ピクシブ百科事典は2024年5月28日付でプライバシーポリシーを改定しました。改訂履歴

同一視されるカ=レトの創作者はブレナン。初出はブレナンの「The Keeper of the Dust」

あるいは、初めて「クァチル・ウタウス」の名で言及したクラーク・アシュトン・スミスの「塵を踏むもの」

概要

 時空を外れた辺獄のような領域に住むとされる人間型の神。旧支配者。

 時間に影響を与えることができ、不死の力を与えると信じられ、魔術師に求められる。

 小さい子供ほどの大きさしかなく、悠久の時の中で朽ち果てたミイラのような萎びた姿をしている。手足はひきつれて硬直して動かない。頭髪も目鼻もなく、全身がひび割れのような網目状の皺に覆われている。

 スミスの「塵を踏む者」の記述では「一度も呼吸したことがない中絶胎児のようだった」とある。

 クァチル・ウタウスに触れたものは例外なく即座にとてつもない時間が経過したかのごとく塵と化す。この性質のため、クァチル・ウタウスに対して害を与えようとする行為の全ては無意味であると断定されている。

クァチル・ウタウスの出現。死や消滅への欲求

 「死や消滅への欲求を持つ者はクァチル・ウタウスへの祈祷を読むことは避けるべきである。何故ならこの存在が時折、招かれざるものとしてそのような人々の元にやって来るからである」と言及される。これは一度でも自殺を考えたもののことをさしているのか、潜在意識に死への欲求を持つ生き物全てをさしているのかは分からない。

 これを見る限り、召喚の意図なくクァチル・ウタウスを呼び寄せ、塵と化してしまう犠牲者が存在しているように思われる。

 クァチル・ウタウスの出現時には予兆があり、ある限られた空間の時間が加速された速度で年をとっていく。この空間の中が「何年も」経過したあと、クァチル・ウタウスが灰色の光線に乗って空から降りてくる。犠牲者の頭上にクァチル・ウタウスが降り立ち、クァチル・ウタウスに触れた犠牲者は即座に塵となる。そのあとには「塵を踏むもの」の異名通り、犠牲者のなれの果ての塵の山に二つの小さなくぼみを残して去る。

塵を踏むもの

 召喚されると空の彼方から召喚者に向けて、青白い光の柱が端のように伸びてくる中を、ゆっくりと降下してくる。召喚者の眼前に到達すると、灰色の光の中に足を伸ばして浮かんでいる。手は前に突き出されたままになっている。

 異名は「塵を踏むもの」「塵埃を踏み歩くもの」と訳がぶれるが、クァチル・ウタウスが歩く描写はなく、硬直した足では不可能と思われるので「踏むもの」という解釈が正しいと思われる。移動するときは体を動かさず空中を滑るように移動し、やはり塵の上を歩くようではない。

 この異名はクァチル・ウタウスが三次元から退去するとき老化して崩れ果てた犠牲者の塵の上にこの神の小さいくぼみのような足跡が残ることに由来する。退去する際は来たときと同じように帰る。

禁じられた言葉

 「カルナマゴスの遺言」には、禁じられた言葉として「エクスクロピオス・クァチル・ウタウス」という言葉が書かれている。これを口にすることで、召喚者はクァチル・ウタウスと協定を結ぶことが出来ると書かれている。これにより詠唱者はクァチル・ウタウスの従者になり、不老不死になることが出来る。ただし、クァチル・ウタウスは契約の署名として召喚者の背骨をねじ曲げる。

 この「禁じられた言葉」が再びその従者の近くで口に出される(本人が口にしたかどうかは関係がない)とクァチル・ウタウスは〝元従者〟を滅ぼしに現れる。

 この禁じられた言葉は召喚呪文ではない。

クトゥルフ神話に組み込まれるまで

 クトゥルフ神話に組み込まれるまでに以下のような経緯があった。

 ブレナンの「The Keeper of the Dust」において、特徴がよく似ており、おそらく同一の存在だろうとされる「カ=レト(Ka-Rath)(訳によってはカ=ラース)」という神性が言及される。エジプトにおいて崇拝され、「塵の守護者」と呼ばれる。この作品はクトゥルフ神話作品ではない。

 クラーク・アシュトン・スミスの「塵を踏むもの」において「クァチル・ウタウス」として言及された。その後、リンカーターが「カルナマゴスの遺言」をハイパーボリア大陸起源の書物とし、「935年にとあるバクトリア人の墓からエイボンの書の写本とともに発見された」と設定し、クトゥルフ神話に関わりを持つこととなる。

 クトゥルフ神話書籍での分類は旧支配者となっているが、ブレナンがそのようなつもりで創造したわけではおそらくないだろう。

信仰

 クァチル・ウタウスを崇拝する知られた宗教組織はないが、エジプトで古くから崇拝を受けてきた。

 時間を超越し、不老不死を与える能力を持つと考えられてきたため、永遠の真理を求める魔術師たちにより祈願や召喚の儀式がたびたび行われてきた。

 TRPGでは正式な儀式で呼び出せば、実際に不死を与えてもらえることになっているが、「The Keeper of the Dust」では不老不死を授けてもらえる方法は登場していない。また、ゲーム上はクァチル・ウタウス自身の意思によっては、「触れられても塵にならず加護を受ける場合がある」というような記述がされている。

 スミスなどの作品において、不老不死を与えられる条件が登場している。上述の〝禁じられた言葉〟を参照。「エクスクロピオス・クァチル・ウタウス」という言葉を口にすることで、クァチル・ウタウスの従者になることが出来る。

『カルナマゴスの遺言(誓約)』

 キンメリアの邪悪なる賢者カルナマゴスによって著された書物(「邪悪」という言葉はTRPG関連の書籍で見かける)。カルナマゴスは預言者(神から言葉を預かる存在)とも書かれるので、本人の性質がどちらかははっきりしない。

 数多くの禁断の書物の中にもクァチル・ウタウスについての記述はない。その唯一の例外が『カルナマゴスの遺言』だとされる。

 『カルナマゴスの遺言』には、過去と未来の両方の出来事に関する多くの記録が記載されている。クァチル・ウタウスと呼ばれる存在のいくらかの詳細と、邪悪な星ヤミル・ザクラに関する情報、地球と宇宙の魔物の歴史について記されているほか、クァチル・ウタウスへ捧げる祈祷、古代の大妖術や、死体を崩壊させる呪文、クァチル・ウタウスを含む魔物の召喚、支配、退去の呪文やクァチル・ウタウスと協定を結ぶ為の文言などが記されている。

 最初に書かれたものは935年に『エイボンの書』と共にグレコ=バクトリアというバクトリア人の墓地で発見された。

写本

 ある修道士がそれをギリシャ語に翻訳し、半人半魔の奇形の血液で、写本を二部作った。13世紀に二部のうち一部が異端審問の宗教裁判によって処分された。原本は現在行方不明である。

時間の加速

 この書物を読むと読んだ人物とその周辺の時間が非常に早く流れる。描写を見る限り、それ以外の空間が相対的に遅くなるのではなく、読者は意識も動作も速くはならず、経年劣化の現象のみが起こる。これは必ずしも致命的となるとは限らないものの、それは酷く不快な場合があるし、読んだ人物を含めた全ての品物が老朽化・塵化することもある。

 クトゥルフ神話に登場する書物は、内容が異常であること以外はただの書物であることが多いのに対し、この本は読むと怪現象が発生し、その上この書物自体は時間の加速によって損傷しないことから、単に言及するだけでなく明らかにクァチル・ウタウスの加護を受けていると思われる。

訳ブレについて

 「誓約」か「遺言」かで意味が変わってきてしまうが、邦訳ではどちらの訳も存在する(TRPGのデータブック「マレウス・モンストロルム」は「誓約」)。「アタマウスの遺言」などの例、原作の内容などを考慮すると「遺言」の訳が正しいようにも思われる。

 

関係性

 作品世界内でも知名度は低く、他のクトゥルフ神話的存在との関係を示した記述も見当たらない。

コメント

コメントが未記入です

pixivに投稿されたイラスト

すべて見る

pixivに投稿された小説

すべて見る

このタグがついたpixivの作品閲覧データ

クァチル・ウタウス
30
編集履歴
クァチル・ウタウス
30
編集履歴