概要
名前の意味は“影の者”。スカアハの統べる影の国はブリテン島のアルバ(スコットランド)に位置し、そこで二人の息子と娘のウアタハ、弟子である多くの戦士達と暮らしていた。彼女の居城は難所に囲まれた七つの城壁と九つの柵を備える堅牢なもので、それぞれの柵には一つずつ首が掛けてあったとされる。また、スコットランドにあるスカイ島の語源はスカアハの名前だという。
スカアハは恐ろしい女王であったが武芸や魔術の達人でもあり、その勇名を慕って多くの戦士が弟子入りを求めて影の国を目指したという。そしてスカアハの教えを受けた者は素晴らしい秘術と武器を授けられるとされ、アルスターの英雄クー・フーリンも彼女に師事した一人である。
特にクー・フーリンは自力で難所を突破し影の国に到達したことから彼女の賛嘆を受け、全ての戦いの魔術と魔槍ゲイ・ボルグを授けられたとされ、さらにスカアハと愛人関係でもあったという。
また、娘のウアタハは影の国におけるクー・フーリンの妻となった。
女王スカァアの笑い
19世紀のスコットランドの小説家ウィリアム・シャープは本名で作家活動を営むかたわら、“フィオナ・マクラウド”の筆名でケルト文芸復興運動に参加してケルト──特にスコティッシュ・ケルト(スコットランドのケルト)──を題材にした作品を発表した人物である。
その作品の内、「女王スカァアの笑い」と「かなしき女王」はスカァア(スカアハ)を主役に書かれている。
作中のスカアハはスカイ島を支配する強壮な女王として謳われる一方で、クー・フーリンに激しい慕情をつのらせる一人の女性として描かれている。しかし、クー・フーリンの心の中にはイテーンへの想いがあり、そこにスカアハの愛が入り込む余地はなかった。そして故郷アルスターからの招聘によってクー・フーリンはスカイ島で『一人の女も愛さず』に去って行く。
残されたスカアハは気をまぎらわすために島へ流れ着いた20人の海賊を木に吊るし(女王~)、難破船から助け上げられた男二人を『クー・フーリンを思い出させた』として殺す(かなしき~)。だが、それら苛烈な激情と死の喜びによる狂笑も愛する人を得られなかった心の痛みの前には、ただ空しいことをスカアハは噛みしめるのである。
フィオナ・マクラウドの書く物語の主題は「ケルトの暗い悲しさ」であり、スコティッシュ・ケルトにおける悲しみとその中でなお鮮烈な愛の象徴としてスカアハは描写されている。
女神転生シリーズのスカアハ
初出は「真・女神転生デビルサマナー」、シリーズを通して種族「女神」で登場している。
正座したまま浮かぶという独特の姿勢は、デザインを担当した金子一馬氏が「武道の達人って、正座した状態で背後から襲撃されてもナベの蓋とかで防いでそう」というイメージが元であるといわれる。
シリーズ中では弟子に当たるクー・フーリンと絡んだイベントが設けられ、ペルソナ3ではミックスレイド、葛葉ライドウ対アバドン王では特殊会話、真・女神転生SJではEXミッションなどを通して両者の繋がりが描かれる。
コミック「葛葉ライドウ対コドクノマレビト」では葛葉ライドウの仲魔としてクー・フーリンと共に召喚され、驚異的な体術で敵を翻弄したりゲイボルグを軽々と扱う活躍を見せている。
乖離性ミリオンアーサーのスカアハ
主人公達の居城でもある訓練城ヘヴリディーズを根城とする魔女であり、同時に主人公達の訓練教官でもある(このためかベレー帽にミニタイトスーツという所謂「女軍人」のようなデザインになっている)。妖精ウアサハを従え、「断絶の時代」時代の遺物であるスーパーコンピュータ「ドン・クアルンゲ」相手に当時の記録を掘り出す作業に没頭している。
魔女としては有能であるが私生活は壊滅的で、ウアサハが家政婦をしなければ生活が成立しない程(そのウアサハに家事を「プログラミング」したのはスカアハ自身。ウアサハ曰く「何故当人が家事能力ゼロなのか理解できない」)。また俗な一面があり、モノに釣られる姿や、前出のウアサハへの「プログラミング」にしても「当初面白半分にえっちなものを仕込んだ」と発言している。
自身をキャラクターとして使用することはできないが、本作の世界観上「当人そっくりの外見で『騎士』を作る」という方法を取ることができ、これによって作られたコピーを「複製型」などとしてキャラクターとして使用することができる。