概要
『妄想代理人』『パプリカ』などで有名な今敏が原案、脚本、キャラクターデザインを務めた、日本のオリジナルアニメ映画。
サブタイトルは『CHIYOKO MILLENNIAL ACTRESS』。
マッドハウスにより、同会社の過去作品である『パーフェクト・ブルー』のスタッフを下地に、新たな声優や担当者を迎えて制作された。
また、音楽は平沢進が担当している。
引退した一人の女優の生涯を、彼女の出演した映画を模した輪廻転生の世界を交えて追憶していく内容となっている。
物語は女優『千代子』にインタビュアーが取材をし現役時代の話を聞くという形式で進んでいくが、徐々にその話は映画の世界と現実の人生が交錯していき、過去・現在・未来を追った壮大な展開にもつれ込んでいくことになる。
一応ハイカラさんが通ったり、謎の怪獣(劇中で言及なし)に対抗したり、黒澤明の映画や小津安二郎の作品のようなものが出るなど、日本映画の体系にはなっている。
2002年に公開され、第五回文化庁メディア芸術祭のアニメーション部門に千と千尋の神隠しと同時に大賞を受賞するなど数々の賞を受けている。
ドリームワークスによる世界配信が決定されている作品でもある。
主な登場人物
藤原千代子
CV:荘司美代子(70代)、小山茉美(20~40代)、折笠富美子(10~20代)
現役を引退した大女優。本作を代表するキャラクター。
所属している映画会社が老朽化により解体されることをきっかけに、インタビュアー『立花』によって30年ぶりに取材を受け、自らの生涯を語ることになる。
平安時代から存在している人間で、かつて家にかくまった初恋の男が残した鍵を拾ったことで、鍵を男に返す為に何度も生まれ変わりながら、同じく転生を繰り返す彼を追っている……とされている。
作中では設定の都合から様々な年齢の彼女が登場する為、声優が三人に渡って役柄を演じている。
無名の映像プロダクション「VISUAL STUDIO LOTUS」社長。千代子にインタビューを行う男性。
千代子のファンであり、彼女を盲目的に信仰している。その為か話題が映画の話になると劇中の登場人物の台詞をノリノリで喋ることもある。
彼女が『現代』において紛失していた鍵を見つけ届けた人物でもある。
井田恭二cv:小野坂昌也
立花の会社に所属するカメラマンの青年。彼と共に千代子に取材を行う。
立花とは異なり千代子の現役時代の活躍はよく知らず、それ故に彼女の話には懐疑的な姿勢を見せ、しばしばツッコミ役に徹して(シャチョー立花と千代子さんがいきなり映画の劇中のセリフを吐く、舞台が江戸時代の京都からいきなり幕末の江戸へシフトするなどボケまくるので)いる。
ちなみに関西弁で喋るが、声を当てた小野坂も関西出身なので問題(?)は無い。
鍵の君 cv:山寺宏一
千代子の初恋の相手である、名前も居場所も分からない謎の男。画家らしく何かの危険思想を持ち官憲に追われる身らしい。
自らの所有物である鍵を彼女に残した為、便宜的に鍵の君と呼ばれている。
作中では千代子と同じく死ぬたびに新しく生まれ変わり、時代ごとに違った身分・役職の人間として登場し、彼女の人生に関わっていくことになる。