かなり大雑把な概要
主翼の両翼端に、飛行機用とヘリコプター用の中間くらいの大きさのローターを回すエンジンをナセルを使って取り付け、状況に応じて角度を変えることであらゆる飛行状態に対応しよう、という考え方。実用化に向けた開発は1908年から既にあった模様。
低速ではローターを上に向けヘリコプターとして振る舞い、そのまま速度を上げていき主翼の生み出す揚力が安定したところでローターを前に倒し高速飛行に移る。
ローターが地面に当たらない角度にすることでSTOL機として滑走しての離着陸も可能。
ヘリコプターの延長線上にある機体であり、ヘリコプター用のターボシャフトエンジンが使われることがほとんど。(ジェットエンジンでそれを行うティルトジェット(エンジン)という形式も一応はあるが燃費がガタ落ちするため使われない。)垂直上昇から水平飛行に移る際のエンジンの角度変更が難しかったが、コントロールをコンピュータに任せることで実用化の目処が立った。
輸送機V-22オスプレイで実用化され、現在は民間用小型旅客機のAW609(タイトル絵の機体)をアグスタ・ウエストランド社が開発中。長い滑走路が採れない山間部や離島部での活躍が期待されている。そのために「パワード・リフト(Powered Lift)機」という新たな型式認定も取得中。
緊急時にはどうするの?
まずどちらか片方のエンジンが故障した場合。両端のプロペラはシャフトで連結されており、どちらか片方のエンジンだけでも2つのプロペラを回し飛行は続けられる(もちろん、それを前提とした出力であってもその分残ったエンジンを酷使することになるので速やかに近くの空港に着陸することを求められる)。
万が一(ベル社は100億時間に一回くらい、と説明している)両方のエンジンが停止した場合でも、
滑空状態に移行しそのまま着陸する
という2つの方法がある。
主翼があるため滑空は可能であるし、条件が整えばもう一つの方法も使えるわけである。当然先述の2機とも両方の機能を持っている。
空想世界にて
なお、アニメ作品等の世界でも、このティルトローターを使った機体が出てくることがある。宮崎駿監督のジブリシリーズでも姿を見せる。代表的な物は、天空の城ラピュタに登場するタイガーモス号。厳密に言うと飛行船の部類に近いが、主翼はティルトローターとなっている。
近年においては、SFアニメ作品『宇宙戦艦ヤマト2199』にも、コスモシーガルと言う汎用型輸送機が登場し、主翼がティルトローター式となっている。
関連タグ
ティルトウィング:エンジンナセルだけでなく主翼ごと稼動する機構を持つ場合
ティルトジェット:ジェットエンジンの場合