『俺は戦う。なぜなら俺は救世主だから』
概要
CV:島﨑信長
本作の主人公の少年。第1話では剣嵜荘厳の生み出したM.J.B.K(モジバケ)とともに剣嵜総のベクター零号機と創声合体した状態のベクター貮号機を操縦して登場した月銀舞亜の前にベクター壹号機で突如立ちはだかり、彼女と強制的に創声合体し、彼女にかつてない快感を味わわせM.J.B.Kを撃退する。この一件を機に正式にDEAVAのメンバーとなる。
書道の心得があり非常に達筆。それを活かした水墨画もなかなかの腕前である。筆にも並々ならぬこだわりがあり、それを探すためにわざわざSHIROBACOの勤務を休むほど。
自称『救世主』の何とも痛い人だが、ただのビッグマウスでもなければアホの子でもなく、本作の敵であるM.J.B.K(モジバケ)と戦うためのマシンであるベクターの操縦に必須の能力である創声力はずば抜けて高く、まったく訓練も受けていない状況でベクターを巧みに操縦してしまった。ベクターの操縦以外でも、自分の真横を猛スピードで駆け抜けるひったくりのスクーターの鍵を外したり(無理矢理引っこ抜いたのではなくちゃんと鍵を回しエンジンを止めた上で抜いている)、手錠をかけられた状況で警備員を組み伏せ、あまつさえ手錠をあっさり外してしまう(その際ゴキゴキと音をさせていたので、おそらく警備員から鍵を奪って外したのではなく関節を外して抜いている)など白兵戦も強く器用である。
当初は上記の通り完全無欠のヒーローらしさを見せていたが、世界の平和を脅かす「炎」のM.J.B.Kや「離」のM.J.B.Kと戦う中で、徐々に「救世主」であることへの執念が見え始める。
荘厳を撃破した後は創声部で平穏な日常を送っていたが、突如現れた総がアクエリオン傷で圧倒的な力を見せつけると、総に対する強い敵意を露にし始める。
その敵意はとどまるところを知らず、遂には「敵」のM.J.B.Kを覚醒させ、さらに総やその姿を借りたロゴスの石碑から「お前は救世主であり続けるために世界の脅威を求めている」と断言されるまでになる。
その執念をロゴスの石碑に利用され、ベクター餓号機を時空を超えて召喚。貳号機との無理やりの合体を経て、「アクエリオンの姿をしたM.J.B.K」として暴れ回るが、舞亜の体を張った説得により正気を取り戻し、必殺の「無限救世拳(おわりなききゅうせいのこぶし)」で敵のM.J.B.Kを撃破した。
前述の総の襲撃でベクター壹号機が破壊されたため、その後は何事もなかったかのように餓号機をその代わりとして使用する。
だが神話の力を持つ餓号機を使うにはやはりそれ相応の代償が必要だったようで、存在が消滅しかかっている。ネスタ曰く「彼はもうすぐ死ぬ」。
そしてその症状に気がついているのは陽自身を除けば舞亜だけである。
挫折、そして・・・(ネタバレ注意)
(以下の内容には重要なネタバレが含まれています。問題ない方のみスクロールしてご覧ください)
陽は消滅に向かおうとしていながらも、なお世界のために戦おうとする。その姿は舞亜を追い詰め、彼が死ぬことを恐れた舞亜は何と戦闘中に合体を解除、総の下へ向かう。
一見すると裏切りにしか見えない行為だが、その真意は総とネスタの傍に身を置くことで彼女の本来の力を発揮しネスタの計略を妨害、そしてネスタごと陽に討たれることで戦いを終わらせ、陽を餓号機から降ろすためだった。
彼女の「お前は救世主なんだろう!?」の言葉通り、舞亜の犠牲に目をつぶればネスタの脅威から世界を救えるという局面だったが、何と陽はここで舞亜を攻撃しない道を選ぶ。
舞亜との思い出は陽にとってあまりに大きく、重く、彼女を失いたくないという想いが救世主としての在り方を上回ってしまったのだ。
「俺は救世主になれない」という絶望が陽を襲う。
そんな失意の底の陽を土聞努虫が叱咤する……かに見えたが、その努虫もまた限界を超えた戦いで力尽き、命を失ってしまう。
誰も陽の絶望を止められなくなり、いっそう存在消滅に近づいた陽は誰にも認識されずに町を彷徨う。
だが、育ての親たちに発見され、彼らに諭される中自分の原点を見つめなおし、さらに子供たちを助けるために創声力を込めた歌声を響かせる綺声神心音の歌を聴いたことで、陽は心音たちを助けるため走り出す。
無我夢中で心音たちを助けようとする中で、陽は「救う」こととは何か、そして自分は「救える」ということを思い出した。
心音のフォローもあり再起した陽は、甚大な被害をもたらす「電」のM.J.B.Kを討つため出撃する。
この段階でもまだ、救世主としての自分を信じきれない陽だったが、M.J.B.Kとの戦闘中に、「電」の文字で起動したマシンで記憶を蘇らせている舞亜とのシンクロを果たす。
シンクロ状態を通じて、陽が蘇らせた記憶――それは月夜の晩に幼い舞亜を救った少年は総ではなく、幼少期の自分自身だったというものだった。
「お前が世界を終わらせる」という呪いのような言葉に苦しんでいた舞亜を助けるべく、幼い日の陽は「お前が世界を終わらせるなら、俺が救う」という誓いを立てていた。
荘厳の記憶操作で、舞亜を救った少年は総だったことにされ、陽の記憶の中から舞亜の存在は消えたが、それでも彼女に対して立てた誓いだけは陽の中に残り続けた。
本編中で何度も、しつこいほどに「救世主」を自称していたのはこのためだったのだ。
すべてを思い出した陽は、今度こそ「救世主」として覚醒。
ベクター5体合体による決戦形態「アクエリオン天(ディーバ)」を誕生させ、「電」のM.J.B.Kを撃破した。
なお、この記憶のシンクロにより陽の出自も明らかになった。
陽は元々、総のスペアとして用意された身寄りのない(そして恐らく、創声力を持つ)子供たちの1人に過ぎなかった。
だが前述の事件が起こったことにより、荘厳に余分な記憶をすべて消去される。
そして現在住んでいる、書家夫妻の家に預けられたのだった。
陽が預けられたとき、義父である灰吹興之助は「救世主にならなきゃ」と苦しむ陽に対し、「男が夢を語るときに涙を流すな、声に出せ。『いつかなる』ではなく『救世主なのだ』と言い聞かせろ、自分にも他者にも」と諭していた。
これが現在の陽の救世主発言の発端であった。現在の陽の性格は、舞亜と興之助の2人との出会いにより形成されたといえる。
性格
「自分は救世主でありそのために戦う」という決してぶれない意思を持ち、それに基づき率直な物言いをする性分で、荘厳の教えにとらわれ自分の考えを持たない舞亜や母親の夢を自分の夢と思い込んでいた海凪花嵐、そして努虫に腹の内を見透かされながらも本音を口に出さない空篠翼人に対しては、
『お前の声にはお前の意思がない。自分の意思がないなら人形と同じだ』
『偽物の笑顔と声じゃ何も救えない。お前俺の邪魔する気?』
『自分を繕う者には、誰もついてこない』
という感じで歯に衣着せない辛らつで的を射た批判をするなど頭の回転が速く弁も立つ。
その一方で、自らの強い意思を自身の言葉で率直に表現した心音や努虫に対しては肯定的な評価を示し、特に声を上手く発することが出来ずに悩んでいた心音に対しては、
「お前の声がこの場所に、世界を救える場所に導いた。お前の声があったから俺はここにいる」
と感謝の意を示すなど、思いやりを見せる一面もある。そのため彼女からはほとんど恋心の域に達した好意を寄せられているが、今のところそれに気付いているかは定かではない。
「恋」のM.J.B.Kの影響で
「陽くんと合体したい」
と叫んだ心音に対して
「三人一緒で何が悪い」
と言い放ち、舞亜を交えた3体合体をかます辺り、気付いているか否かにかかわらず相当の朴念仁であることは想像に難くないが。
とはいえ、異性への興味がまったくない訳ではないらしく、5話では努虫からかけられたホモ疑惑を明確に否定しているし、同話で繰り広げられた水着談義では水墨画という彼らしい方法で好みを主張していた。ちなみにビキニ派らしい。
日常においても戦闘においても、綿密な計画や作戦を立ててその通りに行うよりもその場のひらめきや咄嗟の機転、果ては気合による勢いに基づいて行動する。例えば、七夕祭りのオブジェクト作りを始めれば余計なコンセプトを思いつき設計図にない小道具を勝手に作成し、演劇を行えば台本にない役を勝手に提案しアドリブ全開で演技するという具合である。そのため計画や作戦の立案を積極的に行う翼人からはあまり良い顔をされないが、結果的にはそれが状況を好転させることが多い。
基本的に他人を等しく「救う対象」だと思っているらしく、特別な感情を抱くことは稀。
だが「敵」として強く意識した総や、救世主としての使命に関係なく「助けたいと思った」舞亜の2人はどうやら例外であるらしいことがわかってきた。
舞亜とはM.J.B.K空間の中のみならず現実でも恋人のような振る舞い(手を繋ぎ抱き寄せる)をするなど、事実上の恋人同士になりつつある。
乗機
ベクター壹号機:真紅の戦闘機。多目的型の機体。第1話の描写からして本来は心音の乗機であった可能性が高い。
アクエリオン煌:ベクター壹号機が上半身、ベクター貮号機が下半身を構成する合体形態。
数あるアクエリオンの中でも最も安定した形態であり、シリーズ伝統の無限拳を撃ち放った。
アクエリオン凛:ベクター陸号機が上半身、ベクター壹号機が下半身を構成する合体形態。
優雅なバレリーナを思わせる合体形態で、ダンスを踊るようにM.J.B.Kを翻弄する。
アクエリオン聖:ベクター壹号機が上半身、ベクター参号機が下半身を構成する合体形態。
ウサギのような特徴的なシルエットを持ち、耳はアクティブソナーとして機能する。
アクエリオン罪:ベクター貮号機が上半身、ベクター壹号機が下半身を構成する合体形態。
両手に装備する扇祇(オウギ)は、あらゆる厄災や困難を打ち消す力を持つ。
アクエリオン飛天(エンジェル):アクエリオン煌の胸部にベクター参号機が合体した3機合体形態。パイロットの消耗が激しいがその分能力は高く、必殺の月陽恋歌(ムーンライトキャノン)はM.J.B.Kを一撃で射抜く威力を誇る。
アクエリオン鳳凰(フェニックス):ベクターマシン肆号機、伍号機、壹号機が合体した姿。
灼熱の業火を全身にまとい、立ちはだかるすべての災いを焼き尽くす。
ベクター餓号機:資格なき搭乗者の心を狂わせるため、危険として封印されていた禁断のベクター。
「敵」のM.J.B.Kの脅威を目にし、「敵」を倒すことに執念を燃やす陽が召喚し搭乗。
陽が正気に戻って以降は、失われた壹号機の代わりとして用いられている。
(形状がほぼ同じのため、貮号機だけでなく他のベクターとも壹号機と同じように合体できるようである)
アクエリオン燦:ベクター餓号機が上半身、ベクター貮号機が下半身を構成する、いわば煌の後継機である合体形態。
無限拳を放つ能力も健在のようで、作中ではパワーアップ技である「救世無限拳(おわりなききゅうせいのこぶし)」を披露した。
アクエリオン鳳凰(フェニックス)、アクエリオン凛:上の餓号機バージョン。
アクエリオン天(ディーバ):ベクター餓号機が上半身、残る4体(参~陸号機)で四つ足の獣の下半身を形成する合体形態。
手に槍を持ち、獣の四本足で戦場を駆ける、ケンタウロスのような戦闘スタイルをとる。
ちなみに合体時のカットインにおける「天」の文字はかなり「犬」に近い形となっている。犬とかけ離れた姿にも関わらずそう読めるようになっているのは、陽の先輩たちが「犬」と深い繋がりを持っていたためだろうか?
関連タグ
天道総司 ぶれない・大口・実力者・天を衝く決めポーズ・赤色担当等の共通点多数