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朝倉軌道の編集履歴

2015-01-12 00:07:41 バージョン

朝倉軌道

あさくらきどう

かつて福岡県朝倉地方に存在した軌道事業・バス事業などを営んでいた会社。

概要

かつて存在した日本福岡県)の軌道バス事業者。


1908年に二日市から甘木(現在の西鉄甘木鉄道甘木駅とは違う場所)間を開業。その後子会社も含めた路線延伸を経て、1940年に全廃されるまで福岡県の朝倉郡一帯を中心とした軌道線路線網を経営した。


客車改造によるガソリンカーや自社製のガソリン機関車を投入していたことでも知られる。

朝倉軌道のガソリンカー達


これだけならありがちな昔の鉄軌道事業者である。

だが朝倉軌道は少し…いや、いろいろと違っていたのだ。


朝倉軌道の真髄「届け出なんか飾りです」

特筆すべきは通常の鉄軌道事業者なら遵守する、あるいは少々なりと気にする国や福岡県への届出をものすごい勢いで無視していたことである。


「入線できるはずのない車体幅の客車(これが在籍してる時点で既におかしい)をガソリンカーに改造すると届け出た」

「届出書には『ケヤキ材とか使って綺麗に作ったよ!』とか本来まるで関係の無い謳い文句がいっぱいあるけど、肝心のことは何処に書いてるか分からない」

「しかも届出書と図面で書いてることが違ってる」

「というか届出が許可されようがされまいが知らん顔で改造をやっちゃってた」

「届出では全部同じ形式になってるけど余ってるのを片端から改造したから実は全部別の形」

「さらに届出た改造を途中で勝手にやめて客車に戻したり補助金が出るからと代用燃料(木炭)駆動にするのも朝飯前」


…ノンフィクションである。


あまりのことに鉄道省がブチ切れ「とにかくいいからおまえんとこの現有車両全部書き出せ」と指示したところ、朝倉軌道は車両番号を記載した書類を出してきた。

…だが。

その書類には載っていない車両が実在していることが確認されていたりする。


この他にもガソリンカーの方向転換用の転車台(一方にのみ運転台がある単端式のため必要となる)の設置をめぐっても設置申請をしたら勝手に構内配線を変えていたことが発覚して「それじゃあ設置をやめるからいいよ!」と申請取り下げ、なのになぜか転車台の現物は実在が確認されているというめちゃくちゃな話もある。


もうやだこの会社。


さらにはガソリン機関車もビュイック(現・ゼネラルモータースの一部)製の自動車の部品を使ってデッチあげている。この行為自体は他にも例があるのだが、驚くべきは申請の際「中古部品の組み合わせで作ったから図面なんかないよ!」と平然と言い放ったのである。鉄道省と交渉するのが嫌だったのか、行き当たりばったりで作ったから本当に図面が存在しないのか、この会社だとどちらでもありそうな話である。が、鉄道省はその言い訳で申請を通してしまった。


もうやだこの国


ちなみにこの他「無届けで運賃半分」「無届けで休廃止」などの大技も披露している。

最後は鉄道省(国鉄)甘木線(現甘木鉄道甘木線)の開業を前に補償金を目一杯ふんだくって廃止しようとしたが、さすがにここでは鉄道省側が一矢を報い、最低限度の並行区間分のみを認めている。


ただし、朝倉軌道の名誉(?)のために記すと、運行期間中には大きな事故・トラブルは記録されておらず、また全期間を通じて無借金経営を続けていた。

地域住民には利益還元及び利便向上という観点ではまともな事業者だった、のかもしれない。


ただし、あくまで「当時としては大きな事故」。

非舗装の砂利道に敷かれた貧弱な線路ゆえ、脱線は日常茶飯事、片道数回以上がデフォルトだったと言われる。

路線廃止に伴って特別に沿線から存続の陳情が会社や自治体に出されたという話もなく、おそらく住民も「存在自体がギャグ」ということは薄々感づいていたのだろう。

ついでに言うと、確かに朝倉軌道本体は無借金経営だったが、経営難から事業の統合を図った両筑軌道の抱えていた借金はどうやってなくなったのかわからない分がある。

さらに経営統合後は朝倉軌道の支線として、運行上は朝倉軌道本線との直通まで含めて一体化したのだがこれまた無届である。


なお、バス事業は紆余曲折を経て西鉄バスに継承され、現在まで存続している路線もある。


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