ロシアや旧CIS諸国などの地域で話されるスラヴ系言語。国連の公用語のひとつ。
メジャーな言語の中では、アラビア語と並び日本人にとって習得が難しい言語といえる。
まず文字は、日本人にとっては馴染みの薄いキリル文字で表記される。(もっと馴染みの薄い文字はいくらでもあるがここでは割愛する。)
ロシア語の発音は、日本語やイタリア語などの開音節言語(音節が子音+母音の組み合わせになっている)が明るく平坦な発音をしているのとは対照的に、重々しく聞こえる。
しばしば「子音の密度が高い」と言われるが、これは3子音の連続や4子音の連続が多いためにそのようなイメージを持たれるのであり、「хорошо(ハラショー)」や「катюша(カチューシャ)」のようにすべての音節が1子音+1母音でかつ開音節である単語も多い。
子音が連続することが多いが、これは巻き舌のrが母音の役割を果たしているのである。
また、「fとtが語頭で連続する」「nとrが語頭で連続する」のように、日本語話者や英語などの西欧言語話者にとってなじみの薄い連続子音の発音が多数あることも、「ロシア語は子音が多い」というイメージをもたれる要因のひとつであろう。
また、「軟音化」といって、舌を上顎に近づけて母音を発音する(日本語で例えれば「カ・ク・ケ・コ」に対する「キャ・キュ・キェ・キョ」のイメージに近い)が多用されるので、それも発音を重々しいイメージにしているといえよう。
実際には、同じスラブ系言語であるチェコ語やポーランド語などに比べると母音の密度が高めであり、音の響きはかなり明るいといえる……が、日本語やイタリア語と比べればやっぱり重い。
文法は複雑で、名詞、代名詞、動詞、形容詞に、それぞれ格変化や活用などの語形変化がある。
たとえば名詞では、単数形と複数形にそれぞれ「主格」「属格」「与格」「対格」「造格」「前置格」という活用形があり、1個の名詞に合計で12とおりの変化形があることになる。
さらに名詞は「男性名詞」「女性名詞」「中性名詞」の3つに区分され、性別によって変化が異なり、さらに性別が同じでも語尾が異なる場合は活用形も異なるため、初学者にとっては名詞の活用はむちゃくちゃわけのわからんことになる。
「日本語の”てにをは”が単語の語尾にくっついているのと同じと見做せばよいのだ」という意見も一部にあるようではあるが……。