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戦車揚陸艦

せんしゃようりくかん

軍艦の一種で、自らが岸に乗り上げて歩兵や戦車などを揚陸する揚陸艦。
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概要

艦種記号は"LST"(Landing Ship Tank)。
艦首にランプを備え、自らが岸に乗り上げる「ビーチング」によって戦車や歩兵を上陸させる。
第二次世界大戦時に開発され、太平洋やヨーロッパの多くの上陸作戦で活躍した。

しかし以下の難点があり、多くの国ではより進歩したドック型揚陸艦に取って代わられた。

  • ランプをつける関係上、艦首を鋭くできないので抵抗が大きく速度が出ない。民間の貨物船であれば問題ないレベルだが軍艦としては鈍足である
  • 着岸しやすくするために艦体前部の船底は平になっているので、外洋では横揺れがひどく、乗り心地があまり良くない
  • 敵の砲火の中に飛び込まなければならない危険性(大戦中はこれによって多数が失われた)
  • 戦車の大型化に対応できなくなった(このため、現在揚陸艦に戦車を搭載するのは稀で、港湾の確保後に事前集積船などの輸送艦から揚陸する形になっている)
  • ビーチング中に潮が引くと座礁して戻れなくなる上、波が高いと浜辺の砂が動いてランプが安定しないなど、時期や天候に左右されやすい
とはいえ、平時では離島への小口輸送などで、大仕掛け(高コスト)のドック型揚陸艦やLCACよりも有利な点もあり、ロシア海軍や大戦中に大量建造されたものを安価で入手できた途上国など、今なお現役の所も多い。
韓国インドでもごく最近まで新造艦が登場しており、中国も一旦終了していた戦車揚陸艦(072A型)の建造を再開している。

日本海上自衛隊では下記のあつみ型、みうら型を最後に戦車揚陸艦を保有していなかった(おおすみ型(2代目)は英語呼称こそ戦車揚陸艦となっているが、実態はドック型輸送揚陸艦である)が、離島への兵站維持の面からも手頃な揚陸艦を望む声がある模様で、なんと陸上自衛隊が、お株を奪う格好でビーチング型の小型揚陸艦、揚陸艇の保有を検討しているという。歴史は繰り返すと言うべきか……(後述)
ちなみに一時期青函連絡船として使用されていた事もある(元々貨車輸送に向いてなかった事や艦そのものの状態が悪かった事もあって早々に打ち切られてしまったが)。

主な戦車揚陸艦

アメリカ

  • LST-1級

1,052隻もの大量建造がされた戦車揚陸艦。
大戦後は生き残りが友好国に多く放出された。海上自衛隊に3隻が引き渡された初代おおすみ型輸送艦もそのひとつで、沖縄返還の際、通貨切替に必要な542億円もの現金輸送を行った事で有名。

  • ニューポート級
アメリカ最後の戦車揚陸艦。
「艦首にランプをつけると速度が落ちてしまうならば!」と艦首に大きなデリック・アームをつけ、甲板の上からランプを滑り台のように引っ張り出すという方式を採用。
これにより艦首形状は通常の艦船と同じになり、速度の問題は解消した…のだが残念ながら主流にならず。長大なランプと繰り出し機構などによって、どうしても船体が大型化・複雑化してしまい、現場での評価は必ずしも高くはなかったらしい。
2002年までにアメリカ海軍から全艦退役したが、台湾などでまだ現役。

日本

  • 機動艇(SS艇)

日本陸軍が開発した戦車揚陸艦相当の揚陸艦。大発あきつ丸をふまえればわかるように、陸軍は上陸作戦支援艦艇の開発には海軍よりも早くから理解があったのである。
しかし実用化した時は既に戦局が悪化していたため、輸送任務で多くが失われている。

  • 第百一号型輸送艦
こちらは旧日本海軍が開発したもの。陸軍のSS艇と比べるとこちらの方がやや大型で、船首構造が平面構成、エンジンがディーゼル機関ではなくタービン機関などの違いがあった。
SS艇と同様に多くが失われたが、こちらの方が多数建造され、陸軍でもSB艇の名称で運用された。終戦後は生き残りが復員船として使用されたり、賠償艦として引き渡されたりしている。
  • あつみ型輸送艦
上記の初代おおすみ型を参考にして開発された、海上自衛隊初の国産輸送艦。発展型のみうら型も含め、2005年までに全艦退役。

亜種

  • ロケット中型揚陸艦

上陸作戦の制圧射撃用として、中型の戦車揚陸艦LSM-1級の積載スペースに対地攻撃用ロケット弾を満載したもの。
第二次世界大戦の上陸作戦で活躍した。

  • 兵站支援艦
アメリカ陸軍が現在運用している輸送艦。戦車揚陸艦のコンセプトを引き継いだ構造だが、揚陸の後方支援などが目的で、敵前上陸は想定していないので、小型かつ簡素になっている。フィリピンに輸出されたものは小さいながらもヘリポートを備えている。

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