ヨーロッパの伝承などに登場する妖精の一種。
またはファンタジー物の小説やゲームなどに登場する架空の種族のこと。
まれに「コボールド」または「コボルト」とも。
多くの場合、そのキャラクターは“邪悪の手先”として設定されている。
魔王や強大な魔力を持った悪の魔法使いの悪の軍団の尖兵として、主人公たちの前に立ちふさがり敵対する、いわゆる“やられ役”や“戦闘員”と言った役所が多い。
外見的イメージ
ほとんどの場合「犬の顔に人間の体」という描写をされる。
これは最古のTRPGである「D&D (Dungeons & Dragons)」のルールブック中で「犬の顔に人間の体を持つモンスター」と設定されていたため。これ以降、何らかの作品にコボルドが登場する時は「犬顔」でイメージがほぼ統一される事になる。
また日本ではコンピュータRPGの古典作品の1つである「ウィザードリィ」の中で、当初から使用されていたコボルドを表す画像が犬顔であった事に加え、家庭用ゲーム機のファミコンに同ソフトが移植発売された際、日本語版の公式イラスレーターとして末弥純が起用され、その時に描かれたイラストやCGでも犬顔であったためにこのイメージは決定的となった。
犬顔である事から通常は豊かな体毛を持つように描写されるが、一部のゲームでは体毛の代わりに鱗を持つように描写される事もある。最も、鱗を持つコボルドの描写は最近では非常に稀になっている。
例外的なデザインとしてTRPG「ルナル・サーガ」シリーズでは、とんがり帽子状の頭を持つ醜い小人として描写されている(因みに同作では敵モンスターと言うより土の精霊としての側面が強い)。
妖精としてのコボルド
元はドイツ地域での民間伝承に登場する妖精の一種。
ドイツ語、英語表記共に“Kobold”と書くが、英語に翻訳される時にはしばしば“ゴブリン (Goblin)”と表記される事もある。おとぎ話や童話などで語られる「悪戯をする妖精」を指すが、前述の「ゴブリン」と明確には区別出来ない場合も多い。これは両者ともギリシア語の「コバル」(“子供”くらいの意味がある)に由来する命名であり、少なくとも古代においては明確に区別されてなかった事にも拠る。
森などに住んでいるとされるが、伝承によっては地下に住むと考えられている場合もある。
そのため地域によっては山や大地の守り神と信じられている。その性格なども地下や、大地、岩石鉱物~と言った物に関連付けされる事も多い。
また原子番号27の「金属元素コバルト (Co/Cobalt)」の名称は、この妖精コボルトに由来する。
これは地下鉱脈などで掘り起こされるコバルト鉱物は大変硬く、通常の鉄製の工具などでは冶金加工が非常に困難なため、中世16世紀頃のドイツの工夫たちの間では「地下の妖精(コボルト)が人間を困らせるために魔法をかけた石」と信じられていた事に由来する。
中世になると、日本の座敷童子のように、住み着いた家に幸運を齎す精霊のひとつとされるようになった。但しこうした屋敷霊としてのコボルドはタブーに対して厳格であり、人間がタブーを破ると一方的に関係を絶ってしまう。こうした説話では、絶たれた人間の側は運気が低迷して没落するのが一般的である。
ファンタジー内でのコボルド
前述の通り、長らく「悪の軍団の尖兵」としての役所がほとんどであったが、近年、その“犬の顔”と言う特徴から「犬のように人間の良き隣人」という性格付けが生まれてきている。これは一種の「ケモノッ子」や「獣人化」であり、単純にコボルドの外見的特徴のみに焦点を当てたものとも言える。主に「ウィザードリィ」に影響を受けて作られたRPGに見られる傾向であり、同様に架空の種族である「オーク」や「トロール」などにも見られる解釈の変化である。
最も前述の「屋敷霊としての」よき隣人たるコボルドの伝承は中世から存在し、コボルドに限って言えばあながち的外れな設定ではない。
また、作品によってはヒューマノイドではなく土の精霊のひとつに数えられる事もある。