四書五経の一つ。
「書」、「尚書」または「書経」という。
主として上代の聖天子といわれる堯・舜を始め、夏・殷・周三代の帝王の政治および詔誥を収めたもの。
編者は孔子といわれているが、信じ難い。
今文で伝わった篇と古文の篇とがあり、今文は漢代から伝承されたものである。
古文は真の古文でなく偽作であるが、それにも拘わらず朱子の学説の根本をなすべき語句が擬古文中にあり、受容されてきた。
注釈は、漢の孔安国の注といわれるものと、それを敷衍する孔穎達の正義、朱子の門人・蔡沈の集伝が重要なものである。
東洋の古典として日本でも尊重され、国家の基本である元号の典拠としてもしばしば採用される。
近代では『書経』を典拠として「昭和」・「平成」の元号が建てられている。