1985年(昭和60年)7月11日に設立された第三セクターの鉄道会社。
第一次特定地方交通線として廃止が承認された日本国有鉄道(国鉄)甘木線を継承し運営している。略称は「甘鉄」。
国鉄やJRから転換された殆どの第三セクター路線が赤字経営に苦しむ中、単年度黒字を何度も達成し、赤字の年も僅かな額に抑える等の経営努力を行なっている事から「三セクの優等生」と呼ばれている。
以下は運営路線である「甘木線」について記載する。
路線データ
路線名 | 甘木線 |
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路線区間 | 基山〜甘木 |
路線距離 | 13.7km |
軌間 | 1,067mm |
駅数 | 11駅 |
信号場数 | 1箇所 |
非電化区間 | 全線 |
単線区間 | 全線 |
閉塞方式 | 特殊自動閉塞式(軌道回路検知式) |
保安装置 | ATS |
第一種鉄道事業者 | 甘木鉄道 |
概要
基山駅(佐賀県三養基郡基山町)と甘木駅(福岡県朝倉市)を結ぶ甘木鉄道の鉄道路線。第一次特定地方交通線に指定され廃止が承認されていた国鉄甘木線を転換した。
1939年(昭和14年)4月28日に陸軍太刀洗飛行場への輸送を目的に開業した。戦後は飛行場跡地にできたキリンビールの工場からの貨物輸送もあったが、当時の旅客輸送は一日7往復のみと非常に不便であった上に、西鉄バスや西鉄甘木線に旅客を奪われた。
第三セクター化後は運行本数を大幅に増やし(7往復→44往復)、西鉄大牟田線(現・天神大牟田線)に程近い筑後小郡駅を移転して天神・博多へのアクセスを飛躍的に向上させた。なお当路線と大分自動車道が立体交差する地点に、旧・筑後小郡駅のホームがポツンと残っている。
また大分自動車道との並走区間に位置する大板井駅は高速バスの大板井BS(高速小郡大板井)の最寄駅であり、乗換可能である旨が案内されている。
なお、甘木鉄道沿線から鉄道利用で博多駅や福岡空港に行く際には基山駅で鹿児島本線を、天神方面に行くなら小郡駅で西鉄天神大牟田線を利用すると楽。
また甘木駅から天神へ行くには西鉄甘木線経由が安いが、所用時間は甘木鉄道経由の方が速い。
但しいずれの目的地にも前述の大板井BSを経由する高速バスが競合路線として存在している。
沿革
- 1939年(昭和14年)4月28日:官制鉄道の甘木線として開業。筑後小郡駅(現・小郡駅)、筑後松崎駅(現・松崎駅)、西太刀洗駅、太刀洗駅、甘木駅開業。
- 1960年(昭和35年)11月1日:筑前高田駅(現・高田駅)開業。
- 1981年(昭和56年)9月18日:第一次特定地方交通線として廃止承認。
- 1984年(昭和59年)2月1日:太刀洗駅〜甘木駅間の貨物営業廃止。
- 1984年9月19日:貨物営業廃止。
- 1985年(昭和60年)7月11日:甘木鉄道(株)設立。
- 1986年(昭和61年)4月1日:国鉄甘木線廃止に伴い甘木鉄道が継承。筑後小郡駅を移転の上小郡駅に改称、筑後松崎駅を松崎駅に、筑前高田駅を高田駅に改称。
- 1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化による鉄道事業法施行に伴い、甘木鉄道が第一種鉄道事業者となる。
- 1987年11月1日:立野駅、大板井駅、山隈駅開業。
- 2002年(平成14年)12月1日:今隈駅開業。
- 2003年(平成15年)4月1日:大原信号場開設。
- 2006年(平成18年)7月4日:大雨による橋梁損傷の為大板井駅〜松崎駅間が不通となる。
- 2006年12月20日:全線運転再開。
運行形態
普通列車が全線を通しで運行し、区間列車は設定されていない。1両編成時はワンマン運転を行うが、2両編成時は車掌が乗務しツーマン運転を行う。
前述の通り国鉄時代は本数が少なかったが、2022年(令和4年)9月23日ダイヤ改正後は平日42往復、土休日34往復運行される。
ほぼ30〜40分間隔で運行されており、朝夕は最大毎時4本(一部は土休日運休)の列車が設定されている。その為国鉄・JRから転換された非電化の第三セクターの路線としてはかなりの高頻度で運行される。これは2003年に大原信号場が設置された事で、最短15分間隔での運行が可能になった為である。
駅一覧
※:転換後に設置された駅・信号場
使用車両
全て甘木検修庫所属。
現在の使用車両
現在運用中の気動車。AR400形は1編成のみ。
過去の使用車両
AR100形は転換時の車両。
AR200形は車両増備の為1編成だけ製造された。
関連タグ
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