が無いが、アイが劇中で映った時には、同じくスキンヘッドでまどかの魔法少女服を着たものも映っている。
またドリルで頭部を穿たれているアイらしきものも登場している。
服装や「少女人形」という設定から、一応は全員女性型であると思われる。
名前と各個体の正確な対応は明言されていないが、魔女図鑑イラストで振られている番号が説明文の表記順であると考えると、以下のようになる。
1.イバリ | 2.ネクラ | 3.ウソツキ |
4.レイケツ | 5.ワガママ | 6.ワルクチ |
7.ノロマ | 8.ヤキモチ | 9.ナマケ |
10.ミエ | 11.オクビョウ | 12.マヌケ |
13.ヒガミ | 14.ガンコ | 15.アイ |
これを元に、彼女らをほむらの心理の象徴と考えて本編の各シーンでの行動を照らしあわせると、従来とはまた違った解釈ができる。
例えばトマトを投げていたのが「ウソツキ」と「ミエ」であったことを考えるとほむらに「見栄張って嘘つくな」と言いたいのかもしれない。 ちなみにこのとき「ネクラ」は手をまどかのように胸の前で組み、見ているだけであった。
解説
役割である「泣き屋(泣き女)」とは、葬儀を盛り上げるために泣くことを職業とする人々。アジア各地に散見される実在の職業である。
ベテランともなると臨場感たっぷりに泣くことができるが、あくまでビジネスなので仕事が終わるとケロッとしている。
しかしながら、劇中で彼女たちが泣く事は一度も無く、魔女図鑑にて役割が明らかになった時ファンに少なからず衝撃を与えた。
漫画版では断頭台への行進が始まった際に、泣いている。
また、解説にある「色(しき)」「空(くう)」は仏教の用語。簡単に言うと「色」は物質的な現象、「空」は「実体がある」「実体がない」を超越した概念をさす。
般若心経にあるとおり、「色即是空 空即是色(ものごとの実体はあるともいえるし、ないとも言えない。それらをはなれたところから認識は生まれる)」が大乗仏教の根幹だが、魔女図鑑の解説はこれを真っ逆さまにしたもの。
彼岸の空の世界を拒み、此岸(この世)の色(物質)の世界で自分を処刑し続ける魔女と、そこで永遠に神と魔女を侮辱し続ける使い魔の関係が見て取れる。
まどか像を侮辱している時の"Gott ist tot!"というセリフは、ドイツ語で「神は死んだ」の意。
ニーチェの著作『悦ばしき知識』の有名な文言である。
ほむらが偽街を歩いている時やピンクの糸が巻かれた糸巻きが蹴られた際の言葉はFort(いない)、Da(いる)と思われる。
フロイトは『快楽原則の彼岸』のフロイトの孫エルンストが糸巻きで遊んでいた際の言葉からの引用と思われる。
真名のClaradollsはそのまま「クララ人形達」。バレエ『くるみ割り人形』の主人公の名前「クララ」が元だと思われる(主人公に贈られた人形の名前とされている改訂版もある)。
主人公のクララは夢の世界でくるみ割り人形率いる人形達とねずみ達の戦闘に巻き込まれるという役どころであり、展開的にほむらの状況と重なる。そのクララ(ほむら)の使い魔であることと、ほむらの内面を模した存在というふたつの意味での「クララ人形」と見ることができる。
声優
ドイツ語を話すため、ガヤではなくネイティヴの声優を起用している。
他の魔女や使い魔は他の役との兼役であり、専用に声優が起用されたのは初の事例。
CV:
Nadine Stummer
Mae Hinck
Marina Miyamoto
Hannah Heile
Sandra Kraus