概要
平和とお気楽という文字が超と付くほどのフロニャルドにおいて、その裏に確かに存在する脅威。
一般的にフロニャルドに生息する動物や土地神などの精霊が何らかの原因によって変異し、凶暴化したもの。
本来大人しい存在であるそれらが突如として暴れ出し、人々に確かな実害を与える。
フロニャ力が弱い地域によく出現し、自身にもフロニャ力の加護を受けない為に倒された際にも「けものだま化」することがない。
強力な個体であればその存在自体が周囲のフロニャ力の効果を打ち消してしまう場合もある。
実害の程度は女性の洋服泥棒などのしょうもない程度のものもあれば、時には土地神すらも殺し国一つ滅ぼすほどの災厄レベルのものまで様々。
対処方法も弱い魔物であれば普通に戦って大人しくできるが、あまりに凶悪な場合はユキカゼ達魔物狩りを本職とする者が『封印刀』と呼ばれるイスカが作った特殊な刀剣を使いその中に封印する。
戦興行というものも本来はこういった脅威に対しての自衛手段の訓練も兼ねており、魔物への戦意を失わないようにすることが目的でもあると1期11話で明かされた。
第2期7話での魔王ヴァレリーの台詞によれば、魔物化というものは土地神達の病気と喩えられ、正しい治療を行えば必ず治ると考えられている。
封印刀で封じた魔物は『封印洞窟』というフロニャ力の高い聖地のような場所に安置し、長い年月を重ねることで少しずつ浄化され元の土地神に戻そうと試みていた。
そして実際に過去に封じた魔物の一匹は邪悪性がかなり薄れ、フロニャ力の加護を受けけものだま化するほど元の精霊としての特性を取り戻していた(それでもあくまでまだ「半精霊」という段階らしいが)。
第3期4話ではヴァレリーの姉である古代パスティヤージュ女王がこの時間をかけた浄化方法に頼らず一瞬で精霊にまで戻す離れ業をやっていたらしいと明かされた。
病と妖刀
魔物の発生には大きく分けて上記の土地神や動物が病気のように突如変異し自然出現するものと、
『禍太刀(まがたち)』という不気味な刀が突き刺さることで魔物に変貌するものがある(作中描写から見て、禍太刀が関わった魔物のほうがより凶悪なものになると思われる)。
この禍太刀についてはまだ詳細な情報が無く依然不明な点が多くあり、何処から現れるのかや全部で何本あるのか…誰かに作られた人工物なのかどうかさえ不明。
作中においても通常の魔物と比べてさらに世界観から隔離した本当の危険物とされている。
しかし、第3期においては禍太刀が関わっていても下級から中級程度の魔物も登場し、禍太刀自体もかなり小型の短剣状の物だったりと、禍太刀にも個体差や影響の差異もあると思われる。
作中に登場した魔物、及び魔物ではないが騒動を起こした土地神や精霊
追剥ぎウサギ
1匹のボスを筆頭に無数の手下を連れて群れを成し、ボスの好むものを手下が奪い集める。
アニメ第2期5話にて登場。この時は江戸風の町「アヤセ」で女性や子供の着物を集めていた。
手下は着物を着た少女に化けることが出来、人の言葉も話していた。ボスが話せるかは不明。
魔物としては下級のものらしく、通常の戦闘によって十分に撃退が可能。
ガウルからは「あの程度なら野生動物とほとんど変わらない」と言われていた。
一応魔物であるため倒されてもけものだま化はしない。
後述する猫神様とボスが仲が良く、現在では人の住む場から離れた山奥で仲良く暮らしている。
吸い取りネズミ
2期7話に登場。かつて英雄王アデルたちに倒され封印洞窟に封じられていたネズミの魔物。
封印NO.3とかなり初期に封じられており、それゆえに封印刀も年月でかなり傷んでいた。
それにアデルがうっかり触れて壊してしまったことで復活したのだが、封印による浄化が進み更に力が細分化したのか大量の子ネズミとして現れた(因みにこの状態では攻撃すればけものだま化するなど、フロニャ力の加護を受けられるほど浄化が進んでいる事が証明された)。
まだあくまで「半精霊」という状態の為に食性や習性が分からないため再封印しようとした所、集団で相手を取り囲み生命エネルギーを吸い取ることで相手の体を幼児化させた。
イスカを除く勇者パーティや増援に来たユキカゼやジェノワーズたちさえも幼児化させ、奪ったエネルギーを基に一ヶ所に集合し合体・1匹の巨大で多足のネズミの姿となる(恐らくこれが魔物だった頃の本来の姿と思われる)。
最後は英雄結晶によって青年の姿に成長したシンクとガウルによって退治され再封印された。
猫神
2期8話に登場。土地神の子供。
尻尾が2本の猫の少女の姿をしているがまだ人の言葉を喋れず知能も低い。
追剥ぎウサギのボスと仲が良かったが突如いなくなってしまう。
追剥ぎウサギたちが人里に現れるようになったのは実は彼女を捜すためだった。
宝石類が大好きでいなくなった理由も宝石を探すため。ボスにもプレゼントしようと考えていた。
パスティヤージュに現れ宝石店を襲い商品を強奪し、さらにはミルヒの持つ指輪状態の宝剣までも
奪おうとするが、レベッカに妨害され、さらに駆け付けたシンクとエクレの攻撃によってけものだま化した。
他者の体を操る能力を持っており、これで相手の動きを封じたりミルヒに自分で指輪を外させようとした。
さらにこの能力のお蔭でエクレとシンクが互いのファーストキスを奪うことになった。
最後は追剥ぎウサギたちのいる山奥に帰されボスと仲良く暮らしている。
イレカエコダマ
2期11話に登場。小さくて白い毛玉上の精霊。
宝石のような卵の状態でアデルが所持していたもので、後で山奥に放そうと思っていたが戦興行のお祭り騒ぎに夢中になってしまった為風月庵に置き忘れてしまう。
自分の近くにいる者の中身を入れ替える力を持ち、偶然卵を見つけたミルヒたちが被害を受ける。
元々の体にミルヒ、自身はシンクの体に入り逃亡。スペックの高いシンクの体ではしゃぎ回っていた。
ユキカゼの体のシンクと、ミルヒの体のユキカゼの連携によって倒され元々の体に戻り、札で動きを封じられてアデルに回収された。
キリサキゴホウ
1期9・10話に登場。アニメ1期における実質的なラスボス。
大昔にビスコッティの宝剣の使い手によって空に封じられたかなり巨大な獣の魔物であり、
ミルヒの持ってきた宝剣の力に反応して復活してしまった。
複数の尻尾と巨大な頭・先端に刃の付いた無数の触手を操り、尾や触手・更に輝力らしき力で巨大な刀を生み出した攻撃により圧倒的な破壊を周囲に齎した。
存在そのものが周囲のフロニャ力の加護を打ち消してしまい触手の刃の攻撃でミルヒをエクセリードごと叩き斬って瀕死の重傷を与えた後そのまま取り込み消化しようとしただけでなく、激昂したレオンミシェリの攻撃にもものともせず尾の一撃で彼女を気絶させる。
正体はまだ幼い子狐の土地神。突如暗雲から飛来した禍太刀が突き刺さり、その呪いにより巨大な魔物へと変貌していた。
自分の母親すら食い殺して取り込んだが意識は消えておらず、自分でもどうする事も出来ないまま取り込んだ母親の魂と共に延々と苦しんでいた。
最後はミルヒとシンクによって体から禍太刀を引き抜くことで元に戻り救われる。
その後ユキカゼの保護の元、傷を癒したのちに故郷の山へと無事に帰って行った。
竜喰い
第3期3話にて登場。フロニャルドの大陸の自然そのものを司る『神竜』という存在が棲む竜の森に現れた寄生型の魔物。
土地に寄生する事で大地やその地に住む動物たちを取り込みエネルギーを吸収し肥大化していく性質を持ち、取り込んだ動物たちも魔物化させ自身の分身として更に他の動物を襲わせることで浸蝕を広げる。自然概念である神竜たちが寄生され操られた場合大陸全土で大災害が起こる可能性があり、危険性を察したアデルとヴァレリーの要請によりビスコッティ、ガレット、パスティヤージュの三国が連合軍を結成し、かつて無い大規模な魔物討伐戦となった。
外見は巨大なセミの幼虫のような昆虫からキノコと大量の蔓が生えており、恐らくモチーフは冬虫夏草。
大量の魔物化させた動物たちと、森中に張り巡らせた自らの触手と蔓で襲い掛かり連合軍とシンク達を苦しめるが、最後は結晶によるパワーアップを果たした勇者3人の連携に翻弄され、露出したコア部分をシャルの放った矢に撃ち抜かれたことで倒された。
ムニムニ
3期4話にて登場。相手の着ているものだけ溶かすスライムと言うその手のお約束を地でいく魔物。
元々はヴァレリーに飼育されていた下級の魔物で、ヴァレリーの魔王時代のダンジョンの入り口に配備されやってきた侵入者の装備を全部溶かして追い返す番犬替わりに使われていた。
現在では既に使い道がないので封印箱に入れられ封じられていたが、イタズラに使おうとこっそり復活させて再び飼育していた所を逃亡される。
戦闘力自体は低く基本的に人体に危害を加えることは無いが、短時間で大量に自己増殖する性質を持ち城にいた女性たちに片っ端から襲い掛かっては裸にひん剥いていた。
数にモノを言わせてアデルやナナミたちまで脱がして遂には津波の様に溢れ出て城の外にまで出ようとしたが、結晶を使用したナナミとレベッカ、そしてアデルの英雄結晶の力を一時的に与えられパワーアップしたクーベルによって一掃され、元の無害な精霊に浄化された。
蛙神(かわずがみ)
3期5話にて登場。フロニャルドにおける晶術機械に使用する結晶の採掘場周辺を守護していた蛙の土地神が禍太刀によって魔物化したもの。
周囲の結晶を食い荒らすことで結晶のエネルギーを取り込みゆっくりと肥大化していき、同じく採掘場周辺に生息していた精霊である『モリビト』達の姫すら呑み込んでいた。
背中から結晶の背びれを生やした巨大な蛙と言う外見だが、愚鈍そうな見た目とは裏腹に口から発する超音波の鳴き声や蛙特有の跳躍力、口から吐き出す粘性の高い粘液など能力は多彩。
そして何故か野球の投球が得意で周囲の結晶の塊や自身の粘液をボール代わりに投げつけシンクやミルヒたちを次々返り討ちにしていた。
シンクを舌で捕らえ呑み込んでしまうが、体内からシンクが暴れ回ったことで思わず吐き出し、先に呑み込んでいたモリビトの姫も一緒に救出され、最後はシンクによって倒され禍太刀も引き抜かれた。
禍太刀(まがたち)
子狐を突き刺した禍々しい不気味な紅い刀。1期の騒動における全ての元凶。
作中で妖刀と言われるとおり形状は日本刀に近いが刀身にはノコギリの様な無数の反し刃があり、刀身は血の様に真っ赤に染まっている。
子狐から引き抜かれた後も自我があるかのように刀身が触手の様に変化しシンクを取り込もうとしたが、寸前でレオンミシェリの放った矢によって柄の部分を撃ち抜かれ引き離される。
その後刀身となった後もよりおぞましい姿となって呻き声と共にのた打ち回るが、ユキカゼとダルキアンの奥義によって倒され510本目の禍太刀として封印刀の中に封じられた。
3期にて登場した際は前述の紅い太刀ではなく小振りな短剣程度の大きさで
見た目の禍々しさもそれほど毒々しいものではなく、変貌した土地神も決して弱いものではなかったが、
キリサキゴホウのような人間を死に至らしめるような攻撃もしてこなかった。(シンクを呑み込んで消化しようとはしたが)
この事から、禍太刀全てが災厄レベルの魔物を生み出すという訳ではなく、禍太刀自体にも形状の種類やそれによる個体差があると推測される。