スターオーシャンは、1996年にエニックス(現スクウェア・エニックス、開発はトライエース)から発売されたゲームソフト。
スターオーシャン、SO、スタオーと多数の呼称があり、pixiv内でもタグ使用が混合しているが、この項目ではSO1について記載。
スターオーシャンシリーズについては『SO』を参照。
※ネタバレ多数有り
人は云う、宇宙は星の海だと
概要
記念すべきシリーズ第1作。
声優起用によるフルボイス戦闘や聴き応えのある楽曲が売りとなり、スーパーファミコンの容量の限界に挑んだ作品と謳われた。
触れる機会の多いPSP版の要素も踏まえて紹介する。
あらすじ
文明がさほど進展していない惑星、ローク。
田舎町クラトスの自警団として勤める青年ラティクス、通称ラティは、退屈ながらも平和な毎日を過ごしていた。
しかし、ある時を境に平和は傾き始める。余所で発生した人体石化現象が広まり、ラティ達の身の回りにも影響が及び始めたのである。
遂には親友・ドーンが石化に蝕まれ、ラティ達は病状を治すべく、危険な山岳地帯へ薬草の採取に向かった。
到着した山頂で、ラティ達は得体の知れない2人の人物と遭遇する。
「薬草では石化は止められない」と告げられ、半信半疑ながらも、ラティ達はその2人と行動を共にする事となる。
これが300年過去のロークと星の海を跨る、長い冒険の始まりであった。
登場キャラクター
主に「ローク人」、「地球人」、「過去ローク人」に分けられる。
過去ロークとは、本作の冒険の大半を占める舞台で、ラティの時代から300年昔に遡ったロークである。
ローク・過去ローク人はその多くが猫や虎を先祖とするため、尻尾など動物の名残を残しているのが特徴。
ラティクス・ファーレンス
「暇ってことは、平和ってことだから」
ローク人。前述の通り平和を好む青年である。
しかし冒険を進めると、後記のシウスやアシュレイに剣の腕を認められたり、ティニークに弟子入りされるなど、
常日頃から、平和だからこそ鍛錬を怠っていなかったのが窺い知れる。
敵に対しては強気だが、年上にはやや譲歩した接し方をするため、意識しているのかは定かではないが、案外世渡り上手な面がある。
特別な力を宿していた彼の先祖(SO4参照)に、既にその功績が予言されていた(断定されていた訳では無く、結果的に、とも)。
彼やミリーは猫を先祖とする「フェルプール」族で、猫の尻尾を生やしている。猿と言おうものなら怒る。が、好きな動物は犬らしい。
ちなみに、歴代主人公の中で一人称が唯一「俺」。
ミリー・キリート
ローク人。ラティと同じクラトス自警団の1人。
クラトスに住んでいたこと、そして父親が石化現象についてその身を犠牲にしてまで調査した事から、彼女も渦中に巻き込まれる。
回復・アシスト系の紋章術を覚え、後衛に優れる。
ロニキスに紋章術を教えたり、旅先で知り合った少年に懐かれるなど、世話好きな性格である。
どうやら旅の途中ロニキスの弱みを握ったらしく、それを巧く利用して彼にパフェを奢らせるちゃっかりした一面も。
猫派なので、犬派であるラティとはその件で軽い口論になることも有り。このPAで、他の仲間の好みも伺えて面白い。
「かっこE」といったナウなヤングにバカ受けの言葉を使いたがる。おてんば娘とはドーンの談。
ドーン・マルトー
ローク人。ラティ、ミリーと同じクラトス自警団の1人。
石化現象に感染し、病状を防ぐ為薬草を採りに行った事が、奇しくも冒険のきっかけとなった。
登場早々ミリーの悪口を羅列し、彼女が事あるごとにラティの名を挙げるのに対し少なからず嫉妬していた。所謂片想いか。
残念ながら石化は止められず、序盤にしてパーティから離脱。PSP版での新たな活躍が望まれたが、そこまでには至らなかった。
スターオーシャンにおける不憫キャラの第一人者。
ロニキス・J・ケニー
地球人。ロークの調査中、ラティ達と遭遇。
石化したドーンを検査し、石化現象自体が敵のバイオテロリズムであると突き止め、
ワクチン作成の為に、軍法違反を犯してまでラティ達と共に過去ロークへと旅立つ。
地球連邦軍大佐という職柄だが、腕っ節の軍人気質としてよりも、人柄の良い有能艦長としての印象が強い。苦労人とも。
そのためか部下であるイリアに気迫で圧されている部分も見受けられる。が、技量は確かなようで回りからは信頼されている。
また、当時の地球人にとっては魔法そのものであった「紋章術」に着目しこれを習得、オカルトではない立派な技能であると証明して見せた。
PSP版のクリア特典に収録されている彼の没ボイス「カモンッバーニィッ!」は必聴。
イリア・シルベストリ
地球人。ロニキスの部下。
ロニキス同様、ラティ達と遭遇後、紆余曲折の後過去ロークへ旅立つ。
体術に優れており、男勝りな性格は上司たるロニキスをも縮みこませる。
が、下手をすれば極刑をも免れない彼の決断を肯定し、共に行動する程までに彼を慕っている。
SFC版では、実にRPGチックな露出度の高い格好を纏ったが、PSP版は軍服姿のままである。
大人の都合だそうだ(新規グラフィックが用意できなかった、今にすればFFあたりの服装センスに類似している、といった所か)。
シウス・ウォーレン
過去ローク人。ラティ達が過去ロークで最初に知り合う仲間(選択肢によっては殆ど絡まない場合も)。
アストラル騎士団の1人で、いずれは父の座を継いで騎士団長に就く筈だったが、「親の七光り」と批判されるのが嫌で旅に出ていた。
態度や口調から、イリアからは「豪快な人」と評されていたが、実際は敏感な精神の持ち主の様だ。
常に筋骨隆々な上半身を晒け出しており、そんな見た目からなる想像を裏切らない、頼りになる前衛キャラである。
意外にも人への物言い方が達者で、僅かな資金で沢山の武器や防具を購入し(店主に値引きさせたのだろう)、ラティを驚かせることも。
アシュレイ・バーンベルト
過去ローク人。パーティ加入キャラクターの中では最高齢。
過去ローク人だが、ラティの時代にすら名前が残っている程の英雄で、片腕ながら誰にも劣らぬ剣術を誇る事から、その戦績が伺える。
タトローイ闘技場でのラティの活躍を目にし、思う所あってかその後の接触で、ラティ達との旅の同行を自ら望む。
実は剣術の後継者を探していたためであり、感情度によってはラティに強力な必殺技を伝授する。
SO4では若かりし頃の彼が、闘技場制覇の最後の砦として登場。相手は1人だから、と油断していると全滅をかっ喰らう。
意外にも犬が苦手で、その若かりし頃に野良犬に追い掛け回された過去が、年老いて尚トラウマに残っているらしい。
フィア・メル
過去ローク人。アストラル騎士団所属の女性騎士。
育った環境が環境だったからか、絵に描いたような男勝り。実力容姿共に、彼女を慕うアストラル兵は数多い。
シウスとは幼馴染であり、騎士団から逃げ出した彼を潔く思っていない。が、それは彼へ対する想いへの反動でもある。
ゲーム進行によっては、シウスの父ライアス殺害の濡れ衣を着せられ、投獄される。
そんな彼女を脱獄させ、仲間にした場合は通称「脱獄フィア」と呼ばれている。
脱獄フィアと感情度を上げ、結局冤罪が晴れないままゲームをクリアすると、非常に切ないエンディングを迎えることに。
ティニーク・アルカナ
過去ローク人。「リカントロープ」という種族で、戦闘時は狼の姿に変身する青年。
タトローイ闘技場で日々修行に明け暮れ、強い相手を求めていた。
連戦勝利するラティを見つけると、どこぞのストリートなんやらが如く乱入し、勝負を挑む。
勝てば弟子入りを口述に仲間への介入を望まれる。口癖は「~ッス」。
基本的に礼儀正しい、と言うよりは格上と認めた相手には積極的に尽くす性格のため、シウス辺りにはよく雑用を任されたりする。
要するにパシり。
発熱すると、とんでもないジゴロに変貌する。熱の影響なのか、はたまた彼の隠された本性なのかは不明。
ペリシー
過去ローク人。にゃんこ。ではなく猫を先祖とし、その血を色濃く継ぐ「レッサーフェルプール」の少女。
希少価値の高い種族のため賊に囚われていた所を、ラティ達に救出される。
が、生い立ち上のコンプレックスからか他の人間へ疎外感を抱いており、その際はすぐに逃げ出してしまった。
後に、とある村で再会することができれば、ラティ達と仲間に――いや、友達になる。
シリーズ恒例のマスコット、バーニィは彼女との関連イベントで初登場する。
感情度を上げた上で迎えるエンディングは、例の如く切ない。
ヨシュア・ジェランド
過去ローク人。翼を持った紋章術使い。行方不明になった妹の捜索に旅をしていた。
回復術を扱う為、ミリーが不在の場合重宝される。攻撃術も備えているので、ザコの一掃にも役立つ。
PSP版のゲーム進行によっては、重度のシスターコンプレックスであると判明する。
妹がらみでは普段大人しい性格が変動するほど。境遇が前記の通りなので理解は出来るが。
SFC版においての、紋章術の諳んじ方が、異様なまでに気合が入っているのは最早ファンの語り草。
例:「ヒィルッ!」 「アンチッドートッ!!」 「キュアオォォッル!!!」 ※いずれも回復・アシスト術
マーヴェル・フローズン
過去ローク人。ミリーも認める麗人。
はぐれていたロニキス、ミリーと一緒に仲間になる。過去ロークに慣れない2人をサポートしていたようだ。
が、ローク人特有の耳や尻尾を生やしておらず、行動からも不自然な点が見られた。
実は、父と母を殺し、兄を行方不明に追い遣った「深紅の楯」という男に復讐を果たすため、旅をしていた。
同様に、両親を失い妹を奪わたヨシュアとは境遇が似ており、彼自身にも少なからず意識を寄せている。
謎の多い彼女の正体は……後記へ。
エリス・ジェランド
かつての自分を捨て、マーヴェルの肉体・精神を借りていたのが、ヨシュアの捜し求めていた妹・エリスである。
とある洞窟内で肉体のみが氷付けとなっており、発見時、パーティにマーヴェルがいた場合、真実が明かされる。
真実を語った後、ヨシュアの説得も虚しく、マーヴェル――エリスは、自身の意思で消滅への道を選ぶ。
PSP版では、パーティにアシュレイがいた場合のみ、消滅は免れ、エリスとして仲間に加える事ができる。
このパーティ加入によって明らかとなったのが、相当な腹黒であったこと。可愛い犬は食うもので、愛読書は暗殺指南書、だそうな。
ウェルチ・ビンヤード
PSP版のみ登場。マップ上にも表示されない森の奥深くにて、誰知られずひっそりと潜んでいた。
ロークにはまるで合わない、地球産かのような衣服を着ており、ロニキスとイリアに怪しがられる。
思わせ振りな台詞も多く、上記の仲間達と比べ、態度も格好も浮いている。
正体を明かせば、『スターオーシャン3』に登場したウェルチその人であり、リメイクにおいてのゲストキャラクターである。
彼女の素性を知ってるプレイヤーは、イベントごとに驚いたりする彼女の姿に、少し白々しさを覚えるかもしれない。
持ち技「にーべるなんとかー」は、同トライエース社の作品「バルキリーなんとかー」に関連するパロディ。
敵キャラクター
アスモデウス
今作のキーパーソン。退治ではなく、あくまでワクチン作成に必須な体組織の回収に目的がある。
『SO4』にて、彼のバックグラウンドがより深く描写されている。その存在によって狂信的宗教が発足されていた様だ。
デル・アーガスィ-深紅の楯-
ヨシュア、マーヴェル、そしてエリスの物語の根本となる人物。
かつてはアシュレイと肩を並べた英雄だったが、とある経由で呪いに縛られ、今に至った。
SFC版とPSP版でそれらへの解釈がやや異なっている。彼との戦闘BGMは名曲。
ジエ・リヴォース
惑星ファーゲットの独裁者。物語のラストは彼の暗殺が使命となる。
独裁者までに至った思考はともかくとして、ボス敵としてのパラメーターはロールプレイングゲーム史上最弱とまで謂われている。
実際、万全を期してから戦いを挑むと、あっさりと勝利してしまう。第二形態もあるが、あだ名はズゴック。