概要
日本国有鉄道(国鉄)の第三次特定地方交通線に指定された中村線を継承する為に1986年(昭和61年)5月8日に設立された第三セクターの鉄道会社で株式会社。
本社所在地は中村線・宿毛線中村駅、登記上の本店所在地は高知県庁内。
1988年(昭和63年)4月1日に四国旅客鉄道(JR四国)から転換された中村線をはじめ、日本鉄道建設公団の未成線の一部を引き継いだ宿毛線、阿佐線(ごめん・なはり線)を運営している。
沿革
- 1986年(昭和61年)5月8日:土佐くろしお鉄道(株)設立。
- 1986年12月18日:運輸省(現・国土交通省)四国運輸局に宿毛線宿毛駅〜中村駅間の地方鉄道免許申請。
- 1987年(昭和63年)2月5日:運輸省四国運輸局が宿毛線の地方鉄道免許を認可。
- 1987年12月3日:運輸省四国運輸局に中村線窪川駅〜中村駅間の第一種鉄道事業の許可を申請。
- 1987年12月18日:運輸省四国運輸局に阿佐線後免駅〜奈半利駅間の第一種鉄道事業の許可を申請及び、四国運輸局が中村線の第一種鉄道事業を認可。
- 1988年(昭和63年)1月28日:運輸省四国運輸局が阿佐線の第一種鉄道事業を認可。
- 1988年4月1日:中村線におけるJR四国の第一種鉄道事業廃止。土佐くろしお鉄道に転換。
- 1997年(平成9年)10月1日:宿毛線開業。
- 1998年(平成10年)6月11日:中村線西大方駅〜古津賀駅間で列車衝突事故発生。
- 2002年(平成14年)7月1日:阿佐線開業及びごめん・なはり線の愛称使用開始。
- 2005年(平成17年)3月2日:宿毛線宿毛駅構内で特急列車が駅舎に衝突し脱線する事故が発生。
- 2006年(平成18年)3月1日:全線で駅ナンバリング導入。
- 2015年(平成27年)9月26日:中村線・宿毛線で四万十くろしおラインの愛称使用開始。
保有路線
いずれも土佐くろしお鉄道が第一種鉄道事業者として運営し、JR四国土讃線と直通運転を行なっている。
路線毎の詳細は各項目を参照されたし。
- 中村線(四万十くろしおライン)
窪川駅〜中村駅。JR四国中村線から転換。
- 宿毛線(四万十くろしおライン)
宿毛駅〜中村駅。未成線の宿毛線の一部を継承。
運行系統上は中村駅から宿毛駅方面が下り。
- 阿佐線(ごめん・なはり線)
後免駅〜奈半利駅。未成線の阿佐線の一部を継承。
保有車両
四万十くろしおラインの車両は中村車両基地、ごめん・なはり線の車両は安芸車両基地に所属し、使用車両は異なる。
四万十くろしおラインの特急型車両はJR四国と共通設計。
詳細は各路線の項を参照されたし。
事故・インシデント
ここでは概要について記載する。詳細は中村線・宿毛線の項を参照されたし。
土佐くろしお鉄道では開業以来二件の有責事故を発生させている。このうち宿毛線の事故は初の死亡事故である。事故発生の翌月に兵庫県で発生した大事故のインパクトがあまりにも強かった為影が薄くなりがちだが、この年のクリスマスに発生した羽越本線脱線事故と併せて鉄道の安全神話を大きく翳らせる事となった。
- 中村線列車衝突事故
1998年(平成10年)6月11日発生。現場は中村線西大方駅〜古津賀駅間。窪川発宿毛行下り普通列車(TKT-8000形)がエンジントラブルにより停止。救援列車(同形式)が故障列車の停止位置を知らされていなかった為非常ブレーキで停止しきれずに衝突した。
故障列車、救援列車、通告者等の不手際が重なって発生した事故。これ以降土佐くろしお鉄道は事故発生日を「土佐くろしお鉄道 事故防止の日」に制定し、訓練を実施している。
- 宿毛駅列車脱線事故
2005年(平成17年)3月2日発生。現場は宿毛線宿毛駅。岡山発宿毛行下り特急「南風17号」(JR四国2000系)が東宿毛駅通過後、減速しないまま宿毛駅構内に進入。車止めを超えて同駅の駅舎を破壊し、エレベーターと衝突して停止した。
当時のニュースでは2000系気動車が駅舎の壁を突き破り、破損した車体が外にはみ出した状態で停止している現実離れした光景が流されていた。
この事故で運転士が死亡し、車掌及び乗客が重軽傷を負った。また事故車両の先頭車から燃料が漏れて車両火災が発生。宿毛駅は高架駅の為エレベーターと階段が破壊され救助活動が難航し、約8ヶ月間営業不能になった。
土佐くろしお鉄道では事故発生日を「土佐くろしお鉄道 安全の日」に制定し、中村線の事故発生日同様訓練を実施している。
なお、この事故の1ヶ月半後の4月25日、兵庫県尼崎市のJR西日本福知山線(JR宝塚線)塚口駅〜尼崎駅間でJR史上最悪と言われるJR福知山線脱線事故が発生した。
短期間で相次いで、しかもどちらも速度超過が原因の大事故が発生した事から、鉄道への信頼が大きく揺るがされる事となった。