曖昧さ回避
路線データ
路線名 | 宿毛線 |
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路線区間 | 宿毛〜中村 |
路線愛称 | 四万十くろしおライン |
路線記号 | TK |
路線距離 | 23.6km |
軌間 | 1,067mm |
駅数 | 8駅 |
非電化区間 | 全線 |
単線区間 | 全線 |
最高速度 | 120km/h |
閉塞方式 | 単線自動閉塞式 |
保安装置 | ATS-SS |
運転指令所 | 中村駅制御所(CTC) |
第一種鉄道事業者 | 土佐くろしお鉄道 |
概要
宿毛駅(高知県宿毛市)と中村駅(四万十市)を結ぶ土佐くろしお鉄道の鉄道路線。国鉄未成線で宇和島駅(愛媛県宇和島市)と中村駅を結ぶ予定だった宿毛線の一部を土佐くろしお鉄道が引き継いで建設し、1997年(平成9年)10月1日に開業した。この為起点は宿毛駅だが、上下線は運行形態に合わせて中村駅から宿毛駅方面が下りとされている。
中村駅で接続する中村線と一体化されており、四万十くろしおラインの愛称が両線に付けられている。
JR四国と共に2006年(平成18年)3月1日から駅ナンバリングを導入している。路線記号はTK。番号はJR四国土讃線高知駅からの連番となっている。
開業時からJR直通特急が運行されている為、中村駅と宿毛駅にはみどりの窓口が設置されている(中村駅は国鉄時代から)。この為両駅は全国的に数少ないみどりの窓口があるJR以外の駅となっている。
車両基地
中村駅構内に中村車両基地があり、自社車両は全て同所に所属している。
直通運転
以下の区間で直通運転を行う。
- 自社線
・中村線:中村駅〜窪川駅
- JR四国
・土讃線:窪川駅〜多度津駅※1
かつては以下の区間でも直通運転を行なっていた。
- JR四国
- JR西日本
・本四備讃線(瀬戸大橋線):児島駅〜茶屋町駅※3
・宇野線(瀬戸大橋線):茶屋町駅〜岡山駅※3
※1:特急のみ。高知駅〜多度津駅間は特急「しまんと」のみ。
※2:特急「しまんと」のみ。
※3:特急「南風」のみ
宿毛駅構内衝突事故
航空・鉄道事故調査委員会による正式名称は「土佐くろしお鉄道宿毛線宿毛駅構内列車脱線事故」。2005年(平成17年)3月2日20時41分頃に発生。
岡山発宿毛行下り第47D列車(特急南風17号。JR四国2000系気動車)が東宿毛駅を通過後、速度を緩めないまま大幅に速度超過した状態で終点の宿毛駅構内に進入。そのまま車止めを超え、駅舎を破壊しエレベーターと衝突して停止した。
この事故で運転士が死亡、車掌及び乗客10名が重軽傷を負った。
当該運転士は勤務前日までインフルエンザの為欠勤していたが、当日は異常がなかったとされている。但し本人は即死している為、運転中に何らかの異常が発生したのかどうかは不明のままである。
また土佐くろしお鉄道では保安装置としてJR四国と同様にATS-SSを導入しており、事故発生時も正常に作動していた事は認められているが、あくまで運転士が既定速度まで減速する事で車止めよりも手前で緊急停止できる設定で、列車の走行速度に対応しきれていない事が判明。また事故調査委員会により設置位置も含めたATSの設定そのものに問題がある事が指摘され、土佐くろしお鉄道及びJR四国はATSの設定を大幅に見直す事となった。
当該列車は気動車であり、衝突時に先頭車両で火災が発生し、駅舎に車両の燃料が漏れ出した為救出作業が難航した。
宿毛駅は高架駅であり、実際救出活動にあたった土佐くろしお鉄道社員は階段及びエレベーターが使用できなかった為電柱をよじ登ってホームに上がっている。また運転士の遺体は外から目視できる位置にあったものの、車両火災が発生していた為消火活動が先に行われ、搬出までに3日かかっている。
この事故の影響で宿毛線列車は駅舎復旧まで東宿毛駅〜宿毛駅間は回送として運行し、同区間ではバスによる代行輸送が行われた。特急列車は東宿毛駅に臨時停車していた。
土佐くろしお鉄道では事故発生日を「土佐くろしお鉄道 安全の日」と定め、中村線で発生した衝突事故発生日と同様に訓練を行なっている。
なお、この事故の発生からわずか1ヶ月半後の4月25日にJR史上最悪の事故と呼ばれるJR福知山線脱線事故が発生。鉄道の大事故が短期間で相次いで発生した事から、鉄道への信頼を大きく揺るがす事となった。
沿革
- 1974年(昭和49年)2月1日:日本鉄道建設公団によって宿毛駅〜中村駅間着工。
- 1981年(昭和56年)10月:工事凍結。
- 1986年(昭和61年)12月18日:土佐くろしお鉄道が運輸省(現・国土交通省)四国運輸局に宿毛線の地方鉄道業免許を申請。
- 1987年(昭和62年)2月5日:土佐くろしお鉄道の宿毛線区間における地方鉄道業免許が認可される。
- 1987年3月12日:宿毛線建設工事再開。
- 1997年10月1日:土佐くろしお鉄道の路線として宿毛線開業。宿毛駅、東宿毛駅、平田駅、工業団地駅、有岡駅、国見駅、具同駅開業。特急「南風」「しまんと」「あしずり」の乗り入れ開始。
- 2003年(平成15年)10月1日:特急「あしずり」の乗り入れ終了。
- 2005年(平成17年)3月2日:宿毛駅構内で衝突事故発生。全線不通となる。
- 2005年4月7日:中村駅〜東宿毛駅間で普通列車のみ運転再開。東宿毛駅〜宿毛駅間は回送で運行。
- 2005年6月13日:特急列車の運転再開。東宿毛駅は臨時停車扱い。東宿毛駅〜宿毛駅間は回送。
- 2005年11月1日:宿毛駅復旧に伴い全線運転再開。特急の東宿毛駅への臨時停車終了。
- 2006年(平成18年)3月1日:駅ナンバリング導入。
- 2011年(平成23年)3月12日:特急「あしずり」の乗り入れ再開。
- 2012年(平成24年)3月17日:特急「しまんと」の乗り入れ終了。
- 2015年(平成27年)9月26日:路線愛称が「四万十くろしおライン」に決定。
- 2019年(平成31年)3月16日:特急「南風」の乗り入れ終了。特急「しまんと」の乗り入れ再開。
- 2022年(令和4年)3月12日:特急「しまんと」の乗り入れ終了。
- 2024年(令和6年)3月16日:特急「しまんと」の乗り入れ再開。
運行形態
特急「あしずり」「しまんと」と普通列車が運行されている。
特急
土讃線高知駅発着の「あしずり」1往復(朝の上り「6号」と夕方の下り「7号」)と、夜に上りのみ運行される宿毛発高松行「しまんと8号」の計1.5往復が運行される。
かつては瀬戸大橋線岡山駅発着の「南風」も設定されていた。
普通
13往復運行され、日中は予々2時間に1本程度設定されている。
線内運用がメインだが、下り4本・上り5本は中村線窪川駅発着で設定されている。
早朝と夜間の一部列車を除き中村駅で中村線列車と接続する。上りの直通列車の一部は中村駅で始発の特急「あしずり」に接続し、特急発車後に中村駅を出発する。
駅一覧
起点は宿毛駅だが、便宜上駅番号順に記載。
●:停車 レ:通過
使用車両
現在の使用車両
自社車両
全て中村車両基地所属。
特急型気動車。「あしずり」で使用している他、過去には宿毛始発の「しまんと」でも使用された。
JR四国車と共通運用で、保守管理を同社高知運転所に委託している為、中村車両基地ではなく高知運転所に常駐している。
普通列車用気動車。5編成が開業時から使用され、2編成が宿毛線開業時に、1編成が1999年(平成11年)に増備されている。
JR四国所属
高知運転所所属の特急型気動車。土佐くろしお鉄道が同形式を保有していた頃は共通運用だった。
「あしずり」で運用する。2700系登場前は「南風」「しまんと」でも運用されていた。
- 2700系
高知運転所・高松運転所所属の特急型気動車。土佐くろしお鉄道車と共通運用で、「あしずり」として運用されている他、「南風」「しまんと」の宿毛線直通運用でも使用された。
JR西日本所属
吹田総合車両所京都支所所属・下関総合車両所新山口支所常駐の事業用気動車(検測車)。
検測の為に稀に中村線・宿毛線に乗り入れる。
過去の使用車両
自社車両
- 2000系30番台
中村車両基地所属・JR四国高知運転所常駐の特急型気動車。
JR車と共通運用で「南風」「あしずり」「しまんと」で運用されていた。一部はJR車同様「アンパンマン列車」として運行された。
JR四国所属
特急形気動車。
特急「南風」「しまんと」「あしずり」で運用されていたが、松山運転所への転属により運用を離脱した。
高松運転所所属の特急形気動車。
特急「南風」「しまんと」「あしずり」として運用されていたが、松山運転所へ転属した為運用を離脱した。