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「ランドルフ・カーターよ、そなたは人間が目にすること不法なる

 大いなる者にまみえに来たな?

 蕃神どもは、その名を敢えて口にする者とてない魔王のたたずむ窮極の虚空にて

 愚かしく転げまわりながら、不平を溢しておるぞ。」

概要編集

The DreamlandsあるいはDream Realm(夢の領域、夢の大陸)。

邦訳ではドリームランドか夢幻境とされる。

夢見る人が夢を通じて移動することができる異次元であり、我々の普段生活する世界はThe waking world(覚醒世界、目覚めの世界)と呼ぶ。

ハワード・フィリップス・ラヴクラフトが創出した世界観であり、彼の複数作品で登場し、初出は『北極星』(1918年)、特に参考とされる作品は『未知なるカダスを夢に求めて』(1927年?)である。

クトゥルフ神話の中でもドリーム・サイクルと呼ぶひとつのジャンルを構成している。

地理編集

基本的に夢幻境は、覚醒世界の鏡像であり地球があり、月や同じ惑星、宇宙の地理的特徴を満たしている。

しかし夢幻境の地球は、覚醒世界の地球と全く地形が異なり、地球にはいないレン人、グール、人の言葉を話す猫などの種族や文明が存在する。


地球圏以外でもフォマルハウトやアルデバランの伴星にも夢幻境があるものの、星系を遠く離れた両者を行き来できる者は少なく、成功した者さえ発狂している。

北方編集

ニャルラトホテプが支配し、大地の神々が住まう冒涜的な巨城カダスがそびえるレン高原がある。

ムーンビーストに支配されたサテュロスのようなレン人、人間を食べる蜘蛛、大地の神々の血を引くという耳の長い住民たちが住む都市インクアノクがある。


カダスは、地球古来の神である大いなる者(大地の神々とも)がニャルラトホテプとノーデンスによって保護されており、人間の目に着かないように匿われている。

賢者アタルがランドルフ・カーターの質問に答えるところでは、一部の夢見る人にしか見えない土地があり、恐らくカーターにしかカダスは見つけられない可能性を仄めかした。

西方編集

魔法の森に囲まれた深き眠りの門があり夢幻境の入り口である。

夢幻境最大の都市ダイラス=リーンやウルタール(『ウルタールの猫』)、テロスとオオナイ(『イラノンの探求』)、ナムールにはイブとサルナスの廃墟(『サルナスをみまった災厄』)、セレファイス行きの船が出る貿易都市トゥーランとフラニス(『未知なるカダスを夢に求めて』)などがある。

東方編集

西方地域とは、セレネル海を挟んで向こう側にある。

オオス=ナルガイの谷には偉大な夢見る人、クラネスが王として治めるセレファイスがある。

さらに西方には、危険な土地が広がっており禁断の地とされている。

南方編集

南海と呼ばれる海域、ングラネク山があるオリアブ島が浮かぶ。

セレネル海編集

夢幻境の地球の中央に広がる海洋で、陸地を四方に別っている。

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夢幻境の月。

ムーンビーストの本拠地であり、地球の猫と土星の猫が争っている。

解説編集

ラヴクラフトの中でドリーム・サイクルに属する作品は、かなりの数が作られている。研究者は、どれもダンセイニ、エドガー・ライス・バロウズの影響を指摘しており、星々を巡る異世界を舞台にしたファンタジー冒険譚である。

もともとは架空の土地を舞台にした物語を後に夢幻境の土地ということに設定し直されたものもある。レン高原(モンゴル高原)、狂気山脈(南極)などは架空の地球の地名だったが夢幻境にも存在することになっている。

ブライアン・ラムレイなどが後に夢幻境を舞台にした作品を執筆している。

夢幻境への移動編集

(たぶん何かのTRPGの設定)

夢見る人が幻夢境に来る導入は大体決まっており

  • 最初は全裸に徒手の状態から始まる。
  • 階段があり、そこを70段降りた場所に焔の洞窟と呼ばれる洞窟がある。
  • 洞窟にはナシュトとカマン=ターという二人の番人がおり、彼らに認められることではじめて幻夢境に入れる。
  • 番人に認められると衣類と道具を渡され、洞窟を出られる。そこにある階段を700段降りた先にある深き眠りの門を抜けた先に幻夢境は存在する。

特殊な力を使えば目覚めたままの状態で幻夢境に入る事ができる。その場合、夢見る人の衣服は幻夢境の文明水準である産業革命以前に合わせて変わり、多くは中世風になる。

また何らかの文明の利器を持っていた場合、懐中電灯は松明に、ナイフに変わる。変化した利器は幻夢境から覚醒の世界に帰還しても元に戻る事はないという。


覚醒の世界と幻夢境では流れる時間が異なり、覚醒の世界での一晩の眠りは幻夢境での数十年も経過する場合がある。

仮に幻夢境で夢見る人が死んだ場合、即座に覚醒し以後は二度と幻夢境を訪れる事は出来ないが、これにも例外は存在する。

関連項目編集

クトゥルフ神話

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