概要
鉄道路線において、電化されていない路線のこと。電化が当たり前となっている中、需要の低さから電化しないほうが得策ということで非電化のままで維持する路線も少なからずある。
国鉄時代は気動車やディーゼル機関車の性能が芳しくなかったことから、中央本線中津川~塩尻間のように電化する例も存在した。
しかし、国鉄分割民営化直前に気動車の性能が向上したことから電化計画のあった高本線や宗谷本線は非電化のままとなった。
その後、最近まで非電化であった小浜線や加古川線のように沿線自治体の協力により電化が実現した路線も見られるようになった。
かつては蒸気機関車やディーゼル機関車けん引の客車列車が走っていたが、現在は気動車が使われる。将来は燃料電池車やハイブリッド車、電気式ディーゼルカーも仲間入りする予定。
非電化の理由
需要の低さから非電化の路線は多いが、それ以外にも理由が存在する。現在の日本では以下の例が挙げられる。
トンネルの狭さで電化できない
播但線の寺前駅~和田山駅間と土讃線の琴平駅から先や高徳線には小断面のトンネルが存在し、電化できない状態が続いている。
直流電化ができずに断念した例
関東鉄道常総線や鹿島臨海鉄道では気象庁地磁気観測所(@石岡市)の観測に影響を与えるため30km圏内は直流電化ができない。交流電化の場合は両社ともコストの面から断念している。
交直間のデッドセクションを設置できない
仙石東北ラインが該当。東北本線は交流電化だが、仙石線は直流電化である。しかしその2つをつなぐときに立地条件が悪くデッドセクションを設けられずに非電化で開業し、HB-E210系を運行させている。
費用対効果
一番大きな理由。「電化の廃止」も参照。
電化の廃止
一度電化されたら普通は撤去されない。しかし、閑散区間等の理由で電化設備を撤去した例も少なからず存在する。もともとの需要の低さからその後多くが廃線に至っている。
- 池田鉄道:1936年から1938年の廃止まで。
- 福塩線:府中駅と下川辺駅の間で電車が折り返せなかったため1962年に撤去され、現在に至る。
- 小坂鉄道小坂線:1962年の改軌から2009年の廃止まで。
- 玉野市営電気鉄道:1964年から1972年の廃止まで。
- 羽後交通雄勝線:1971年から1973年の廃止まで。
- 名鉄八百津線:1984年から2001年の廃止まで。
- 名鉄三河線:1985年から猿投駅と西中金駅の間を、1990年から碧南駅と吉良吉田駅の間を非電化とした。2004年に該当区間廃止。
- くりはら田園鉄道:1995年に栗原電鉄から移管されたときから2007年の廃止まで。
技術革新により非電化でも速度が出せるようになったため、架線撤去の動きは加速するとみられる(だが、結局の所需要や客層などの問題で電化で移行する路線も多い)。
JR西日本は自治体と協議を始めているほか、2022年の長崎新幹線開業時には並行在来線の一部の電化が撤去される予定である(YC1系は走らない模様)。
関連タグ
- 徳島県:ケーブルカー以外の鉄道が全線非電化の県。
- 宮崎県:1974年の日豊本線(~南宮崎駅)電化までずっと全線非電化であった県。
- 高知県:とさでん交通の路面電車はあるがJRと土佐くろしお鉄道の路線がすべて非電化の県。
- 鳥取県:1967年の日ノ丸自動車法勝寺電鉄線の廃止後1982年の伯備線/山陰本線(伯耆大山駅~米子駅間)電化まで電化路線が存在しなかった県。隣県ではJR以外に一畑電車も古くから電化されている。
- 京都府:関西本線月ケ瀬口駅~加茂駅間だけが非電化。
- 和歌山県:紀勢本線のJR東海区間(新宮駅から三重県との県境に当たる熊野川橋梁までの区間および紀州鉄道線全線が非電化。
- 福井県:越美北線のみ非電化。
- 埼玉県:八高線の高麗川駅~丹荘駅間のみ非電化。
- 群馬県:同じく八高線の倉賀野駅~群馬藤岡駅間とわたらせ渓谷鐵道わたらせ渓谷線桐生駅~沢入駅間が非電化。
- 栃木県:烏山線(全列車が蓄電池電車EV-E301系で運行)、わたらせ渓谷鐵道わたらせ渓谷線原向駅~間藤駅および真岡鐵道真岡線茂木駅~久下田駅間のみ非電化。
- 山梨県:小海線小淵沢駅~清里駅間のみ非電化。
JRの路線はすべて電化されている県
- 静岡県:非電化路線は天竜浜名湖鉄道天竜浜名湖線と大井川鐵道井川線(アプト区間のアプトいちしろ駅~長島ダム駅間を除く)のみ。
- 愛知県:2015年3月1日の武豊線電化以降は東海交通事業城北線のみ非電化。
- 滋賀県:信楽高原鐵道は非電化。
- 石川県:JR/IRいしかわ鉄道の旅客鉄道路線は全線電化。のと鉄道七尾線のみ非電化。
旅客路線がすべて電化されている県