インヴィンシブル(Invincible)とは、イギリス海軍の伝統の艦名の一つ。巡洋戦艦と軽空母(いずれも一番艦となった)が有名。インビンシブルとも表記する。
なお、英語のイン~ブルという形容詞は、可能を表すブルと否定のインを組み合わせて「~不可能」という意味を持つが、インヴィンシブルの場合は「征服不可能」、ひいては「無敵」を表す。
巡洋戦艦インヴィンシブル
メインイラストの軍艦。史上初の巡洋戦艦。1908年就役~1916年戦没。同型艦にインドミタブルとインフレキシブルがあり、語呂が揃えられている。
史上初のド級戦艦ドレッドノートと同様、イギリス海軍の名物男フィッシャー提督の肝煎りで建造された軍艦。フィッシャーの「速力は最大の防御」の信念を形にしたもので、巡洋戦艦の性格である大攻撃力・高速・薄い防御の典型であった。
第一次世界大戦では、高速を生かしてフォークランド諸島に姉妹艦インフレキシブルと共に派遣され、コロネル沖海戦で意気上がる、旗艦シャルンホルスト率いるドイツ東洋艦隊を捕捉・撃滅した。
そして史上有数の大海戦ユトランド沖海戦では、インディファティガブルとクイーン・メリーに引き続き、ドイツ海軍の砲撃で轟沈、この海戦で沈んだ4隻の巡洋戦艦の3隻目となった。
このように、インヴィンシブルは巡洋戦艦の誕生・栄光・悲劇の三つに関わった、巡洋戦艦の代名詞のような艦である。
軽空母インヴィンシブル
史上初のVTOL空母。イギリス海軍自身の分類では「支援空母」。1980年就役~2005年退役。同型艦にアークロイヤルとイラストリアスがある。
VTOL戦闘機ハリアーと組んで、軽空母でも制空権を握ることが可能なことを示した。
奇しくも活躍の舞台となったのはフォークランド諸島(フォークランド紛争)であった。