データ
「スラバヤ沖海戦では駆逐艦電と一緒に協力して、
沈没した敵艦隊の生存者の救助に当たったのよ。
ただ強いだけじゃ、だめだと思うの。
ね、司令官!」
概要
暁型第六駆逐隊四姉妹の三女で、同型艦四人の中では最も活発な元気っ子。
史実ネタで名前と外観が似ているからとよく郵便物の誤配があり、それを意識して電とは双子のように似たデザインを意識しつつ、好対照的な性格になっている。そのためによくペアで描かれることも多い。→雷電姉妹
お陰でゲームを始めたばかりの初心者には二人を混同してしまう人もいるとか。
前髪にクリップを留めている方が雷と覚えるといいだろう。また、公式の立ち絵では右手に錨を持っている。
駆逐艦としての性能は並で、レアリティも並(1-1から普通にドロップする)。
ただし第六駆逐隊に関する2つの任務で必要となる。
また『「第六駆逐隊」出撃せよ!』の任務は一度達成しても再出現するというバグが報告されている。
放置しても特に問題は無いが、再び報酬を貰いたいなら彼女達を手元に残しておくと良い。
2014年2月14日のアップデートにより、電と共に改造後のみ補給・放置ボイスが実装された。
容姿
癖のある茶髪のボブヘアーに薄茶色の瞳。
左の髪にヘアピンをつけており、側頭部から飛び出した房が輪を描くように後頭部に流れている独特な髪型が特徴。
服装は暁型第六駆逐隊共通の、白地の長袖セーラー服に紺の襟とミニスカート、そして紺のニーソックスに濃い灰色のローファー。
艤装は背中に煙突を背負い、そこから腰を挟むように三連装魚雷管がジョイントしており、その魚雷管の上に盾を装備。また右肩後ろには台に乗った連装砲が煙突にジョイントしている。
また本来は煙突の下に懸架されている錨を右手に保持する。
性格
活発な元気っ子。かなりあっけカランとしており、押しと気が強い一種のガキ大将である。
人に頼られることを何よりの喜びとしており、どこか依存してほしいと考えている節がある。
提督にはかなり好意的。
提督を気遣ったり励ましたりする場面が多く、常に提督をリードして依存させようとしている。また彼女自身も積極的に提督に必要にされたいと考えている一方、世話を焼くことでしか愛情表現できない不器用さも感じることができるだろう。
その金剛にも負けない積極性から、古くから提督LOVEの一人に数えられている。
また、持ち前の明るさと幼い外見とのギャップも相まったその包容力に癒される提督がちらほら。(中の人が同じ艦娘に全ての空母の母がいるのは偶然か、必然か…)
ゆえに、一部では「暁よりお姉さんっぽい」だの「ダメ男が寄ってきやすいタイプ」だの「雷ちゃんマジ天使」、だの挙句の果てには「ダメ提督製造機」などと言われることも。
というのも、実は暁型としては一番最初に竣工・就役しているのがこの雷なのである(その次が電で、暁は三番目に竣工)。
余談だが、この「幼い容姿でありながら包容力に満ち溢れている」という雷の特徴がとある総帥の好みに直球ど真ん中ということから、彼女に魅了された提督をそのキャラの名前に提督を付けて呼ぶことが流行り、ついにはとある艦これを特集した雑誌で総帥の迷言を文字った「雷は私の母になってくれるかもしれなかった女性だ!」という煽り文が掲載された。あ艦これ…
「護りたい艦娘」の代表の一人によくあげられる電とは逆に、「甘えたい艦娘」の一人として、最近認知されつつある。周囲をリードする素質に恵まれているのかもしれない。
ただし、ゲーム中では本人のアピールにも関わらず提督からはスルーされることもある。
ちなみに二次創作などではこれらの性格が行き過ぎて、ヤンデレ化してしまったものもちらほらみることができる。
史実
スラバヤ沖海戦において、漂流する敵兵を発見した駆逐艦「雷」の駆逐艦長「工藤俊作」は、敵潜水艦の潜む危険な海域において、敵兵救助を命じ、422名を救助し手厚く持て成したことで知られる。
この救助行為は、後に救助された英海軍士官から、「武士道の実践」と称賛され、日本兵の行った美談として語りつがれる事となる。
「ただ強いだけじゃ、だめだと思うの。ね、司令官!」
戦後、生き残った工藤氏は、「雷」の乗員全員が犠牲になった事への自戒の念から、戦後多くを語らず亡くなったため、この事件が世間に知られるようになったのは、当時の救助兵の一人であり外交官でもあった 元英海軍中尉「サミュエル・フォール」が来日し、当時のことを詳しく語ったからである。フォール氏が自衛隊の観艦式に出席した際、 防衛庁の計らいで「雷」の名を受け継いだ護衛艦「いかづち」が搭乗艦に充てられた。
第三次ソロモン海戦では暁、電と共に第一夜戦に参加。
目の前で暁が沈むのを見届けることになってしまい、雷自身も激しい戦闘の中、死傷者80名近くを出し大破してしまう。
しかし機関部は奇跡的に無事だったため全力航行は可能で、生還を果たしている。
修理後は電とアッツ島沖海戦に参加するが、所属する第五艦隊が消極的な戦闘に終始したため戦果を挙げることはなかった。
その帰投時に、「若葉」と衝突してしまい艦首を損傷してしまう。
多くの活躍を残した「雷」だが、悲惨な最期を遂げる事となる。
1944年4月13日、船団護衛中にグアム島の西において、船団が潜水艦の雷撃を受けたため、単独で対潜掃討に向かって以降、消息を絶つ。状況から、敵潜水艦に撃沈されたものと考えられたが、その最期は明確に把握されていなかった(轟沈台詞も、これに由来するものと思われる)。
戦後、米軍側の記録から、潜水艦「ハーダー」の雷撃によって撃沈されていたことが判明。ハーダーは第二次世界大戦最強クラスの『駆逐艦殺し』として有名であり、彼女(と谷風)はその魚雷の餌食となっていたのである。乗員達は全員戦死と記録され、英兵を救った多くの乗組員も、彼女と共に海の底へと沈んだ。(敵兵救助で有名な工藤艦長は、1942年8月に異動となり、駆逐艦響艦長に就任。護衛任務等を行った後、同年12月に内地勤務となる。1944年11月から体調を崩し、翌年3月15日に待命となり終戦を迎えている。)
この時、ハーダーの艦長「サミュエル・D・ディーレイ」(アメリカでは「潜水艦乗りの中の潜水艦乗り」として名誉勲章を受章した軍人である)が記した軍の報告書には、「Expended four torpedoes and one Jap destroyer!(訳:4本の魚雷とジャップの駆逐艦を消費した!)」と記されている。雷は乗員共々、消耗品である魚雷と同等の扱いをされてしまったのである。
こうして、敵兵救助を行い、後に「武士道の実践」と謳われる駆逐艦「雷」は、グアム沖の海底へと消えた。戦争の非情さを感じさせる最期だと言える。
なお、潜水艦に撃沈された事により、彼女は「潜水艦トラウマ組」の仲間入りを果たしている。堂々と侮蔑されてしまった背景を考えると、笑うに笑えないのだが……。
余談だが、ハーダーは雷が沈んだ4か月後の1944年8月に、マニラ沖にて、第22号海防艦に撃沈されている(例のディーレイ艦長もその時に戦死)。
潜水艦としては珍しく、撃沈した場所と日時が特定されているが、これは海防艦側が撃沈を確認し、かつ、ハーダーの僚艦ヘイクが爆発音を感知したためである。
さらに言うと、この時第22号海防艦の僚艦だった「第102号哨戒艇」は、何と米海軍から鹵獲した駆逐艦「スチュワート」が前身だった。
雷の敵を討った第22号海防艦と第102号哨戒艇は、終戦まで無事生き残っている。
(一説では、第22号海防艦は電の敵である米潜水艦「ボーンフィッシュ」にも止めを刺したと言われている)
余談
- 艦の写真が残っており、舷側にイカヅチの艦名を読むことができる。(なお、この艦名は後に消されている)
- 「雷」の名を持つ艦は、「特型駆逐艦『雷』」で二代目。帝国海軍には「雷型駆逐艦『雷』」という駆逐艦が存在しており、初代「雷」は、日本海軍初の駆逐艦と言う記念すべき艦である。また、妹にあたる電にも、やはり同名の「雷型駆逐艦『電』」が存在している。戦後海上自衛隊でもこの艦名は引き継がれ(ただし読み仮名は「いかずち」ではなく「いかづち」で歴史的仮名遣いである)、三代目「いかづち型護衛艦『いかづち』」(退役済み)、四代目「むらさめ型護衛艦『いかづち』」(就役中)として、今も日本の海を守っている。
- また、姉妹艦には必ず「いなづま」がいるのがお約束となっている。彼女と電の容姿が他の姉妹よりも似ているのは、そういう背景も含めてのことかもしれない。因みに、雷と電の姉妹関係が逆転したのは当代だけである。
むらさめ型「いかづち」の擬人化イラスト。
- ちなみにこの「いかづち」、2013年10月に『中国海軍の軍事演習を約3日間妨害』したと中国国防省から名指しで抗議されているが真相は定かではない。
- 『艦これ』での話になるが、中の人は『艦娘型録』のインタビューで「雷を轟沈させちゃいまして」と語っていた。ちょ…おま…
- 梅雨時で(天候としての)雷の激しい季節、艦これ運営のTwitterアイコンが雷に差し替わったこともあった。「かみなりよ!いかづちじゃ無いわ!」 なお、似たようなケースで冬の大雪の時にアイコンが吹雪に変わったこともある。
- 二次創作ではあまり採用されないが、史実ではメシマズネタがあったりする。駆逐艦はスペースの関係で食料の保存に難があり、特に暑い南方では、変な臭いのする夕食が出ることなどはザラだったようだ。南方にいた駆逐艦では特に珍しいことでもないのだが、雷(と五月雨)に関してはその詳細な資料が残っている。