概要
以上のメンバーの総称として定着している。
貸本漫画時代最初期からの「鬼太郎」の基本的なレギュラーメンバーは、主人公の鬼太郎と目玉おやじ、そしてねずみ男の計三名で、ファミリーといった呼ばれ方は全くされておらず、そういった概念すらなかった。
ねずみ男にしても、水木御大の他の短編作品には出没しつつ、媒体が雑誌連載になった当初の「鬼太郎」本編では殆どエキストラ的な描かれ方だったうえに、目玉おやじすら最初期は登場せずに鬼太郎だけで活躍する回まであった。
柳田国男の「妖怪談義」などに記述されていた伝承上の妖怪である砂かけ婆、子泣き爺、一反木綿、ぬりかべの四名は、「妖怪大戦争」のエピソードで初めて姿が描かれ、鬼太郎とともに戦って果てたが、この時点では援護要員という扱いでしかなかった。同時にねずみ男も、この時期から雑誌連載でも本格的にストーリーの主軸となり、妖怪事件に関わるか巻き起こすのに一役買うトラブルメーカーとしての描写が完全に定着していく。
その後原作・アニメ共に死んだはずのこのメンバーが特に復活の経緯も語られずに再登場し、以降は砂かけ婆と子泣き爺はレギュラー、一反木綿とぬりかべは準レギュラーとなる。
やがて、貸本漫画時代から原型が温存されていて雑誌掲載時もゲストとして一度登場していた猫娘が、アニメ第2シリーズにて本来猫好きだった水木御大と東映との協議のうえでレギュラーとして再編され、レギュラーヒロインとしての座を定着させていく。この当時は、どのアニメ作品にもセオリーとしてヒロインを求められ始めていた傾向があった。
この采配により、猫娘は結果としてねずみ男のけん制役も担うようになり、作品世界や表現の広がりに一役買った。このことからファミリー入りの4番手は猫娘とも言える。ただし、原作では水木御大の思索もあって、完全反映されるのには更に数年の時間を要した。
そして、アニメ2期終了後に描かれた「鬼太郎のお化け旅行編」などで、一反木綿とぬりかべもレギュラー扱いとなっていく。
「鬼太郎ファミリー」という呼称が完全に定着したのはアニメ第3シリーズからで、既に原作ではレギュラーになっていた仲間達が改めて認知されるようになる。
猫娘の鬼太郎のガールフレンドにして密かに鬼太郎へ恋愛感情を抱く設定も、長期に渡って2期の再放送が繰り返された事や、3期以降のアニメ描写などで広く認知されていき、原作とアニメ共通の公式設定にまで昇華される事となる。
このように他の長寿作品の「ファミリー」と通称されるレギュラーメンバーと異なり、その成立までには紆余曲折があったと言える。
「鬼太郎ファミリー」と呼ぶようになったのは先の通りだが、「仲間」という括りではそれ以外にも多数の妖怪が存在し、アニメでは作品によってファミリー以外の妖怪や人間が継続的に登場することがある。油すましや呼子などはファミリーに近い位置づけで関連書籍でも記述されている。
アニメ5期のED2では、それらを「鬼太郎一座」と歌の中で名前付けされているものもある。
「ゲゲゲの鬼太郎」だけに留まらず、水木御大執筆による「コミック昭和史」や「神秘家列伝」などの史伝系作品においても、鬼太郎ファミリーは狂言回し的に要所要所で登場し、その中でもねずみ男などがメインの解説役にもなっている。