概要
『ウルトラマンタロウ』第18話「ゾフィが死んだ!タロウも死んだ!」(タイトルオチ)にて、トラウマ怪獣として名高いバードンの火炎放射が着ぐるみの頭部(ウルトラ戦士特有の例のトサカ)に引火するという事件があった。
その直後、ゾフィーはバードンによってすぐ傍にあった湖に叩き込まれたのだが、見様によってはバードンがわざわざ鎮火してくれた様にも見えてしまう。
実際は頭に火がつくのは演出だとのこと(ウルトラマンの体に引火するという演出自体は『帰ってきたウルトラマン』でも前例がある)。
頭の素材が素材なせいで全く燃えず、マスクに目立たないようシルバーに塗ったガーゼを接着剤であらかじめ付けておき、そこに灯油を染み込ませて着火させていた(そのため、鎮火後のゾフィーの頭部をみると、焦げた繊維のようなものが認められる)。
バードンが湖に叩き落としたのもあくまでも意図された消火である。
このために消火器を10本前後用意して、スタッフ一同ドキドキで撮影していたとのこと。
ファンの間では昔から有名なシーンだったが、例の四月馬鹿ネタにおいて、原因であるバードンから直々にこのことを揶揄して「ミスターファイヤーヘッド」というインパクトある呼び方をされ、呼び名とともに更に広まり、遂にはアクションフィギュアにこの状態を再現可能なパーツが付属するまでに至った。
そして…
『タロウ』18話放送およそ34年が経った2017年、『ウルトラファイトオーブ』におけるバードンとの3度目の戦闘の際、なんとこのシーンが再現されてしまった。
公式が病気である。
件のシーンは、バードンがゾフィーに対して火炎放射で応戦、ゾフィーの身体が炎で包まれるも、即座に鎮火させて反撃に転じる…というものなのだが、この際、頭にだけ炎が最後まで燃え残っているという演出が取られたのである。明らかに『タロウ』での出来事を意識したものであろう。
なお、再現とはいっても、今回はかつてとは逆にゾフィーが戦士として大きく成長したことを見せるための演出として行われている。
実際、ゾフィーは全身を火だるまにされるというかつて以上の苦境に立たされながらも特に苦しむ様子もなく、気合いで一気に消火して反撃に転じている。
以前敗北した時と同じ状況をあえて再現し、それをカッコ良く描き切ることで、ゾフィーの強さを引き立てるという、ウルトラシリーズをよく知る坂本浩一監督ならではの発想だったと言えるだろう。
ちなみに、消防法などの都合もあり、今回は本物の火ではなくCGとの合成で表現されていおり、『タロウ』の時のような命がけの撮影にはならなかったようなので、視聴者の方はご安心を。