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シュブ=ニグラス

しゅぶにぐらす

クトゥルフ神話に登場する外なる神の一柱。豊穣の女神。
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原語表記
Shub-Niggurath(シュブ=ニグラス、シュブ=ニグラート)
Ishnigarrab(イシュニガラブ)
異名
「千匹の仔を孕みし森の黒山羊」(The Black Goat of the Woods with a Thousand Young)
「狂気産む黒の山羊
「黒き豊穣の女神」
「マグナマータ」(Magna Mater/偉大な母)
「万物の母、名状し難きものの妻」
「姉なる者」(The Elder Sister-Like One/Ane Naru Mono)

概要

外なる神の一柱。
万物の創造主、魔王アザトースから生まれた”闇”からさらに生まれた神性。
外なる神の副王ヨグ=ソトースの妻(ラヴクラフトの手紙)とされ、ハスターの母でありと同時に”名状し難きもの”(The Not-to-be-Named One)の妻(小説『墳丘の怪(The Mound)』)ともされる。
子供にナグとイェブ、他多数。

創出

一応、ラヴクラフトによって最初に言及されたものの(初出『最後の検査(The last test)(1928)』)彼の作中では、呪文や台詞に名前が含まれるのみで登場することはなかった。
ラヴクラフトは、シュブ=ニグラスを友人への手紙で「邪悪な雲のような存在(evil cloud-like entity)」と描いており、今日のようなモンスター然としたイメージではなかったらしい。

後にオーガスト・ダーレス、リン・カーター、ブライアン・ラムレイらによって描かれ、巨木のような節くれだった巨体、粘液に包まれたロープのような太い黒い触手、山羊のような蹄を持った足、多くの巨大な口、絶えず産み落とされる怪物たちなどの描写が与えられた。

D・J・ウォルシュJrの小説『呪術師(パパロイ)の指環』に登場する彼女の神像は“山羊のような生き物を表したものの、はっきりとした違和感・不自然さを持っており、何本かの触手があって、見誤りようのない冷笑的な、しかし人間的な感情を持った”姿だとされた。
またテーブルトークRPGでは“泡立ち爛れた雲のような肉塊で、のたうつ黒い触手、黒い蹄を持つ短い足、粘液を滴らす巨大な口を持つ”姿で表現されている。
時にマントで顔を隠した人の姿を装うこともあるが、これは稀な例である。

崇拝

クトゥルフ神話の神々の中でもっとも広く、数多くの信仰を集める。
チョー・チョー人、ハイパーボリア大陸、ムー大陸、夢の国ムナール大陸の都市サルナス、古代エジプト、古代ギリシャ、クレタ人、地底王国クン=ヤン、惑星ヤディスのヌグ=ソス、惑星ユゴスのミ=ゴ、ドールら、地球外でも信仰され、ケルトのドルイドや魔女たちが崇めた黒山羊、サバトの原形であるとされる。

9世紀のシチリア島はシュブ=ニグラス崇拝の拠点となり、エフェソスのアルテミス信仰、死の女神ヘカテー、北欧神話のヘイド(グルヴェイグ)など他の女神に見せ掛けた信仰や儀式が執り行われていた。
リチャード・L・ティレニーの小説『The Lords of Pain』によると現在は、南アラビアの地下の洞窟にハラグ=コラース(Harag-Kolath)という都市を建設し、落とし子たちに傅かれながらハスターが訪れるのを待っている。

外なる神に性別はないがシュブ=ニグラスは、女神と位置付けられることが多く邪悪な豊穣神、地母神として崇められる。
姿を見ただけで発狂したり、召喚したら最後、街一つ、酷い場合は惑星ごと滅ぼしてしまう外なる神々の中で比較的、安心して召喚できる神である。
対話可能で人間に好意的に接してくれるとされ、邪神ガタノトーアがムー大陸を襲った時は、信者に恩恵を与えたとされる。新月の夜、森の中で儀式を執り行えば、必ず姿を現す。

恩恵

シュブ=ニグラスの乳を飲んだ崇拝者は、危険な怪物に変身する。
またシュブニグラスは、気に入った崇拝者を丸呑みにして産み直し、サテュロスに変身させる。変身した崇拝者は、深きものどもと同じく非常に強力な生命体となり、不老になる。
さらに小説『ダニッチの怪』のヨグ=ソトースのように自らの子供を人間の女性に生まれるかも知れないと考えられている。

マグナマーター

ラヴクラフトは、小説『壁の中の鼠』で古代ローマの女神、偉大な母(マグナマータ)という語を書いており、これがシュブ=ニグラスを指していると後の作家たちが考えた。マグナマータは、キュベレイアティスなど古代オリエントの地母神と関係づけられ、ここからシュブ=ニグラスは女神という設定が与えられている。
また『墳丘の怪』においては「洗練されたアシュタロトのようなもの」、『レッドフックの恐怖』ではリリスと結び付けられ、ここから不特定多数の相手と子をなす淫蕩な多産・豊穣神という性格が固められた。

異説

ロドルフォ・フェレージ(Rodolfo Ferraresi)は、『シュブ=ニグラスの質問(The Question of Shub-Niggurath)(1985)』において「”千匹の仔を孕みし森の黒山羊”はシュブ=ニグラスではない」と唱えた。

彼は、ラヴクラフトが黒山羊(The Black Goat)とは、雄山羊を想定していると考えた。
(和訳では「千匹の仔を孕みし森の黒山羊」となっているThe Black Goat of the Woods with a Thousand Youngだが、どこにも孕むに当たる表現はない。)
その根拠として小説『闇に囁く者』の描写を上げ、黒山羊が森の中で行われる儀式で男性としての役割を務める神性を指しているとした。

また山羊をモチーフにした神話上の生物であるサテュロスや古代ギリシアのパン神、バフォメットは、男性を象徴している。ラヴクラフトがこれらから着想を得たとすれば、シュブ=ニグラスとの儀式は、シュブ=ニグラスの子を崇拝者が妊娠することを仄めかしているのだとした。
あるいは、パン神はシュブ=ニグラスの化身であり、彼女自身と結び付けられないともしている。

奉仕種族

  • チョー・チョー人

ダーレス、リン・カーターらによってシュブ=ニグラスの奉仕種族とされた小人種族。
(ただしチョー・チョー人は他にも多くの神々の奉仕種族ともされている。)

  • ドール
惑星ヤディスや夢の国などに住む全長数百メートルの青白い粘液に包まれたミミズのような怪物。

その他にも様々な奉仕種族がいるがサテュロスのように森の妖精として知られるものが多い。

住処

人気がある設定は、惑星ヤディスでドールたちを支配しているというもの。
他に南アラビアのハラグ=コラース、他の外なる神と同じくアザトースの閉じ込められている無明の房室という意見もある。

両性具有

通常、3次元に収まらない外なる神には、決まった姿も性別も存在しない。
ただ、シュブ=ニグラスは基本的に女性とされているが『千の雄羊をつれた雄羊』と言う称号もあり、魔道書『クタート・アクアディンゲン』には、この外なる神が男性であり、かつ女性であるという箇所がある。
女神マイノグーラと交わってティンダロスの猟犬たちを産み落とさせたともいわれている。化身であるパンの大神は人間の女と交わり子供を産ませる。

人間の女性の化身を作ることも可能だが、脳まで人間になってしまい思考レベルも人間と全く同じものになってしまうため、感情に振り回されがちになるという。

化身

  • 畝の後ろを歩くもの 豊穣の悪神

植物のような姿。
「化身の木」と呼ばれる特別な木を通じて顕現する。この木は巨大でねじくれた、薄気味悪く見える枯れ木でなければいけない。この化身が生け贄を受け入れると、丸ごと飲み込んで地底の棲みかに戻り、そこで奇怪な肉体的変容を受けさせた上で犠牲者を「生み出す」。シュブ=ニグラスの奉仕に選ばれた個人に再び地上で出会えることはほとんどない。化身から産み落とされた変容した存在は「ゴフン・フパージ・シュブ=ニグラス」シュブ=ニグラスに祝福されしものである。

  • パンの大神
シュブ=ニグラスの男性としての相。
人間としての姿とサテュロスとしての姿を持つ。人間としての姿は若くてとてもハンサムで美しい。時に人間の女と交わり子を産ませる。犠牲者の女は完全に発狂してしまうが、不気味だが人間として最も美しい子供を孕む。この子らは対象者に狂気と自殺をもたらす能力を持つ。
パンの大神の真の姿を見たものは恐ろしさのあまり例外なく発狂するか即死する。
  • ムーン=レンズの守護者
白い肉の柱と表現される姿。ゼリー状の頭部と巨大なくちばしを持つ。
犠牲者を気味の悪い変異を起こした姿に「再生」させ、自分の世話をさせる。変異を受けたものは「ゴフン・フパージ・シュブ=ニグラス」シュブ=ニグラスの祝福をうけしものである。

関連

祖父。この魔王が生み出した闇より生まれたとされる。

伯父、夫。
父。ニャルラトホテプ、名もなき霧と共にアザトースから生まれた。
「兄弟であり連れ添い」とされる旧支配者、蛇の父。
ムー大陸の地下王国クン=ヤンで崇拝された。シュブ=ニグラスはこの神との間に怖ろしい怪物を産んでいる。
ヨグ=ソトースとの子供で邪悪な双子。
ラヴクラフトの作った外なる神の家系図にもあり、信憑性が高い設定とされている。
性別や姿は不明。サクサクルースが男性対と女性体に分裂した存在だとした作品もある。
古代エジプト神話のゲブとヌトがモデルとされる。
息子、夫。ただし、ラヴクラフトの作った家系図には反映されていない。
長女。性魔術の女神。性魔術結社『孤立の娘たち』で崇拝される。
眷属(異説あり)。
通称”最弱の旧支配者”。
  • 黒き仔山羊(ダークヤング)
眷属。
シュブ=ニグラスの象ほども大きさがあるとされる落とし子。蹄のある足と触手を束ねたような胴体を持つ。
ケルト神話の半獣半人の森の精霊。
クトゥルフ神話ではシュブ=ニグラスの眷属あるいはシュブ=ニグラス自身もサテュロスとしての化身を持つ。
配下。アイルランドの伝承の妖精。その他のリトルピープルや森の妖精もシュブ=ニグラスの配下であるとされる。
  • マイノグーラ
ナイアルラトホテプの従姉妹である女神。シュブ=ニグラスはこの女神と男神として交わった。
マイノグーラと交わり産ませたヘルハウンズがこの魔物の祖先だとされる。
ハスターとの間に生まれた子供だとされる神々。風の精霊。
旧神との戦争があったとされる場合は、ハスターの軍勢として旧神達と戦った。

関連キャラクター

  • 星間渚

矢野健太郎の『邪神伝説シリーズ』における、将来シュブ=ニグラスになる人間の少女。
ハスターを崇める星間一族の産まれで、ハスター降臨の生贄になるも召喚失敗によって生存。
その際に風を操る力と不死身の肉体を得て対邪神組織「ケイオスシーカー」に所属、邪神や眷属との戦いの果てに全身の細胞が邪神の力で再生されたものとなり、シュブ=ニグラスへと変化する。

  • 千夜
姉なるもの』で、角と山羊の足と髪の手を持つ美女の姿をして現れる。明言されていないものの、描写と「千の仔孕みし森の黒山羊」と名乗ることから正体はシュブ=ニグラスかその化身だと思われる。
主人公「夕」の姉として一緒に暮らして欲しいという願いを叶える為に、美しい人間の女性に変身している。
人間の肉体をまとっているためか情緒が人間らしくなっており、残酷な邪神らしさと女性らしい優しさが同居しているなんともいえないキャラクターとなっている。

関連項目

ヨグ=ソトース ハスター マイノグーラ ティンダロスの猟犬
女神 大地母神 グレートマザー
旧支配者 クトゥルフ神話 姉なるもの

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