ウィキッド(Caligula)
うぃきっど
概要
全てが謎に包まれた楽士。一般には存在と楽曲のみが知れ渡っているが、その姿を知るものはいない。楽士の会合でも素顔を見せないなど隠匿は徹底されている。
その実態は他人の交友関係を破壊することにスリルと無上の喜びを感じる人格破綻者。特にグループの中心的人物を好んで陥れている節がある。
自身の苛立ち・不快感・交友関係を破壊する瞬間の昂ぶりなどの負の感情を糧にした強烈な楽曲を製作し、全てをあざ笑うような強烈な暴力性を孕んだ歌詞とメロディーは、聴くものに例外なく大きな衝撃を与える。
現実にいた頃から多数のリスナーの熱狂的な支持を得ていた人気ドールPであり、その腕を買われ楽士として活動することを望まれてメビウスへと誘われた。
担当曲は「コスモダンサー」。歌詞の特徴から、世界の崩壊と他者の諍いを切望する様子が見受けられる。自分以外はすべてゴミと断ずる排他的この上ない歌詞は、楽士の誰よりも他人との関わりを拒絶している。しかし自身の整えた諍いの舞台を誇示する一方、省みられない悲劇を儚むかのような囁きも微かに漏れ出している。
ちなみに帰宅部との対決にあたって拵えた新曲であり、かなりの自信作であったそうである。
関連タグ
同じ楽士
・カギP
・ミレイ
・イケP
・ソーン
以降、ネタバレが記述がされています。 |
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ゲーム本編未プレイの方は、ゲームの面白さを損なう可能性があるので閲覧のお勧めはできません。
↓記事をスクロールするとネタバレが記載されています。閲覧は自己責任でおねがいします。↓
「楽しい時間にしてやるよ!!」
プロフィール
帰宅部員である守田鳴子のクラスメイト、水口茉莉絵と同一人物。
帰宅部とシャドウナイフの激突後、鳴子に「楽士の仲間である」と告白したうえで和解を申し出るが、それはシャドウナイフの死により戦いに不安と忌避感を覚えた彼女の心理を利用した罠であり、帰宅部の部室を突き止めた後に鳴子を体育館へと幽閉。
その翌日、鳴子のスマートホンを使って彼女になり済まし、帰宅部全員を部室へと誘き寄せた後に、部室の出入り口を全て封印し、彼らを部室に幽閉することに成功する。
その後、帰宅部部員達はウィキッドの手による曲を大音量で聴かされながら、三日もの間を飲まず食わずで部室に監禁されることに。
そのまま放置していれば全員のデジヘッド化は避けられず、その時点で彼女の勝利だったのだが、その異常な嗜虐性ゆえにあっさりした決着では満足できず、その後も帰宅部を仲違いさせるために暗躍。
挙句、部員達を個別の監禁場所へ移送して拷問を行おうと、わざわざ部室を開放して睡眠薬入りの食料を持ち込み、彼女を信用しきっていた大半の部員を眠らせることには成功したものの、タイミングの良過ぎる数々の接触により茉莉絵がウィキッドだと半ば確信していた主人公を不用意に「部長さん」と呼び、「何故、自分が部長だと知っているのか」と問われて、答えに窮してしまう。
逆ギレした彼女は、飲まず食わずで衰弱している主人公を実力行使で潰そうとしたが、機会を捉えるために気力を蓄えていた主人公を侮ったために敗走、反撃の糸口を与えてしまう。
余談だが、現実でも現役女子高生な楽士は8人中彼女のみ。
プレイヤー視点ではバレバレの正体、一度は帰宅部全員を完全に罠に嵌めておきながら余計な事をして反撃を許してしまう悪の幹部のテンプレ的行動、『逆転裁判シリーズ』の被告たち並に衝撃的な豹変、飲まず食わずで衰弱しきっているはずの主人公1人にあっさり負ける等々の事柄から、その所業にも関わらず、一部ではポンコツヒロイン「ウィキ口さん」として愛されてしまっている。
(何故「ヒロイン」なのかは、小説版参照のこと)
他のキャラクターのように対応する花はジャスミン。和名は茉莉花であり、彼女の名前の元にもなっている。『優美・愛想の良さ』という花言葉を持つが、それを聞かされた本人は自身の境遇を省みて「反吐が出る」と内心で否定している。
また、誕生花はスノードロップ(和名は待雪草)。花言葉は「希望、慰め、逆境のなかの希望、恋の最初のまなざし」。
ただし、この花を死の象徴としたり死に装束に見立てる伝承もあり、人にこの花を贈る場合は「あなたの死を望む」という意味になる。
水口茉莉絵の心の奥に踏み込みますか…? |
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■踏み込む □踏み込まない
以下、小説版のネタバレが記述されています。
歪んだ環境の中で周囲から踏みつけられるように育ち、その結果として自身も歪み他者の人間関係を破壊することに快感を覚えるようになった少女。
しかしそれは辛い過去故の復讐という訳ではない。そもそも彼女は育った環境のためか自身の苦痛を苦痛として自覚できておらず、感情に任せて涙を流したことすらもなかった。
よって根底にあるのは「どうしてこの身には理不尽ばかり降り掛かるのか」「今度は私が叩きのめす側にならなくてはおかしい」という、自身を呪いの様に取り巻く境遇への憎悪である。
現実世界では脊椎損傷により寝たきりを余儀なくされており、「息をするだけの生き物」と諦観している。メビウスの存続に拘ったのは現実に帰ってもどうしようもないからである。
程度は不明だが、人工呼吸器は使用していないため全身麻痺ではなく自発呼吸は出来ていると思われる。たまに周囲の音は聞き取れるが言葉を発することはできず、ほぼ昏睡に近い状態となっていた。そして昏睡から覚めぬままメビウス入りを果たした為に、未だにリハビリも受けられずにおり、どこまで動けるのかも判っていない。
(脊椎損傷は原文ママ、正確には脊髄損傷と思われる。脊椎損傷は骨折にあたり、こちらだけなら神経は無事で麻痺は起こらない。)
父から虐待を受けて育ち、父が逮捕され居なくなってからは母から暴力を受け、母が蒸発してからは地方の名士である母方の祖父母の元で、母の醜態によるものか躾の厳しすぎる祖父から手酷く殴られながら幼少期を過ごし、服や文具さえも碌に買い与えられなかった。
一方で唯一祖母だけは心を尽くし可愛がってくれたが、「今までと同じように、祖父が居なくなれば今度は祖母が私を殴るのだろう」と考えて心を開かなかった。
大人からは両親の陰口を叩かれ、学校でも見窄らしい身なりからイジメを受け、担任からはイジメなどないと見て見ぬ振りをされる中、分け隔てなく接してくれる恵まれた家庭環境の子供と出会い、自分とのその違いが理解できず、「何故私と違って怒られることもなく、これほどまでに恵まれているのか」と理解できず、初めは「あの子も怒られてしまえばいい」と小さな悪戯を起こし、怒られないと見るや次第にエスカレートしていった。
その結果、取るに足らない存在であるはずの自分のちっぽけな意地悪により他者の平穏な日常が容易く壊れてしまうことに快感を覚えてしまう。
以降も友人同士をバラバラにすることを繰り返し、問題を起こしては外聞を気にする祖父によって転校をさせられて高校時代までを過ごした。
人間関係を破滅させる為には手間を惜しまず、『下拵え』に年単位の時間を掛けたことすらもあった。いくらなんでも努力の方向音痴と言わざるを得ない。
『優等生の水口茉莉絵』はその生活の中で培われた、他人の警戒を解かせて人間関係の輪へと入り込み、そして叩き壊す為に都合のいい仮面に過ぎない。
しかし最後に通っていた高校では自分が人間関係を壊す前に企みを暴かれてしまい、自分が探られ、騙されていた側となったことに逆上。相手に掴みかかって揉み合いになり、結果自分だけが歩道橋から転がり落ちて脊椎に重篤な損傷を負い、身動き一つ取れなくなってしまう
入院先では祖父からは「どうして死んでくれなかった」「いつになったら死ぬのか」と詰られ、ならさっさと殺してくれと願いながら闇の中を過ごし、その中でμに誘われメビウスに身を投じた。
メビウスの中ではしばしば主人公も気に掛け、彼女にも目を配っていたが、「探られて失敗した結果が現実での肉体」というトラウマにより、他人から注目されると精神的な不調に陥ってしまうため、彼女と交流を結ぶのは難しかったとされる。
メビウス消滅後は残骸の闇に蹲る中、ウィキッドを心残りにした主人公とμに出会う。二人との対話によって自身の中の苦痛を苦痛として理解し、生まれて初めて感情のまま涙を流す。自身の過ちもまた自覚するが、現実への帰還の諦念により、再び塞ぎ込んでしまう。
そんなウィキッドの痛みを受け止めたμは「傷だらけの彼女をもう少し癒したい」と願い、水口茉莉絵ひとりだけのための小さなメビウスを作り出すことを約束して別れ、消えて行った。
その後、主人公が現実の水口茉莉絵の入院先に辿り着いてからは、眠りの間に彼女の過ごすメビウスを訪れることが出来るようになる。夢の中で会う彼女は他者の視線を恐れることもなくなっていた。
彼女は今日も全ての苦痛を忘れ、『楽士ウィキッド』ではなく『高校生の水口茉莉絵』として、夢の世界で日々を過ごし、心を癒しつつある。