『父さんにお願いするんだ……僕の大切な人を、僕のところに返してって』
『忘れないぞ……灰吹陽……!』
概要
CV:安達勇人
本作のライバル的存在。黒幕である剣嵜荘厳の実の息子である。
荘厳からは「選ばれし者」であると言われ育ったらしく、自分でもそのことを疑っていない。
また、ベクターパイロットに必要な技能は一通りマスターしているらしく、特に身体能力は数人の大人を一瞬で蹴散らせるほど。
OPでも光の中にいる主人公・灰吹陽と対になるよう、闇の中にアクエリオンと共に描かれており、典型的な「敵組織のエリート」であるライバルキャラに見える。
……だが、性格や行動に残念な面(後述)が見受けられ、しかもそれが話数を重ねるごとに際立っていってしまうことになる。
第1話では相方である月銀舞亜と共に出撃し合体。DEAVAのM.J.B.Kへの攻撃を妨害するが、現れたベクター壹号機によって舞亜を乗機ごと強引に奪取され、そのまま合体されてしまう。
第1話からまさかのNTR展開の被害者になってしまった。
その後は舞亜を連れ戻すため彼女の所在を探るも、彼女をDEAVAに置いておこうとする父の思惑もあり失敗。
乗機である零号機が改修中であることもあり、しばらくは何の見せ場もないまま、舞亜を奪われた悔しさを噛みしめることとなった。
第6話で、NESTAの敵情視察にやって来た桜子に発破をかけられ、ついにDEAVAを叩くべく出撃。
改修で追加された機能により、炎のM.J.B.Kと合体しアクエリオン煌を追い詰めるが、M.J.B.Kの思念にあてられて目的を忘れ、舞亜の存在さえ忘れてM.J.B.Kに取りこまれてしまいそうになる。
だが陽の強い意思で我に返り、アクエリオン罪の力でM.J.B.Kから救い出された。
この時、ベクター同士がすぐ傍にあったためか、初めて敵対する相手の名前(灰吹陽)を認識し、強い敵意を抱いて撤退していった。
渦のM.J.B.Kの事件の際には、当初荘厳から事件に関わらないよう言い渡され、父親の創り出した結界の中で鬱々としていたが、陽への敵対心から必死に結界を破り外に出ようとする。
事件の中で新たに生まれようとしていたM.J.B.Kの導きもあり結界を脱出し零号機に乗ると、自身の意思に反応して出現した「離」のM.J.B.Kと合体。
翼人たちの操るアクエリオン凱を急襲した。
救援に駆けつけたアクエリオン飛天さえもバラバラに分解し、あわや陽を叩き潰す一歩手前までいったが、翼人がとっさに彼を庇い、そこで生まれた隙をついて全ベクターが撤収したことで絶好の機会を逃してしまう。
陽に対するアドバンテージを確保して自信を回復。さらにM.J.B.Kによる文字侵食率を意のままにコントロールするという成長を見せるが、単独で再出撃した陽を追いかけてきた舞亜の告白を(陽のベクターと半ば一体化している状態だったため)偶然聞いてしまう。
「総ではなくお前(陽)と合体したい」という舞亜の言葉、これ以上ない失恋の事実を突きつけられて、激しく動揺する。
動揺から回復しないまま、アクエリオン煌に屈する総だったが、そのネガティブな感情に反応してかM.J.B.Kがさらなる変化を見せる。結果「無」のM.J.B.Kが誕生し、総はその中に取りこまれてしまった。
意識を失っている間に、「無」のM.J.B.Kは荘厳と共にDEAVAメンバーに敗北。
目を覚ますと、そこにいたのはM.J.B.Kの残骸の中に迷いこんだ舞亜だった。
ボロボロの身体で舞亜にすがりつく総だったが、陽との生身の戦いにも敗れた荘厳が倒れこむのを見ると、そちらに走っていってしまう。
陽に怒り心頭の総は「返せよ! 僕の大切な舞亜を!!」と叫ぶが、これまでの彼の言動を冷静に観察してきた舞亜は冷ややかに「鏡に映った自分を愛でる代わりに私を求めただけ」と言う。
「あの月の夜、私を救ってくれた総は、もういないんだな」と続ける舞亜に、総は言葉を失ってしまった。
その後、残骸の崩落が始まり、荘厳の救いを拒否する言葉を受けて、陽は舞亜を連れて退場。
総は荘厳の下を離れず、結果として崩落に巻き込まれる形になってしまった。
14話で流れたニュース番組からするに、父と共に「行方不明」扱いになっているようだが……
創声の書との出遭い(ネタバレ注意)
『俺は壊す。お前が救うからだ』
……死のM.J.B.Kの騒動の直後に、新たなアクエリオン“傷”と共にロゴスワールドに舞い戻る。
冷たく鋭い目つき、悪役のごときツンツン髪という衝撃のビジュアルでの再登場となった。
性格もかなり変貌しており、冷静かつ挑発的な動きでアクエリオン煌の攻撃を捌く、
舞亜のまの字も言わない、など、陽への強い敵意以外はほぼ別人のようである。
彼がこうなったのは、死に際の荘厳から創声の書を託されたこと、そして現実世界に戻って林晋太郎から生前の荘厳について聞き、自分が喪ったものを改めて認識し絶望したことが原因。
絶望の瞬間、創声の書が彼にロゴスワールドに関する莫大な知識と力を与えたようだ。
また、創声の書に憑いているらしい謎の女性ネスタによれば、総本人はその一瞬をとてつもなく長い時間に引き延ばされて体感したらしい(精神と時の部屋のような仕様と考えるとわかりやすいか)。
現実世界では数ヶ月程度の時しか経っていないが、恐らく総は年単位で時を過ごしていた。先述の性格の変わりようはこのためであると思われる。
新生した総は「世界を壊す脅威となる」ことを宣言。実力が伴っていることもあって、陽の敵対心に火を点けた。
アクエリオン傷でアクエリオン煌を完膚なきまでに破ると、撤退した陽のことは気にせず、彼の残した敵の文字をM.J.B.Kへと覚醒させる。
そしてネスタと共に傍観していたが、敵のM.J.B.Kを陽が(想像通りに)撃破してみせたことで、謎のアクエリオン“ロゴス”を覚醒させるべく密かに動き出した。
政府の官僚を操り、SHIROBAKOを武力で制圧させるなど手段を選ばない行動が目立つようになるが、ネスタによれば、それでも舞亜への好意は残っており、非情になりきれていない面もある。
自分の名前と同じM.J.B.K「総」を呼び出しての最終決戦では陽と熾烈な戦いを繰り広げるが、その陰でロゴスの機体内に囚われの身になった舞亜を気遣ってもいた。
その舞亜への想いが、最後の最後でネスタへ反旗を翻すきっかけにもなった。
ネスタと「総」のM.J.B.Kが倒れた後は、決着をつけるためにロゴスに乗りこみ、陽と最後の一騎討ちを行う。そして……
性格
当初は、残念な面をよく見せる残念なイケメンであった。
良くも悪くも子供っぽく、父親や舞亜への依存心はとても強い。
また、父親のしていることに何の疑問も持たず、一般人が犠牲になる事実を知っていながらそれに良心の呵責を感じることもない(本編ではやや描写が薄いが、公式サイトの紹介文などで明言されている)。
冒頭の「親に頼んで大切な人を取り戻してもらう」という台詞や、CMで連呼する「そうだ! 舞亜の言う通り!」という台詞は、彼の甘くだらしのない一面を象徴する言葉であると言える。
荘厳の死以降はこの性格が変化。
荘厳に似た冷静、酷薄で堂々としたものになっており、謎の女性ネスタからの色っぽいアプローチも軽くあしらっている。
ネスタはこの新生総の方が好みであるらしい。
乗機
ベクター零号機:闇色の戦闘機。当初は貮号機との合体を念頭に置いて運用されていたが、貮号機を奪取され、荘厳も取り返す気をなくしたことから、M.J.B.Kとの合体用に改造されることとなる。11話で完成したらしく、アクエリオン2機を追い詰めるほどの性能を見せた。
アクエリオン罰:ベクター零号機が上半身、ベクター貳号機が下半身を構成する合体形態。憧れの月銀舞亜との合体形態でもある。貳号機が奪取されて以降は一度も登場していない。
アクエリオン傷:復活した総が操るアクエリオン。ベクター零号機が上半身、強攻型ベクタードローンαが下半身を形成する。
総のパワーアップのおかげでもあるが、かつては手こずっていたアクエリオン煌を単騎で撃破するほどの性能を発揮する。
アクエリオン裂傷:アクエリオン傷の上位機体。ベクター貳号機が背部のバックパックとして追加されている。格段にパワーアップし、餓号機を擁するアクエリオン燦すらも圧倒する。
アクエリオン言霊(ロゴス):アクエリオン裂傷のさらなる上位機体。1万と2千年前ネスタたちが操った機体でもある。
戦車(チャリオット)形態と人型形態の二つの姿を持つ。人型形態は裂傷と大して変わらない外見だが、巨大な剣を装備している。
最終決戦では紆余曲折あって、陽を乗せることになる。そのことで更なる変化を起こし……
視聴者からの反応
上記のように残念な一面が際立っている彼だが、良くも悪くも純粋であること、にもかかわらず作中での扱いが散々なものであることからか視聴者からは決して軽蔑ではなく、むしろ同情の眼差しで見られることが多い。
彼の抱える歪みに関しても、そもそもまともな人間関係が築ける要素がない(実の息子なのに荘厳からは関心を持たれず、自分と同年代で接しているのは確認できる範囲では舞亜のみ、自分をある程度気にかけていた桜子は荘厳からの離反により離れている、後の人間はほとんど利権がらみ)ので、仕方のないこととも言える。
関連タグ
剣嵜荘厳(父) 月銀舞亜(熱愛対象) 灰吹陽(舞亜の件で強く敵視)
剣崎一真(ケンザキ繋がり。彼も初期は年長者に依存するところが見られた)
剣崎真琴(同上。総と違って凛々しい性格だが、残念なところがあるのは共通)