概要
外なる神の一柱。『時空そのもの』ともされる存在。
「門にして鍵」「全にして一、一にして全なる者」「原初の言葉の外的表れ」「外なる知性」「混沌の媒介」などの異名を持つ。
クトゥルフ神話における最高神『アザトース』の産物『無名の霧』から生まれた神性。ラヴクラフトの作品においてクトゥルフやその他の神性より多く言及される。
シュブ=ニグラスの夫、ハスター、ヴルトゥームの親とも言われている。また、クトゥルフを始めとする地球生息の旧支配者は概ね『これ』の子孫であるようだ。
人間との間に子を作ったという物語も存在するが、いずれも奇形となっている。
虹色に輝く球体の塊の姿をしており、現在では『全てに繋がり、どこにも繋がっていない場所』に追放されているという。
いかなる時間・空間にも自らを接続できる存在、または常に全てに隣接している(触れている)存在であるとされている。時空を超えた知識を欲する人間が『これ』を求めることも多い。ただし、『これ』の力で時空を通過するには『銀の鍵』なる道具が必要とされている。
ヨグ=ソトースにかかれば、矛盾を無視して空間を拡大縮小したり、時間を永久的に逆に流れるようにすることも容易いようである。
この世全ては結局ヨグ=ソトースの一部であるともされるがヨグ=ソトース「本人」は現在は宇宙の外に追放されている。
「ダンウィッチの怪」にてキリストの最後のパロディととれる描写があることや、「一にして全、全にして一なるもの」「究極の邪神」「無限を体現するもの(無限そのもの)」などキリスト教の唯一神を意識していると考えられる描写や情報が多い。
また、ラヴクラフトの書簡によるとヨグ=ソトースの名前を正確に発音してしまうと命の危険があるとのこと。
「ダンウィッチの怪」によると、『ネクロノミコン』には召喚方法が書かれているらしく、ウェイトリー家が所有していた英訳版を用いたことで、ウィルバー兄弟が地上に産み落とされた。しかし不完全本であるため完全な召喚には至らず、ウィルバーはミスカトニック大学が所有するラテン語版を盗み出そうとしていた。
化身
時間の神。その姿は何者にも見ることができないが、この神を冒涜して怒りを向けられた者はその限りではない。
人間と意思を疎通しようとする場合は崇拝者の体を通す。
時間と一体であるため自由自在に時間を止めたり、時間の流れから出たり入ったりできる。人間の精神の理解を超えた速度で移動したり、物品を移送することもできる。
過去をやり直したい者に追い求められるが、その支配領域を侵す者は怒りを買うことになる。
アフォーゴモンを怒らせると、犠牲者はドリームランドにいて深淵にぶら下がっている巨大な石のいすに、裸で鎖につながれていることに気づく。そこで永劫の間座って報いを待たなければならない。最終的に加熱された鎖に焼き尽くされ、覚醒の世界で発見された遺体はすぐに「存在」しなくなる。裁かれた者に関するあらゆる知識、記憶、記録までが薄れて消えてしまう。
タウィル・アト=ウムルとも表記される。
門の導き手にして守護者としてのヨグソトースの一面。ヨグ=ソトース本体に謁見するためにはこの存在を通さなければならない。
人間の半分ほどの大きさで、人間に先行するか、または沿った輪郭を備えていたと描写される。だが、単なる肉体を遙かに超えた存在であることが見ただけで理解でき、姿にあまり意味はない。
ふさわしき旅人に究極の門を提供し、参入の儀式を執り行う。
夢見る人や旅人を案内する役も務める。
万物を知っており、人々の夢を現実のものとすることができる。テレパシーを使って交信する。
ふさわしき者であれば人間にも友好的な態度を見せる。
関係性
直接子供だとされる存在も多いが、設定を考察することで必然的にヨグ=ソトースの子供、あるいはその血縁であるはずの存在も数多い。妻がいるが、互いに不貞不倫は数え切れないほどある。また、旧支配者となった多くの神性はおおむねヨグ=ソトースの子孫であるようだ。
- アザトース
ヨグ=ソトースはアザトースから生まれたとされる。ナイアルラトホテップと違い息子とされることはない。祖父と表現される場合はある。直接生み出した存在は『無名の霧』。
アザトースが魔王であるのに対し、ヨグ=ソトースは副王。
この場合は妻。相手を選ばぬ淫蕩な女神。ラヴクラフトによれば、この女神との間にナグとイェブをもうけた。常になにかしらと交わってその子供を妊娠している。
子供。ラヴクラフト版の家系図ではこの神性がクトゥルフの親である。兄弟のイェブと同様に養子と性別が不明。雌雄同体の可能性もある。
- クトゥルフ
孫とされる場合と息子とされる場合がある。少なくとも縦の血縁関係があるということだろう。
何らかの血縁関係がある可能性がある。ただし、この神の存在は他の作家の設定と矛盾するところが多いのでブライアン・ラムレイ作品の世界観以外では見かけない。ラムレイの世界観の場合、ヨグ=ソトースとクトゥルフの血縁関係が不明なため、断言出来ない。
この旧神は「情け深い」ヨグ=ソトースの姿をしている。クトゥルフに対するクタニドのように何らかの血縁関係があると言われているが詳細は不明。
クタニドと同様ブライアン・ラムレイ作品以外では存在しない設定のことが多い。
眷属など
ヨグ=ソトースに仕える神。外なる神。旧神との戦いにもバグ=シャースとともにヨグ=ソトースに付き従っていた。ナイアルラトホテプの息子だとされる。多くの乳房にナイトゴーントが吸い付いている。「娘」とされている場合は誤りである。
ヨグ=ソトースに仕える神。旧支配者。旧神との戦いにもイブ=ツトゥルとともにヨグ=ソトースに付き従っていた。イブ=ツトゥルの同胞。
アトランティスの時代から魔術師によく知られており、非常に簡単に喚び出される。だが召喚する際に「力の五芒星形」など彼を封じ込める用意がなければ非常に危険。また、よびだしてらすぐにバグ=シャースに生け贄をどこで得られるのか教えなければ、代わりに召喚者を生け贄にしてしまう。
アザトースに従属する外なる神。サセックス草稿によればこの存在がウルタールなどのグレートオールドワンを創造したそれらの主人であると認められている。
フレデリック男爵(作中人物)の草稿では、この存在がヨグ=ソトースを創造したとしているが、多くの者はこれを誤りだと考えている。
ウェイトリ―家
「ダンウィッチの怪」にてヨグ=ソトースと交わった家族。
- ウェイトリー兄弟
人間の娘との間に生まれた双子の兄弟。ヨグ=ソトースが産ませたというより魔術師が自分の目的のためにヨグ=ソトースと契約し、娘に孕ませたというほうが正しい。
弟のほうに名前がないため、資料で言及されるときはこのように呼ばれる。
兄は博士号を持つ優秀な若者。弟は不可視で巨大な怪物。弟は死ぬ間際天に向かって「助けて! お父さん!」と叫んだ。
- ノア・ウェイトリ―
ラヴィニア・ウェイトリ―の父親。異端の儀式を行った男。魔術師だったと思われる。
- ラヴィニア・ウェイトリ―
ウェイトリ―兄弟を産んだアルビノの女性。左右で腕の長さが違う。
未婚のまま妊娠し、息子を産み落とした。様子を見るに、魔術儀式や異界の存在などの知識、相手がいなければ妊娠するはずがないことなどはよく分かっていなかったようである。息子のウィルバー(不可視の弟の存在は知らなかったようだ)の優秀さを自慢していたが、成長するに従い気味悪がるようになった。