概要
東方Projectに登場する八雲紫と茨木華扇のカップリング。
原作では主に華扇の登場する『東方茨歌仙』での交流がみられる。
またその他の作品でも二人の共通点などが垣間見られる事があり、二人にまつわる二次創作でも様々な物語や可能性が想像されている。
『東方茨歌仙』
『茨歌仙』において語られた座敷わらしが人間の里から消失するという一件で、紫が座敷わらしの代わりに連れてきたホフゴブリンを博麗霊夢に紹介した際に華扇も同席していた。
しかしその外見があまりに妖怪的であったため、かわいらしい座敷わらしの代わりとして人里に受け入れられるかどうか霊夢は訝しんでおり、華扇もまた同様に疑問を抱いていた。
実際に人里にホフゴブリン達が入った後には人間たちには何の被害もないながら霊夢宛の退治の依頼が絶えなかったようで、華扇もまた紫の骨折りを気にかけつつも、ホフゴブリン達を人里から追い出すことに積極的に賛成した。
二人の会話
紫が霊夢らにホフゴブリンを紹介しに来た際に霊夢がホフゴブリンをいじくっている後ろで紫と華扇は二人だけで会話をしている。後に彼らを人里から追い出すという判断に至る思考プロセスにはこのときの会話内容も一因していた様子である。
この会話中では紫は他のキャラクターに向かう時の様子とは異なる様子で、裏話に近い事も華扇には語っている。さらにその人物像に未だ語られていない部分の多い「茨木華扇」という存在について紫から意味深い一言が発せられている。
またこの会話の最中、紫が華扇の言葉を制止するように華扇の唇に指を当てている(あるいは当てているように見える)のだが、この話では紫は他作品で見られるような手袋をしてないため、直接華扇の唇に触れているようにも見える。
また、鼻先がくっつくほどにまで顔を近づけるシーンもある。このときはシリアスな話の延長であるため、紫らしい底の知れないカリスマ的要素が描き出されている場面となっている。
結界と「賢者」
『茨歌仙』のストーリー進行とも平行した時間軸である『東方深秘録』において華扇は博麗神社を通して独自に異変に対処した。『深秘録』における異変はその黒幕が「外の世界」にあり、華扇はその介入に応じるべく外の世界への道を開いたのである。
幻想郷は博麗大結界によって外の世界と別個されており、多くの存在はこの結界を任意に行き来することはできない。一方「結界に穴をあける」ことで両世界を任意に行き来することは可能で、華扇はこれを行って『深秘録』時点の幻想郷に迫っていた「外の世界」からの脅威に対抗しようとした。
ただし「結界に穴をあける」という行為は危険を伴う行為でもあり、別の機会に霊夢が結界を緩めようとした際には紫に注意を受けたようである(『東方香霖堂』)。博麗大結界はその成立と維持に紫が大きく関わっており、博麗神社もまた紫の心が注がれる場所である。
また『深秘録』において華扇はこの博麗神社の領域を通して「 130年の禁 」を解くという結界に穴をあける行為の際、その銘として「 賢者×××× 」の名を使用している。
『深秘録』時点ではこれが誰を、あるいは何を指すのかは語られていないが、華扇が結界を越え得るような何らかの強大な存在、またはその力を受け、さらにそれを行使する事が出来ることの現れである。
そして紫もまた幻想郷にまつわる経緯などから「賢者」と呼ばれる事がある(「妖怪の賢者」)。
紫と華扇は共に幻想郷そのものの世界観にも関わる「結界の操作」と、それとも関連して「賢者」という文脈でも語られているのである。
この他「外の世界」という視点では、紫はそもそも外の世界の存在なのではと考察される事もある(稗田阿求、「幻想郷縁起」、『東方求聞史紀』)他、華扇は外の世界に「 探し物 」があるようであるなど、それぞれの形で「幻想郷」とは別の「外の世界」に心が至る事もあるようである。
博麗霊夢を通して
東方Projectに登場するキャラクター達はシリーズの主人公の一人である霊夢とそれぞれ縁をもっているが、その中でも紫と華扇は多数の作品または多数のエピソードにおいて霊夢と様々に関わっており、関係が深い。
紫は原作のシリーズである『東方永夜抄』や『東方地霊殿』などで作中で起きている異変の解決に関わり、解決に向けて動く霊夢を積極的に支援している他、『東方儚月抄』では自らの思惑もあって霊夢に修業をつけさせ、それは霊夢が「神降ろし」という強大な才能を獲得することに寄与している。
華扇は『茨歌仙』や『東方三月精』において霊夢と協力しつつ問題に挑み、さらにその知識で霊夢を複数回助けている他、強制的ながら実際に修業をつけている。この修業は小野塚小町の予測通り華扇の意図するような成功にはつながらなかったが、霊夢を特に気にかけ、実際に霊夢のためと言う意味も込めて行動したところに紫との共通点を見る事が出来る。
先述の『深秘録』においても華扇は霊夢とも協力して事に当たっている。
霊夢からすると両者とも口うるさいところがあり、時に痛いところを的確に突く難儀な存在ではあるものの、それぞれのストーリーやエピソードなどにおいては霊夢から信頼が寄せられる様子も見て取れ、先述のように二人もその知識や経験を生かしつつ霊夢に目をかける様子が見られるなど、霊夢を通しても紫と華扇は縁をもつと言える。
例えば、先述のホフゴブリンのエピソードに続く臥龍梅にまつわるエピソードにおいては、紫と華扇は直接会ってはいないものの両者それぞれの語ったことやアドバイスが霊夢の行動を変えているなど、紫と華扇の直接の接触は無いながら同じファクターを通して霊夢に影響する様子が描かれている。
二次創作では
二次創作においては二人が直接交流するものなどもあるが、「ゆかかせ」に特徴的な関係として二人に霊夢を交えた間柄で描かれることが多いことである。そしてその際の関係性は紫と華扇がそれぞれに霊夢を特に大切にするという「愛されいむ」の文脈で語られることも多い。
先述のように霊夢に助言したり指導したり、時には修業をつけたりする様子が二次創作においてさらに展開され、作品によってはその姿はまるで姉や保護者であるかのような振舞いであることもある。
そしてその際には二人の性格の違いもあって指導方針あるいは育成方針が異なるためにしばしば両者は霊夢の将来の方針などを巡って揉め、霊夢も巻き込んで壮大な姉対決ないしは保護者対決を繰り広げる様子が描かれるなど、一種の親バカとしての二人が見出されることもある。