示現流
じげんりゅう
示現流とは、薩摩藩を中心に伝わった日本の古流剣術の1つ。
概要
薩摩藩内では江戸時代後期に島津斉興より御留流(一つの藩でのみ伝承され、同じ藩内でも他流の者に稽古を見せることを、藩より禁じられた武術の流派)とされ、分家である佐土原藩を除き、藩外の者に伝授することは厳しく禁じられていた。
「キィエーイ!」と聞こえる独特の掛け声で知られるが、正式な掛け声は「エイ!」であり、あまりに激しいためにこうした発音になっているという。漫画などでは「チェストー!」と叫ばれることもあるが、これは俗説らしく、「キエー!」「キヤアァァァー!」「チェーイ!」といった他流派には無い独特な掛け声が混ざり、そう認識されるようになったとされる。
しばしば薩摩藩士・薬丸兼陳が編み出した分派である『薬丸自顕流』(野太刀自顕流)と混同される。同じ薩摩で盛んで読みも同じ、掛け声も似ているなど共通点が多いからである。薬丸家は家伝の野太刀剣術を継承しつつ、先述の東郷重位の高弟にもなり、示現流の技を取り入れた。独立に際し本家示現流とのトラブルも起こっている。
示現流は高度複雑だが難解で精神論も多い。自顕流は技は少ないが強烈である。幕末期には、上士は示現流、下士は自顕流を修めていた者が多かった。これらのエピソードは枚挙にいとまがない。