日本の海上自衛隊が運用している輸送艦の艦級。実態は揚陸艦である。同名の艦級は2代存在するが、どちらも解説する。
二代目(現役)
海上自衛隊が現在唯一運用している輸送艦。1998年から運用中。名称は「輸送艦」、艦種記号は「LST」で戦車揚陸艦を意味するが、実態はドック型輸送揚陸艦である。
全長約178m、全幅約26m、基準排水量8,900トン、満載排水量14,000トン、速力22kt。1隻で完全武装した陸上自衛隊隊員330名と戦車などが相当する中隊戦闘群を輸送できる能力を持ち、被災者など民間人を輸送する際には、車両甲板などのその他スペースも活用して最大1,000名を収容できる。戦車なら90式戦車を最大で18両搭載可能。
同型艦は3隻。
- 1番艦『おおすみ』(艦番号LST-4001)
- 2番艦『しもきた』(艦番号LST-4002)
- 3番艦『くにさき』(艦番号LST-4003)
空母のような全通甲板を持つが、航空機の運用能力は限定的。甲板の前半分は車両などの貨物積載スペースであり、後ろ半分にヘリコプター2機分の着艦スポットを有するのみ。加えて格納庫も車両専用で、ヘリコプター用の格納庫はないため整備も不可能(UH-60クラスなら一応格納する事はできるが、大型のCH-47となると露天係止するしかない)。
全通甲板となったのは、艦上での飛行作業に不慣れな陸上自衛隊のパイロットの安全を確保するため、艦橋構造物を右側に除けるように配置した結果だという(結果として後のひゅうが型護衛艦やいずも型護衛艦に繋がるものとなったが)。最近ではV-22オスプレイが離着艦できるように後部の着艦スポットへ耐熱化処理を行う改修が行われた。
揚陸の主力は、艦後部のウェルドックに搭載した2隻のLCAC。必要に応じて、陸自のヘリコプターを飛行甲板に搭載してそれを補助する形となる。近年はAAV7水陸両用装甲車を運用するための改修が行われ、ヘリコプター運用能力に優れるひゅうが型護衛艦やいずも型護衛艦と組んで上陸作戦の演習を行う事も多い。
武装としては個艦防空用のCIWSとしてファランクス20mm高性能機関砲2門を搭載。過去には全通甲板に陸自のMLRSを展開させ、発射訓練を行ったことがある。このため、やろうと思えば99式自走155mmりゅう弾砲や88式地対艦誘導弾なども展開させて発射できると思われる。
また76mm単装速射砲を後日装備する予定だったと言われるが、2020年代になっても装備されておらず、恐らく退役まで装備されることは無いと思われる。
似たような特徴を持つ揚陸艦としては、イタリアのサン・ジョルジョ級揚陸艦がある。
初代(退役)
海上自衛隊発足後の黎明期に、アメリカ海軍から退役した戦車揚陸艦LST-542級(LST-1級の最後期型)3隻を供与されたもので、1961年~1976年まで運用。
1962年の三宅島噴火、1965年の大島大火への人道援助・災害派遣に活躍したほか、1972年には沖縄返還に伴う通貨切替に必要な542億円もの現金輸送を行った。退役後はアメリカに一旦返還された後フィリピン海軍へ再供与されている。
- 準同型のLST-1級
関連動画
海上自衛隊公式動画(2代目の方)