- イタカとはクトゥルフ神話に登場する一柱。本項で解説。旧支配者にしてロイガーやハスターと同様に風の属性を持つ。異名は「風に乗りて歩むもの」
- ゲーム「第五人格(IdentityV)」に登場するキャラクター→→イタカ(夜の番人)
概要
多くの場合、ハスターの眷属である風の精だとされている。クトゥルフ神話における「風」属性は星間空間や異次元を移動するという概念が主である。「風」に乗るものたちは平行宇宙を行き来する。
ハスターとシュブ=ニグラスとの子供だとされる場合もある。
現在は多くの旧支配者が封じられているのと同様に、その移動範囲は一定に制限されているようだ。
イタカの生命力の大部分は、北極にあり冬至の夜にのみ現れる風の神殿に今も封じられているのかもしれないという。
イタカは我々の世界には閉じ込められてはいない。「風」に乗る能力によって、宇宙を移動する。平行宇宙にあるボレアの世界を旅することが知られている。
風の従者などの奉仕種族を従えている。
人間がイタカに遭遇し、その姿をはっきり見てしまった場合、長距離をイタカの道程の道連れとされる。犠牲者は上空からの落下の痕跡がみられる。
実例として、カナダやアメリカ北部での一連の失踪事件に関わっている。これらの事件のほとんどにおいて、失踪した人間は何ヶ月も、ときには何年も消息がわからなくなる。ある日、柔らかな雪に包まれて発見されるが、かなりの高さから落下した形跡が見られた。犠牲者の中には驚くべきことに生きている者もいて、イタカの威光を話し続ける。中には、明らかに遠く隔たった場所のものである奇妙な物品を持っていることもある。
自らイタカに体を近づけた者は、不快さを感じることなく低温に耐えることができ、ときにはイタカに類似したクリーチャーに体が変形しさえする。
どのような形であれ、イタカに近づいてしまった者は体が氷のように冷え切り、極低温の中でしか体が耐えられなくなる。このため生き延びて文明へ戻れる者はいない。
容貌
その姿は、異形の者が多いクトゥルフの神々の中で、巨大であるという点を除けばおおよその形は人間に似ており、足跡を残しながら二足歩行する。空中をそれが固い地面であるかのように歩くことが出来る。赤く輝く目、水かきのついた足を持つとされる。嘴を持つとされることもある。
ただし、野獣のような姿、目のついた霧か雪の塊、雲が定形を成した姿でも現れる。
上述の通り人間がその姿を目撃するとたいていの場合死亡する。また、姿を見せずとも、その場で聞こえるはずのない音を発する(無風なのに風のうなりが聞こえる等)ことで存在を示すこともある。
信仰
イタカは世界中で信仰されているが、信仰地域は北米大陸、信仰者はその先住民族の間に多い。北の地方ではイタカの性格が知られており、崇拝されるよりも恐れられることが多い。
風にまつわる災害を引き起こす神と見なされており、一部では災悪から逃れようと生贄を捧げるケースもある。
イタカは通常、生贄やさらった者を一旦どこかに運んでから殺すが、その死体を遺棄するにもまたすさまじい距離を移動させることが多く、北米で失踪したものが東南アジアで、高空から墜落したかのような形で見つかった事例もある。
またカナダなどの北米の北部では「雪のもの」と呼ばれることがある。これはイタカが出現すると気温が下がることと関係している模様。
ケツァルコアトル、トール、エンリルを対比する者もいる。いくつかの神話のこうした風にまつわる神性の元になったのだろうと推測できる。
イタカのカルトは19世紀末には大部分が滅んでしまった。
しかし、5年に一度、イタカが別世界への旅から地球に戻ってくると、イタカのカルトは驚くほどの復活を経験する。
住人全員が一晩で消えてしまったスティルウォーターの町と、アラスカのコールド・ハーバーがイタカのカルトの中心である。例外なくこれらのカルトは、敵対する人間の誘拐に関わっており、その人間を生け贄に捧げていた。
別名・表記ゆれ
- イタクァ
- 歩む死
- 風に乗りて歩むもの
- ウェンディゴ
化身
- 歩む死『怒れる嵐の神』
暴風雨として顕現したイタカの化身。雲の中には怖ろしい容貌をしたアメリカ・インディアンの顔が浮かぶのを見ることができる。その顔はゆがみ、怒りが煮えたぎっている。北アメリカの先住民族の中にいくらか信奉者がおり、カルトはこの悪霊を鎮めるために生け贄を捧げ敬意を払っている。
- 雪怪物『冷たい顕現』
知覚を持った、渦巻く雪で出来た雲塊として顕現したイタカの化身。一組の輝く目が雪の中に時々見られる。この怪物は崇拝されていない。
関係性
- ハスター
主人、場合によっては父親。共に星間を歩む能力を持つ。ただし、ハスターに仕えている確かな証拠はなく、疑問視する者もいる。
- ロイガーとツァール
イタカと同じくハスターの眷属の双子神。風の精であり、ハスターの子とされる。