幼少期
備前の城主一族の出であったが、1534年に当主である祖父の宇喜多能家が島村盛実(貫阿弥)の奇襲によって死亡してしまう。
この為父・興家と共に備後に逃亡し当時備後の豪商であった阿部善定を頼る。だが、2年後に興家は「父(能家)とは大違いな愚か者」と批判のあまり病で死亡した。(ちなみに一説では暗愚を装っていたという説がある)
ちなみに興家は善定の娘を娶り、忠家、春家の男児2人(直家からいえば弟2人)を恵まれている。
浦上宗景に仕える
成人した後、祖父と父の主君であった浦上宗景に仕える。
当時浦上家は当主・村宗(政宗・宗景の父)が1531年に起きた大物崩れ(赤松政祐(後に晴政)・細川晴元連合軍と浦上村宗・細川高国連合軍の戦い)にて戦死。この為、政宗が幼少で家督を継いだ。しかし1551年に尼子晴久との対応を巡って意見が対立していた頃であった。
主君・宗景は毛利元就と三村家親ら「備中衆」と結び、対する政宗は尼子晴久・松田元輝らと結んで対立。
直家もこの戦いに従軍し、武功を立てて浦上家臣団の中で頭角を現しつつあった。
下剋上
しかし1559年に妻の父である中山信正が、仇敵島村盛実と結んで謀反を企んでいた為、直家は宗景の命により中山信正を謀殺。更に島村盛実を討ち一門の仇を取る。(この事を聞いた妻は自刃して果てた。)
更には浦上家から毛利家に寝返った撮所元常を1561年に暗殺。浦上氏の勢力拡大に中心的な役割を果している。
5年後の1566年には対立していた三村家親を阿波細川氏の元にいた遠藤秀清・俊通兄弟に命じて鉄砲で暗殺。そして同時に起こった明善寺合戦で三村家親の子・元親を破った。
しかし婚約を結んでいたのにも係らず、援軍に来なかった松田元輝・元賢親子に対し激怒。2年後(1568年)に鹿狩りと見せかけて中心人物である宇垣与右衛門を「鹿と間違えた」という理由で射殺。元輝は無視するが、与右衛門の兄・宇垣市郎兵衛は激怒し絶縁状を突きつけて出奔。
(松田家は進出した先の他宗の寺院を徹底的に日蓮宗に改宗させているが、松田元輝・元賢親子も例に漏れず領内の寺社を徹底的に日蓮宗に改宗させ、従わない寺社は焼き払う。金川城内にも日蓮宗の道場を設けて領内の者に改宗を押し付けた。こうしたあまりにも横暴な態度は領民や家臣の怒りを買っている。)
これを好機と見た直家は対立していた伊賀久隆を浦上方に寝返らせた後に、元輝を鉄砲で討ち取る。この事を聞いた元賢は父の後を継いで軍を率いるが、敗死。(この時、元賢の妻にして自身の娘もろとも滅ぼしている。)
1569年には主君・宗景から独立。織田信長・足利義昭と結んで対抗するが、敗北。許されて帰参している。
1570年に明善寺合戦にて浦上方に寝返った金光宗高を毛利に内通した容疑で処刑させている。その所領を自己の知行とするなど勢力を拡大し、浦上家で随一の実力者となる事に成功する。
1575年に起きた「備中大乱」にて毛利軍と連合して三村元親を倒して勢力を拡大。そして同年には天神山城を攻めて宗景を追放。下克上を果たし備前・備中の一部・美作の一部を領する戦国大名の一員へとのし上がった。
しかし1578年12月に浦上残党が一斉蜂起。だが、直家は美作鷲山城主の星賀光重や周匝茶臼山城主の笹部勘二郎を討ち宗景の領主復帰の野望を阻止する。
翌年には織田に走った後藤勝元(勝基とも)を滅ぼすが、間もなく織田に帰順の意を示した。そして1582年1月9日に病死した。
ちなみに同じく謀略・計略に長けた毛利元就や尼子経久と括り中国三大謀将とも呼ばれる。そしてその行いから松永久秀・斎藤道三等と並ぶ大悪人とも呼ばれる
手に余る武将を多数謀殺していることから毒殺・暗殺を得意とし、時折この事をネタにされる。
息子は宇喜多秀家。
エピソード
- 暗殺の手段として鉄砲を導入した最初期の人物の一人でもある。
- 彼の危険度の高さを示すエピソードとして、弟の宇喜多忠家は直家に会う時は鎖帷子を着込んでいたと言われている(ただし直家は忠家を信用できる人物と見ていたらしく、時には自身に代わって兵を率いさせるなどしている)。
創作物での宇喜多直家
信長の野望
暗殺や下克上など危険度の高い事件を起こしているため義理値が1に設定されることが多く
しかし知略はトップクラスの数値を持っており引き抜きの危険性と引き換えに高い性能を発揮する。後の作品では史実の浦上家からの独立を再現したイベントがある。
戦国無双
武器:薙刀(2Emp)、槍(3以降) 声:山田真一(2Emp)神谷浩史(3)宮坂俊蔵(4)
「何、貴様らなどまだまだよ。わしには遠く及ばぬ」(3Empのイベント「梟雄会す」より)
「謀聖の戦、存分に堪能されよ…」(4Emp特殊セリフ)
2ではイベントは無かったが、3では松永久秀、斎藤道三とのイベントもあり。4Empでは固有のデザインで登場し、前作には無かった戦闘時の特殊台詞を引っ提げて登場した。
宇喜多の捨て嫁
木下昌輝による歴史小説。
全6編である本作では各章毎に主人公が異なり、『無想の抜刀術』、『貝合わせ』は彼の視点で物語が進む。全編を通して登場し、本作の実質的な主人公でもある。
数々の謀略でのし上がり、天下にその悪名をとどろかす梟雄。若い頃より奇病に冒され、定期的に古傷から血が膿みに変わって流れ出し、腐臭を漂わせている。また、相手の殺意に反応して無意識に刀を抜き払う習性がある。
生死をかけた謀にこそ生きがいを見出し、実の娘ですら謀略の道具として使う非道の人物として描かれる一方、そのような武将になるに至った過程も描かれている。
軍師黒田官兵衛伝
暗殺マニア。常日頃から敵将を暗殺することに熱意を燃やす陰険な策略家。
暗殺を悪行と思ってはいるものの、実は部下や家族を大切に思っており、「無駄な犠牲を出すことなくことを為せる」という理由で愛している。
病に倒れ、ケツから出血が止まらなくなるというサエない死因を遂げることを本人も悲しんでいた。秀吉との交渉では「宇喜多一族を護る」という(暗殺マニアにしては)大人しい注文だけをつきつけ、愛する妻子の安寧を見届けてからこの世を去った。
息子・秀家はとても純粋でいい子に育っている。