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ゲーム脳の編集履歴

2018-01-14 22:14:06 バージョン

ゲーム脳

げーむのう

ゲーム脳とは、疑似科学の一種である。

概要

TVゲームばかりやっていたために脳に変調を来したことを指すコトバ。

森昭雄が著書「ゲーム脳の恐怖」(NHK出版)によって提唱した造語である。

「ゲーム漬けになっている人は回復が遅く、簡易脳波計において認知症患者と同じような波形を示す」と称した理論であり、提唱者の森はこれを「キレやすくなり犯罪に繋がる」とし、若者のマナーの乱れや露出度が高いファッションもこれにより脳に変調をきたして羞恥心や理性が薄くなったせいであるとしている。


問題点

さまざまな犯罪・社会問題、また自分が気に食わない若者文化の流行の原因をTVゲームへ責任転嫁できる非常に『好都合』な概念であったため、教育学者・マスコミ、あるいはゲームばかりしている子供を持った親等には歓迎されていた。


しかし、その論拠となる実験の組み立てやエビデンスなどに関して脳神経学をはじめ各分野の専門家からは厳しい批判が巻き起こり、著書内におけるさまざまな矛盾や論理の飛躍も見受けられ、今日では疑似科学として扱われている。

さらに森は自閉症など発達障害が増えているのもゲーム脳のせいとする、言い掛かりに等しい言動を行った為、障害者団体からも抗議を受けている。


現在でもなお一部の評論家や自治体・教育関係者の中にはこれを信奉している者もおり度々物議を醸している。

中でも親学の主催者である教育学者の高橋史朗は現在でもこの説を強く信奉しており、政治家でも埼玉県知事の上田清司、元神奈川県知事で元みんなの党次世代の党所属だった参議院議員の松沢成文などがこの論を信奉している。特に松沢は知事時代にGTA3の有害図書指定を行いカプコンから抗議を受けている。


なお、提唱者の森はもともと文系出身(体育学科)であり、専門は脳科学ではなく筋肉である。


ゲーム脳の批判に対する森の主張

前述の通り、森の提唱したゲーム脳は、様々な専門家等からも批判されているのだが、当の森本人はそれらの批判に対し、「批判をしているのはゲーム会社と関係のある人間だ」「脳波を知らない素人が勝手に批判しているだけだ」等といった、自分に都合の良い解釈による、ほぼ一貫して非寛容な反論しかしておらず、中には侮蔑的かつ傲慢な内容も少なくない。


  • 京大の名誉教授である久保田競に週刊誌上でゲーム脳への批判された際は、任天堂の相談役である山内溥前社長から京大に70億の寄付金が送られているのを理由に、「名誉教授でも金やゲーム会社がらみになると言いたい事も言えない、私は科学者だから言いたい事を言う」という、傲慢な反論をしている。

送られた理由は入院していた病院の修復代。


  • 精神科医の斎藤環から、ゲーム脳を提唱した森の脳に関する謝った知識や脳波測定法の間違ったやり方を、科学的根拠に基づいて批判された際は、雑誌上のインタビューで斉藤を「ゲームマニア」呼ばわりした上に、「脳波を知らず生理学知識のない可哀相な人」と、明らかに見下した発言を行っている上に、「私は彼よりも10倍は知識がある」と、自画自賛までしている。

  • 自身の行った講演にて、作家の川端裕人に、ファミコンが発売される以前から少年犯罪は多発し、また徐々に減少してファミコン発売後も低水準になっている事実を指摘され、仮にゲーム脳が実在しても少年犯罪にまで発展するほどの悪影響にはならないのではないかと質問されている。しかし、森はあくまでも「笑わなくなりキレ易くなった子供の増えた日本の為にやっている」と主張し、自らを正当化し続けてていたが、逆に川端からは「そういうのを問題にするあなたの方が日本人として恥ずかしい」と更に批判され、川端の疑問に一切回答をしなかった。

よくある誤解

ところでこうした話を読むと「ゲームがプレイヤーに悪影響をもたらすという話は全てでたらめである」と考えたり、逆に「ゲームのやり過ぎが元で身体を壊したり問題行動を起こす人間は実際にいるのだからゲーム脳も完全に間違いではないのでは」と考える者もいるが、これまた大きな誤解であるという点には注意が必要である。

ゲームに過度にはまり過ぎる事はプレイ時間の増大によって身体に大きな負担がかかったり、他の事を行う時間が減ったり疎かになったりするというリスクを抱えているという事は(ゲームに限った事ではないが)まぎれもない事実であり、2018年1月には世界保健機関がネットゲーム依存を国際疾病分類に盛り込む動きがある事が明かされたが、これらは決してゲーム脳を肯定しているわけではない

これらはゲーム脳の話が誤りであることを認識した上でそれとは分けて論じられるべき問題なのであり、今後仮に「ゲームをプレイした者の脳波が認知症患者と同じような波形を示す」という事が他の研究者による厳密な実験や論証によって証明されたとしても「ゲーム脳の恐怖」の内容や著者の言動が正当化されるわけではないのである。


批判されるべきはゲームへの依存による問題を防ごうとしたりそのための自制を説くことそのものではなく、いい加減な論証偏見による誹謗中傷も含め、結果的に子供がゲームをプレイしない(できない)ようになるならばどのような手段を取っても構わないという態度なのである。


転じた用法

これをもじって「××脳」という言葉で特定層をバッシングないし自虐的ユーモアとして用いる場合もある(放射脳フロム脳うどん脳など)。


関連タグ

ゲーム脳脳 疑似科学 FPS症候群(森の主張に類似の症状、もちろんネタである)

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